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2023年 チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門 ~速報!黒岩航紀さんの演奏

2023.06.22

2023年 チャイコフスキー国際コンクールのピアノ部門、第3日目です!

黒岩航紀さんの一次審査演奏に加え、プログラム、曲解説、舞台裏などをお伝えします。

また、コンクール会場についてもお話させていただきます。

第一次審査の最終日なので、結果発表もまもなくです。

黒岩航紀さんの一次審査のプログラムと曲解説

チャイコフスキー ドゥムカ Op.59

チャイコフスキーは自らこの曲に「ロシアの農村風景」という副題を付けました。

18世紀にポーランドの叙情詩から発展した民謡形式(ドゥムカ形式)からドゥムカと名付けられ、「哀歌」と訳されることもあります。

哀しみに満ちたロシア民謡調のメロディーからはじまり、技巧的に展開しながらロシアの厳しい冬や農民たちの踊りを現わします。

チャイコフスキー 『四季』より「11月(トロイカ)」 Op.37-bis ホ長調

『四季』は1月~12月までロシアの1年間をそれぞれ描写しています。

トロイカは3頭立ての馬車のことです。

厳しいロシアの冬の雪に立ち向かうように、馬が駆けていく様子が思い浮かびます。

J.S.バッハ 第2巻 前奏曲とフーガ 第23番 BWV 892 ロ長調

前奏曲は、J.S.バッハの色々な曲のエッセンスが取り込まれた美しく明快な曲です。

フーガは4声で、前半の2分音符で進行する音は跳躍しますが、バッハにとっては珍しいテーマです。

テーマのはじめが2分音符ということもあり、聴き手にとってはわかりやすいのですが、8分音符が並んだ内声など4つの声部が絡み合う難曲です。

ハイドン ソナタ 第47番 Hob.XVI:32 ロ短調

角野隼斗さん(かてぃんさん)が、2018年にPTNA特級グランプリを獲得したときのセミファイナルで演奏された曲です。

第1楽章 Allegro moderato 4/4拍子 ロ短調

凛とした強さと気品のある曲です。

長調と短調が交差しながら進んでいく魅力的なソナタです。

第2楽章 Menuett 3/4拍子 ロ長調

小鳥のさえずりのような可愛らしいメロディーの優美な曲。

中間部は一転して低音が響く短調になります。

第3楽章  Presto 2/2拍子 ロ短調

同音連打ではじまりますが、途中ものすごく速くなるので、指が速く回り、音の粒が揃うことが要求されます。

ショパン  エチュード Op.25-5 ホ短調

エチュード作品10は、フランツ・リストに献呈されましたが、エチュード作品25はリストのパートナーであったダグー夫人に献呈されました。

その中の5番は、分散和音の練習として書かれた難曲です。

伴奏としてだけの分散和音ではなく、分散和音の中にメロディーがあり、甘美な情熱を含んでいます。

リスト パガニーニ による大練習曲 第3番 「ラ・カンパネラ」

イタリア語で「鐘」という意味で、パガニーニのヴァイオリン協奏曲が原曲です。

リストの作品中、「ラ・カンパネラ」は4曲ありますが、この曲がもっとも有名で、「ラ・カンパネラ」と言えばこの曲を指すようになりました。

軽々と弾いているようですが、跳躍が多い中でメロディーを浮き立たたすなど難しいですが、ピアノ学習者にとっては憧れの曲です。

ラフマニノフ エチュード 音の絵 第9番 Op.39-9 ニ長調

ラフマニノフは市場の場面や東洋の行進曲を想像して書いたようです。

絢爛豪華でフィナーレにふさわしい作品です。

黒岩航紀さんの演奏

緊張感を笑顔で振り払い、舞台に歩み出た黒岩航紀さん。

もう結婚されていて、3歳のお嬢様もいらっしゃるパパなのですね!

演奏前の舞台裏の様子3:08:40 辺りからです。

ピアノはヤマハ。

演奏3:10:50 辺りからです。

J.S.バッハからはじまるプログラムが多い中で、チャイコフスキーからスタートして観客の心を掴みました。

躍動感あふれる演奏です。

しかし「ドゥムカ」でも勇み足の拍手が起こりました。

やはり拍手は禁止してほしいです。

打って変わって、バッハは清涼剤のように落ち着いて進みます。

フーガは美しい4声で、先ほどのチャイコフスキーとは違う音色で聴き入りました。

個人的にはハイドンのソナタが大好きで、演奏も非常に素晴らしかったと思います。

特に3楽章は明瞭で透明感があり、とにかく速くて驚きました。

「ラ・カンパネラ」はよく知られている曲だけにどのような演奏なのか、とても楽しみでした。

とにかく構成力が素晴らしく、並外れたテクニックがどんな表情も逃さずにやり遂げてくれます。

ブラボーの声援が起こりました。

最後のラフマニノフではすっかり観客を魅了して、あっという間に素晴らしい時間が終わってしまいました。

コンクール会場について

ピアノ部門はモスクワ音楽院大ホールで行われます。

1901年に建設され、1958年の第1回チャイコフスキー国際コンクールもこちらで行われました。

優れた音響を持つクラシック音楽専用ホールで、約1700人を収容します。

モスクワ音楽院はロシアの音楽教育機関で、フランスのパリ音楽院、アメリカのジュリアード音楽院と並んで世界三大音楽院の一つです。

卒業生にはラフマニノフ、カバレフスキーなどの作曲家や、リヒテルやアシュケナージなどのピアニストがいます。

ショパン国際ピアノコンクールで第2位に輝いた反田恭平さんも、3年間在籍していました。

ちなみに、チャイコフスキーはモスクワ音楽院ではなく、サンクトペテルブルク音楽院を卒業しています。

こちらも有名な学校で、プロコフィエフやショスタコーヴィチなど、数多くの音楽家を輩出しています。

第1日目に行われたマルセル田所さんの演奏はこちらです。

2023年 チャイコフスキー国際コンクール ピアノ部門 ~速報!マルセル田所さんの演奏

 
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Pianeys(ぴあにーず)
物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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