ハノンが苦手で合格できない理由とは?(part 3.)
ピアノ初級の方がハノンが苦痛だと感じる点について、引き続きお話させていただきます。
前回までは、16分音符がたくさん並んでいて譜読みが難しそうとか、指づかい通りに弾くのが苦手な方へのお話でした。
今回は速く弾くのが苦手な方についてです。
速く弾くのが苦手
手のフォーム
人間の手の指は、物を握るとか細かい作業をするには便利に作られているのかもしれませんが、ピアノを弾くには大変不便な作りになっています。
全部の指の長さ、太さが違うからです。
特に両小指はしっかりした音を出すことが多いのに、他の指に比べて細くて短いです。
そういう不利な点ををカバーするために、正しい手のフォームで弾くことが大切なのです。
まず、ジャンケンのグーをしてみましょう。
握りこぶしのコブのような大きな関節が第3関節です。
ピアノを弾くときもこの関節が尖っているのが正しい指の形です。
中には親指が引っ込んでしまう方がいらっしゃいますが、それは典型的なまむし指です。
後から直すのは結構大変なので、最初から気をつけておくと良いですね。
まむし指の記事もご覧ください。
爪に一番近いのが第1関節、第1関節と第3関節の間が第2関節です。
第1、第2関節を全部曲げてタッチすることから始めましょう。
幼児の指は関節が柔らかいので、ピアノを弾くときに第1関節が外側に曲がっていることがあります。
きちんと内側に関節が曲がっている場合は指先でタッチしているのですが、関節が曲がっていなかったり、外側に曲がっている場合は指の腹でタッチすることになります。
すると、その指の音だけ弱くなってしまいます。
同じところでタッチすると音の粒が揃うので、よく聴きながら弾いてみましょう。
曲によっては指の腹を使って弾いて、柔らかい音色にする場合がありますが、そういう曲を弾くのはかなり進んでからなので、まず基礎の正しいフォームを身につけましょう。
また、速く弾くためにも指の関節が内側に曲がっていることが重要です。
そして、ジャンケンのグーから少し力を抜いた形が、一番自然なフォームだということをお忘れなく。
肩が上がったり手が痛くなるのは、指の関節が曲がっていない場合が多いので、まずそこを気をつけましょう。
脱力についてはまた別の機会にお話しします。
ある程度覚えて弾く
どの曲でもそうですが、合格するときは楽譜を見ていても結構覚えてしまっているものです。
ハノンも例外ではありません。
・1小節目の音型と指づかい
・折り返しの音型(計2小節)と指づかい
・最後の小節の終わり方と指づかい
この3カ所は楽譜を見てもよいですが、あとは見なくても弾けるでしょう。
上の3カ所が一番間違えるところなので、逆にここを覚えてしまえば良いとも言えます。
まとめ
以上、ピアノ初級の方がハノンが苦痛だと感じる次の3点について、その原因と解決方法をお伝えしました。
1. 譜読みが難しそう
2. 指づかいが苦手
3. 速く弾くのが苦手
ハノンの速度記号は4分音符=60~108となっていますが、中級以上の曲を弾くためには100以上で弾ける実力は必要だと思います。
ハノンはこの後4分の4拍子になり、音階やアルペジオも重要なので、結構な期間弾き続ける教本です。
初級の方はまず、20番までを4分音符=80くらいで弾けるようにがんばりましょう。
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。