まむし指だった友達のこと
「音大へ行く勉強をしてみない?」
習っていたピアノの先生に肩を叩かれたのは私が小4の時でした。
私が通っていたピアノ教室はすごく生徒数が多く、その中でこれぞと見込まれた子は、その先生の師匠である音大の先生に紹介されるのです。
と言っても私の小4は最年少記録でした!
びっくり喜んだのも束の間、小3のKちゃんも同時に言われたので、最年少記録は持って行かれました。
まむし指発覚
紹介していただいた音大の先生のお宅へ、私達は二人一緒にご挨拶に行くことになりました。
私達は母親達と4人で緊張しながら音大の先生の立派なお宅に伺いました。
先生は貴婦人という感じの少し怖そうな方でした。
当然ちょっと弾いてごらんなさい、ということになりましたが、そこでKちゃんに思いもしなかった事が起こりました。
手の形がおかしいから、もう一度バイエル程度に戻ってやり直しね、と先生に宣告されたのです。
これは「まむし」又は「まむし指」と言って指の関節が内側に引っ込んでしまう手の形だったのです。
Kちゃんは両手の親指がそうでした。
普段は普通に関節は外に出ているのですが、ピアノを弾くたびに親指の付け根の関節がペコンと内側に入ってしまうのでした。
Kちゃんは親指だけでしたが、もし親指以外の指の場合には、力が入って熊手のような形になります。
なぜ、こう呼ばれるのかはわかりませんが、おそらくまむし(へび)の形に関係があるのでしょう。
「まむし」の形では音に力が入らないので、ピアニストになるには致命的に不利なのです。
私も当時子供心に、Kちゃんってすごく上手なのに音が弱いなぁ、と思っていたのです。
怒ったのはKちゃんのお母さん。今までの先生は何一つ注意してくれなかったとのこと。
これは明らかにピアノ講師の責任です。
ピアノ講師が「まむし」という指の形を知らなかったでは、済まされないのです。
Kちゃんと私は、結局その音大の先生にはすぐには見ていただけませんでした。
とにかく手の形を矯正しなければということで、Kちゃんは音大の先生のお弟子さんに付くことになり、私も話の成り行きで一緒の先生になってしまったのです。
Kちゃんも私も結果的にはその音大の先生の所には戻りませんでしたし、違う大学を受験しました。
もし私だけその音大の先生の所に残っていたら、私は恩師である大先生には巡り合わなかったし、全く違う人生になっていたでしょう。
それはさておき、Kちゃんはそれから1年近く手の矯正のための練習を頑張り、見事に克服しました。
今は演奏活動も積極的にこなしていて、ちょっと有名な方なので検索すれば山ほど名前も出てきます。
【まむし指に関するおすすめ記事】
まむし指になるのはなぜ?
まむし指の矯正方法
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。