今さら聞けない rit.とriten.の違い
とても似た音楽用語ですが、意味は少し違います。
私も恥ずかしながら、大学入試で音楽用語を暗記するまでなんとなくの雰囲気で弾いておりました。
そして、意味が違うだけではなく、結構複雑であることがわかりました。
今回はrit.とriten.の違いとその見分け方をご説明します。
rit.とriten.の意味
rit.
「リット」と読みますが、rit.はritardando「リタルダンド」の省略形です。
「だんだん遅くする」という意味ですね。
ritard.という書き方をすることもあります。
riten.
riten.はritenuto「リテヌート」の省略形です。
riten.の読み方も「リテヌート」が一般的です。
こちらはだんだん遅くすると言うよりは、すぐに遅くするというときに使われます。
つまり、meno mosso「メノ・モッソ」と同じ意味になります。
諸説あり
rit.とriten.はどちらもイタリア語ですが、本場イタリアではritardandoの省略形はritard.で、ritenutoの省略形は riten. または rit.だそうです。
つまりrit.はritardando、ritenutoどちらの可能性もあるということです。
色々な国の作曲家が誤った省略形を使ってしまったという説があります。
イタリアの代表的作曲家、クレメンティの作品で検証してみると、確かにrit.という表示はなく、ritard.と記されています。
rit.とriten.の見分け方
①rit.だけが登場する場合
「だんだん遅くする」でほとんど大丈夫です。
ただし、ritenutoの可能性もあるので、曲の流れから読み取りましょう。
②riten.だけが登場する場合
こちらはritenutoの省略形なので「すぐに遅くする」です。
③ritard.だけが登場する場合
こちらはritardandoの省略形なので「だんだん遅くする」です。
④rit.とriten.の両方が登場する場合
rit.は「だんだん遅くする」riten.は「すぐに遅くする」と区別しましょう。
⑤ritard.とriten.が登場する場合
ritard.は「だんだん遅くする」riten.は「すぐに遅くする」と区別しましょう。
⑥rit.とritard.の両方が登場する場合
同じ単語ritardandoからの省略形なので、併用されない可能性が高いです。
まとめ
rit.=ritard.
ritardando「リタルダンド」の省略形で、だんだん遅くするという意味です。
riten.
ritenuto「リテヌート」の省略形で、すぐに遅くするというときに使われます。
イタリアではrit.と書かれることもあるので曲から読み取りましょう。

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。