【速報】進藤実優さんの演奏を聴いた感想〜本大会ファイナル編 | 第19回ショパン国際ピアノコンクール
ショパン国際ピアノコンクール 本大会ファイナル 2日目に、進藤実優さんが登場しました。
演奏プログラムの解説と演奏を聴いた私の感想を速報でお届けします。
改めて進藤実優さんを簡単紹介
進藤実優さんは愛知県大府市出身。
ロシア・モスクワ音楽院付属中央音楽学校を経て、現在はドイツ・ハノーファー音楽大学で研鑽中。
2021年の第18回ショパン国際ピアノコンクールで本大会3次予選進出を果たし、19歳とは思えぬ成熟した演奏が高く評価されました。
今大会にはショパン国際コンクール in ASIAの第6回派遣コンクールで特別推薦を受け、予備審査免除からの予備予選突破で、2大会連続で本大会に進出されています。
さらに詳しい人物紹介はこちらから過去の記事をご覧くださいね。
今大会では3次予選を突破し、前回大会超えを達成。
幻想ポロネーズとピアノ協奏曲第1番まで聴かせていただけることを、とても嬉しく思います。
進藤さんの演奏を聴いた感想
黒のホルターネックのロングドレスが素敵です。
とうとうここまで来てくれた!という感激で一杯です。
オーケストラメンバーが舞台上で待機しているところに、進藤さんが登場されました。
文字通り、四方八方から視線を受けての演奏です。
ここからは演奏を聴いた私の感想をお話します。
なお、大会の様子はショパン国際ピアノコンクールの公式YouTubeチャンネルで配信されます。
ぜひご覧ください。
幻想ポロネーズ Op.61
「幻想ポロネーズ Op.61」は、ショパン晩年の傑作です。
表向きの華やかさより内面的なドラマに重きがおかれています。
詳しい作品解説は、こちらから過去の記事をご覧ください。
幻想ポロネーズは重厚な和音からはじまります。
止まった和音から、音が独り歩きするように上へ上へと散らばっていきます。
この序奏は自問自答するように色合いを変化させながら進んでいきます。
このパッセージの最後の音「ミ♭」だけ、音符の棒が下向きに書いてあるのがエキエル版です。
パッセージはあくまでも即興的で、和音から目指している音は「ミ♭」であるということをはっきり示していると言えるでしょう。
ちなみに、パデレフスキ版では最後の音「ミ♭」に特別感は示していないので、右手で最後の音を弾くほうが弾きやすく、そう考えるのが普通です。
一方エキエル版では、最後の音だけを左手で弾くというアイデアも出てきます。
審査員のジョン・リンクは、ショパン研究における世界屈指の権威で、楽譜の正しい読み方や解釈でも世界的な評価を得ています。
最初の1小節で「この音をどのように解釈しているか」ということも、おそらく厳しくチェックされているだろうと思います。
ちなみに、ショパンの自筆譜も、最後の「ミ♭」だけ音符の棒は下向きです。
進藤さんの手の動きを見ていると、左手で取っておられました。
16歳の話題沸騰ティエンヤオ・リュウさんはパッセージを両手で分担し、最後は右手で弾かれていました。
とにかく最後の音に特別な思いが込められているかどうかが、最初のチェックポイントです。
確かなテクニックと、複雑な内面を深く読み解く知性が調和した、説得力のある進藤さんの音楽づくりを楽しみにしていました。
幻想曲とポロネーズという二つの要素が交錯するこの曲においては、全体像を把握する構成力がダイナミックな展開を描き出します。
進藤さんは、幻想的な部分では、内面的な叫びや詩的な情感を深く掘り下げ、技巧的な部分では高い技術力によって、華やかさだけでなく細やかなニュアンスも表現し、聴き手の心に響くような演奏をされました。
複雑な感情の起伏を、多彩な音色の変化で表していて素晴らしかったです。
作品に深く入り込んだ解釈によって、技術的な完成度だけにとどまらず、作品の本質を深く探求しようとする真摯な姿勢が、私たちに感動を与えるのでしょう。
幻想ポロネーズが終わり、大拍手を受けた後、進藤さんは舞台を一度降ります。
その後、舞台上ではオーケストラの音合わせがはじまります。
舞台袖では指揮者が進藤さんに声かけをしたり、ハイタッチをしたりとほのぼのとした空気を作っていらっしゃいました。
そして、進藤さんと指揮者が登場します。
ピアノ協奏曲 第1番 Op.11
「ピアノ協奏曲第1番 ホ短調 Op.11」は、ショパン20歳頃に作曲され、ショパンの故郷ワルシャワへの告別と新たな地パリへの飛翔を象徴する作品です。
ピアノ協奏曲 第1番については、その特徴や第2番との比較を、過去の記事でより詳しく解説しています。
こちらからぜひご確認ください。
進藤さんは、2021年のピティナ・ピアノコンペティションで協奏曲第1番を演奏し、銀賞を受賞されました。
同年のショパンコンクールではファイナルでの演奏は叶いませんでしたが、それから4年の月日を経て、目覚ましい進化を遂げておられます。
スケールの大きな曲でも全体像をしっかり描き出す構成力が進藤さんの強みです。
第1楽章が始まるやいなや、情熱的で才能あふれる演奏は聴衆を惹きつけ、音楽の世界に引き込む力がありました。
進藤さんの弾き方が独特なのは、これまでの解説でもお話してきましたが、もう1点、ときどき鍵盤に指を乗せて揺らす動きをされるのも珍しいと思います。
ピアノは弦楽器のように音を伸ばしたり、揺らしたりすることができません。
物理的に音は変わりませんが、腕や手首、指先を通して音楽のエネルギーを伝えようとする中で、揺らす動作が自然に生まれるのかもしれません。
これは、単に楽譜を弾くだけではない、全身で音楽を捉えようとする進藤さんの姿勢を示していると思います。
第2楽章は、感情の繊細な揺れ動きを音に込め、聴く人の心に深く響くような情感豊かな演奏でした。
第3楽章は本当に楽しそうで、超絶技巧も冴え渡りました。
かっこよく弾き終わると、とにかくすごい声援と拍手に包まれました。
全体を通して、難所はほぼ完璧なのに、それほどでもないところでの音ミスがチラホラあり、ちょっともったいなかったかなと思います。
結果が楽しみです!
入賞を祈っています!
結果発表

10/3からはじまった本大会の1次予選、2次予選、3次予選を経て本大会ファイナルの進出者が出揃いました。
ファイナルは、10月18日から3日間でおこなわれ、その後結果発表があります。
第1位から第3位の入賞者は、その後10月21日からの入賞者コンサートで演奏を披露されます。
まとめ
ショパン国際ピアノコンクール 本大会ファイナル 2日目の進藤実優さんの演奏を聴いた私の感想をお届けしました。
進藤さんは予備予選からの参加でしたので、今大会としては、全部で5回の本番演奏を本日終えられたことになります。
本当にお疲れさまでした。
結果も楽しみでつい期待してしまいますが、それにかかわらず、ここまで素晴らしい演奏を聴かせていただけたことにまず、心から感謝申し上げます。
そして、今後のご活躍も引き続き応援しております。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











