男の子が弾くと抜群にカッコよい『戦場のメリークリスマス』
中学生の男の子に発表会の曲として坂本龍一作曲の『戦場のメリークリスマス』を渡したことがあります。
しかし、ちっとも進みません。
レベル的には十分弾けると思うし、テンポも速すぎず、彼には合っていると思ったのですが・・・
レッスン時間目一杯使って一緒に練習しましたが、その時にはある程度できるようになっても、次週にはまた忘れているのです。
かなり余裕を持たせていたのですが、このまま行くと間に合わない可能性が高いかも。
教えていてだんだん憂鬱になってきました。
「もし来週ここまで出来ていなかったら、違う曲に変えるよ。」という言葉が浮かびましたが、私は『脅し』て練習させるのは好きではありません。
口から出た言葉は「この調子だと無理だと思うから、この曲は止めよう。」でした。
『脅し』に似ているとはいえ、『猶予』を与えたほうがよかったかな、と少し後悔しました。
が、早く切り替える方が本人のためという気持ちがありました。
彼はちょっとびっくりしたみたいでしたが、「曲はとても好きだけど自分でも無理だと思う。」との事。
私はまた曲選びと戦うことになりました。
しかしどれも彼にはピッタリ来ないのです。
やはり『戦場のメリ-クリスマス』を弾いて欲しい!
そして至った結論は、坂本龍一教授には申し訳ないけど、調性を変えさせていただき再挑戦することでした。
原曲はフラット5つの変ニ長調ですが、シャープ2つのニ長調に移調しました。
彼にそのことを伝えると、とても嬉しそうでした。
おそらくフラットの行列が、やる気を失せさせていたのだと思います。
全調に慣れ親しんだ子供には何でもないのですが、彼にとってはシャープ・フラットがたくさん付いている曲=難曲という公式ができていたようです。
彼の小学生時代は知りませんが、予想以上にシャープやフラットに対する負の先入観があるようです。
移調するのにそれなりに時間はかかりましたが、発表会では見事に弾けてカッコよかったです!
でもやはり変ニ長調とニ長調では半音の差とはいえ、印象が違います。
いつか『戦場のメリ-クリスマス』を原調で挑戦してほしいと思います。
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。