2023年 チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門 ~速報!黒岩航紀さん 二次審査の演奏
2023年 チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門、二次審査二日目、黒岩航紀さんのプログラムと曲解説、感想をまとめました。
マルセル田所さんは隠れた名曲を中心に選曲されましたが、黒岩航紀さんは有名な曲が並んでいます。
黒岩航紀さんの二次審査のプログラムと曲解説
チャイコフスキー ミハイル・プレトニョフ編曲 「くるみ割り人形」より組曲
クラシック・バレエを代表する作品です。
同じくチャイコフスキーが作曲した「白鳥の湖」「眠れる森の美女」と共に三大バレエとも呼ばれています。
全曲演奏すると20曲以上あり、約1時間半かかりますが、プレトニョフ編曲の演奏会用組曲は、以下の7曲です。
第1曲 行進曲
第2曲 金平糖の精の踊り
第3曲 タランテラ
第4曲 間奏曲
第5曲 トレパーク(ロシアの踊り)
第6曲 茶(中国の踊り)
第7曲 アンダンテ・マエストーソ
バラキレフ ノクターン 第3番 ニ短調
ロシア5人組というのは、19世紀後半に結成された、ロシアの民族主義的な音楽を向上させる作曲家集団のことで、国民楽派と分類されます。
以下の5人がロシア5人組と呼ばれています。
ミリイ・バラキレフ(1837年 – 1910年)
ツェーザリ・キュイ(1835年 – 1918年)
モデスト・ムソルグスキー(1839年 – 1881年)
アレクサンドル・ボロディン(1833年 – 1887年)
ニコライ・リムスキー=コルサコフ(1844年 – 1908年)
実は音楽の専門教育を受けたのがバラキレフのみだったので、バラキレフがリーダー的立場を取っていました。
ノクターン3番は、ロシアの香りの中にショパン、シューマンなどロマン派の影響が色濃く出た優雅な曲です。
スクリャービン 幻想曲 Op.28 ロ短調
ソナタ形式による単一楽章の作品です。
ソナタ第3番とソナタ第4番の間に作曲されたソナタですが、ソナタではなく「幻想曲」いう名前が付けられました。
スクリャービンの家で友人がこの曲を弾いていたところ、「聞き覚えがあるけど誰の曲だったっけ?」とスクリャービンが尋ねたというエピソードがあります。
ラフマニノフ ソナタ 第2番 Op.36 変ロ短調
ピアノ協奏曲第3番を書き上げた3年後、1913年の作品です。
ラフマニノフは、尊敬するチャイコフスキーが滞在したというイタリア・ローマの部屋でこのソナタを作曲しました。
初版ではあまり評判が良くなかったため、ラフマニノフ自ら大幅なカットと修正を加わえ、1931年に改訂版を出しました。
現在ではどちらも弾かれていますが、改訂版を好むピアニストが多いそうです。
第1楽章 Allegro agitato (変ロ短調)
第2楽章 Non allegro. Lento (ホ短調)
第3楽章 L’istesso tempo. Allegro molto (変ロ長調)
黒岩航紀さんの演奏
0:16:20辺りから舞台上のアナウンスで審査員の先生方がご紹介されました。
日本人審査員の小林秀子先生もいらっしゃいます。
そのまま続いて黒岩航紀さんがご紹介されました。
天井を見上げながらアナウンスを聞かれておられましたが、いつものにこやかな笑顔で舞台に向かわれました。
黒岩航紀さんの演奏は0:21:50辺りからです。
「くるみ割り人形」はピアノでは連弾が有名ですが、ソロに編曲されたということで難易度は非常に高いです。
黒岩航紀さんは、色々なタイプな曲を弾き分けられ、バレエ音楽というジャンルではなく、ピアノ曲として楽しめました。
バレエ曲ではゆっくりしないところをあえて間を取ったりと、独自のアイデアが随所に見られました。
バラキレフと言えば、東洋的幻想曲「イスラメイ」が最も難しいピアノ曲の一つとして有名ですが、優雅なノクターンはチャイコフスキーとスクリャービンをつなく癒しの世界で、観客の反応もとてもよかったです。
スクリャービンは構成力が素晴らしく、引き込まれてあっという間に最後のかっこいいテーマに場面が移っていました。
ラフマニノフは3楽章からなりますが、切れ目なく演奏されます。
安定したリズム感と重厚な和音を組み合わせた壮大なスケールに魅了されました。
最後は大歓声とブラボーコールに包まれました。
黒岩航紀さんは膝をたたくような、いつもの独特のお辞儀をされました。
引き締まった表情をされていらっしゃいます。
結果発表まであと数時間です!
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。