バレエピアニストという職業について~5.

帰国後、すぐにはピアノ教師の仕事がなかったので、以前弾かせていただいていたバレエスタジオに問い合わせてみましたが、2件とも経費節減でCDにしたとのことでした。

そんなある日、某スタジオでバレエピアニストを探しているらしいという話が入ってきました。さっそく電話をして面接に行きました。

実は海外にいる時に曲を集めていたので、私の持ち曲はものすごく増えていました。初めてのレッスンの時に、ベストの曲を選んで弾いたので先生も生徒さんもとても喜んで下さり、順調に滑り出したかのようにみえました。

そのバレエ団は芸術祭にも参加して賞を取るほど優秀でした。ピアニストのいるバレエ教室はほとんどなかったので、トップクラスの教室と言っても過言ではないでしょう。

今までの2人の先生は男性で、スタジオ内はとにかく活気があり楽しかったのです。しかし今度の先生は意地悪オーラ漂う女性で、スタジオ内はいつもピリピリとしていました。

もう一人のピアニストと話をする機会があったのですが、バレエ団の人とピアニストが仲良くなるのをなぜか先生がとても嫌がっているということでした。そういえば、挨拶以外ダンサー達と言葉を交わしたことがほとんどありません。

今までも現役のバレエ講師やプロの方のクラスでしたが、雰囲気がまるで違いました。以前はみんなで食事に行ったりして親睦を深めたのですが、そういうことは期待できそうにありませんでした。

だんだん先生のことがわかってくると、ピアニストをダンサーより格下に見ているのがわかってきました。私は自分を殺して機械に徹しなければならないのだと感じました。

バレエ団によって、練習の仕方も曲の構成も違います。

アップライトのピアノは壁に向かって置いているので、私はピアノに写る先生の姿を見ながら曲をつけなければいけません。

先生の手足の動きを見ながら、何拍子かを確認し何小節かを計算し、スピード、曲想を判断して曲を選ぶのです。それは今までと同じでしたが、問題はその後でした。

この曲が合うだろうと思って弾き始めても、「その曲じゃ踊れません!」という冷たい一言が帰ってくるのです。今までの先生の時もそういう状況はありましたが、私が他の曲を思い巡らしている間の空気が全然違いました。ダンサー達を待たせている間の辛いこと。ほんの数秒のことですが、針のむしろでした。

だんだん慣れてくると、曲がないときは即興演奏するようになりました。楽譜を忠実に再現する事しか今までして来なかったので仕方がないのですが、当時即興演奏は得意ではなく、弾きながら自己嫌悪に陥る一方でした。

バレエピアニストのお話、まだまだ続きます。

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