幼児の聴音レッスン導入
私は子供のピアノレッスンに音感教育は必須という考え方です。
その中の一つ、聴音は単なる音当てではなく、音とリズムを楽譜に書き取って行くレッスンで、早い子では3歳頃から行っています。
しかし、実際には聴音をする時間が取れない教室も多いと思います。
聴音の段階的指導法を書きましたので、教室やご家庭で参考にしてお子さんと一緒にやってみてください。
1. 音当てができるまで聴音は待つ
はじめは「ド」と「レ」でも聞き取れないお子さんが大半です。
中には聞き取るのをやめて、当てずっぽうで挑んでくる生徒さんもいます。
まずは、音の高低を確認するところから始めましょう。
「真ん中のド」と「1オクターブ上のド」
「ド」と「ソ」
「ド」と「レ」
高い音は小鳥やリス、低い音は象やライオンなど、動物の絵やぬいぐるみを持たせて、ゲーム感覚で行うのもオススメです。
2. 五線譜を用意する
「ド」と「レ」の区別ができ、鉛筆が持てるようになれば、いよいよ聴音のレッスンの始まりです。
小学生くらいまでは、横長の五線ノートが便利です。
だいたい4小節を一段に書くので、一般的な縦長のノートでは書ききれなくなってしまいます。
初心者の幼児には横長の五線ノートの2段を使っています。
年齢が上がると小節数も増えますが、8小節、12小節と4小節単位で曲が長くなるので、2段の次は4段、4段の次は6段のノートがよいと思います。
3. 五線譜に〇や線を書く
幼い子が線と線の間に〇を書くのは難しいですね。
しかし、これが非常に重要なことなので、ていねいに書かせましょう。
線と線の間の〇が書けたら、同じ大きさで線の上にも〇を書きます。
色々な場所に書いてもらいます。
要するにこれが音符の玉の部分です。
〇が揃ってきたら、それと同じ大きさで「/」を書く練習をします。
うちでは速記で聴音を取らせるので、〇は使わず / になります。
たいてい長すぎたり大きすぎたりするので、その都度注意してください。
4. ドとレの場所に「/」を書く
「ファ」や「ソ」は五線の中に含まれますが、「ド」や「レ」は含まれません。
一番難しいところからスタートしなくてはならないのですが、全てはここからです。
「ド」の真ん中を通る横棒は、五線の省略記号なので、五線の間隔と同じくらいのところに引きます。
その上に〇の代わりに / を書いてドの出来上がりです。
少し斜めに書くのは、4分音符などに付いている縦棒と区別するためです。
「レ」は一番下の線にぶら下がるように書きますが、同じく長すぎないように気を付けましょう。
何回もドとレを書かせて、いよいよ聴音の始まりです。
5. ピアノの音を聞いて「ド」と「レ」を書く
まず、「ド」と「レ」をランダムに弾いて口で答えさせます。
それから、1音ずつノートに「/」で音を書かせます。
少しぐらい大きすぎてもおまけにしましょう。
間違いなくできれば「ド・レ」「ド・ド」など、2つの音を続けて弾きます。
これを 「ド・レ・レ・ド」 など4音まで書き取れるようにします。
音が書けたら4分音符の縦棒を全部に書きます。
縦棒の長さは五線の幅3つ分くらいがよいでしょう。
6. 小節の中に音を埋めていく
五線ノートの一段を4小節に分けて、縦線(小節線)を引いておきます。
今度は8音まで書き取れるようにします。
1小節に4分音符が4つ入るという設定で2小節使います。
「4つ音を書いたら、隣の箱にまた音を4つ書きましょう」
…と言ってもほとんどの幼児は、音を聞いて書くのに必死になって、1小節に4個以上書いてしまいます。
何度も繰り返し、一段4小節が一気にかけるまで「ド」と「レ」のみで慣れさせます。
正解したら縦棒を書きます。
7. 4分の4拍子・4小節の曲
4分の4拍子は4分音符を1拍として1小節に4拍ある曲という意味です。
拍子記号は、4分の3拍子、4分の2拍子などでおわかりのように、読み方の通りに下の4から書きます。
4分の4拍子も下の4から書きましょう。
ト音記号は「ト」、つまりソの場所から書き始めますが、難しいので点線をなぞってもらいます。
縦線も一段の真ん中にまず引いて、各箱の真ん中にそれぞれ線を引きます。
最後は終止線です。
「ド」と「レ」 の色々なパターンで問題を作り、慣れてきたら「ミ」「ファ」など1音ずつ増やしていきます。
まとめ
「ド」と「レ」の聞き取りからまず始めます。
五線のノートへの書き方も、はじめが肝心。
上記の1~7まで我慢強く一つずつステップアップしていきます。
7までできたら、次はリズムも入った休符や8分音符にも挑戦しましょう!
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。