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【速報】牛田智大さんの演奏を聴いた感想〜本大会3次予選編 | 第19回ショパン国際ピアノコンクール

2025.10.16

ショパン国際ピアノコンクール 本大会3次予選3日目に、牛田智大さんが登場しました。

演奏プログラムの解説と演奏を聴いた私の感想を速報でお届けします。

牛田智大さんの演奏を聴いた感想

大会の様子はショパン国際ピアノコンクールの公式YouTubeチャンネルで配信されます。

こちらからご確認ください。

牛田さん、今大会ではピアノに集中するために、ファンサービスは無理をしない対応を取っておられます。

まず、コンテスタントを紹介するビデオは、前大会では英語でお話しされていましたが、今回は日本語でした。

前回「日本語でもよかったかな?」とおっしゃっていたので、自分の気持ちを伝えやすい日本語にされたのだと思います。

また、演奏終了後すぐのインタビューも2次予選終了後はお断りされていました。

本大会2次予選の後、控室のドアを自分で閉められたのが印象的でした。

幼少期から整った容姿と知的で上品な受け答えで人気が爆発した牛田さん。

「NO」を伝えられているということだと思いますので、ホッとしています。

牛田さんの誠実さはファンの方も十分に理解されていると思うので、悔いが残らないように、ぜひピアノに集中してください!

控室の中には練習用の電子ピアノが置かれているのが見えました。

舞台袖では、いつも通りのやわらかい笑顔の牛田さんです。

舞台に上がってお辞儀をする前後は、またステージに立てて感無量という表情をされました。

そして、今日10月16日は、牛田さんの26回目のお誕生日です!

プレリュード 嬰ハ短調 Op.45

プレリュード 嬰ハ短調 Op.45」は、ショパン31歳頃の作品です。

右手の歌うような旋律と、左手の穏やかな波のようなアルペジオが特徴的で、景色がゆっくりと移り変わる車窓の旅のようです。

ため息のような旋律から始まり、ほの暗い嬰ハ短調の空気感が漂うと、次第にアルペジオが明るさを増し、感情が高揚してきます。

長調が顔を出す瞬間は、雲間から光が差しているようです。

クライマックスの厚みのある和音は大きな揺れをもたらしますが、すぐに余韻へと退いていきます。

牛田さんの演奏は、美しいppでスタートしました。

ppと言ってもワンパターンではなく、深みも音色も様々です。

薄い黄色にレモンイエローやクリームイエローがあるように、音色も常に変化していきました。

小さな音の中にどれだけ表現力を詰め込めるかが腕の見せどころです。

マズルカ Op.56

マズルカ Op.56」は、ショパン33歳頃の3つの詩的な小品のセットです。

第1番(ロ長調)はロンド形式で、日差しの変化のように表情を変える踊りの情景を描き出します。

第2番(ハ長調)は軽快なテンポで、マズルカ特有の揺れと小気味よいリズムの反復が心地よい一曲です。

第3番(ハ短調)は物思いにふけるような歌うマズルカで、内省的な雰囲気が静かに広がっていきます。

それぞれの曲で、マズルカの独特なリズムと、ショパンならではの繊細な表現が楽しめます。

マズルカで同じ主題が再登場した際には、同じように弾くのではなく、より深い表現と変化を加えることが重要です。

牛田さんは、ときには左手を主張したり、ときには内声にスポットライトを当てたりと、マズルカを芸術的に高めたショパンの精神を反映した演奏をされました。

幻想曲 ヘ短調 Op.49

ショパンが31歳頃に作曲した「幻想曲 ヘ短調 Op.49」は、自由な語り口と即興的な魅力を持つ傑作です。

一方、ソナタ形式の骨格も持ち、約13分という長めの作品で、物語のような起伏とスケール感を体験できます。

荘厳な行進から始まり、やがて右手の旋律が息継ぎを忘れるほど切迫し、左手の連なりが心臓の鼓動のように音楽を押し出します。

時間がふっと止まったように感じられる場面が訪れ、聖歌のような穏やかなハーモニーが静かに奏でられます。

再び勢いを取り戻し、最後は教会音楽風の荘厳な終止で閉じられます。

最初の陰りを保ちながらも、希望の光へ向かう意思が感じられるでしょう。

牛田さんの演奏を聴きながら、今日の演奏がコンクールではなくリサイタルだったら、聴く方はどんなに楽だろうと考えてしまいました。

しかし、いつの間にか牛田さんの演奏を楽しんでいる自分に気づきました。

牛田さんの幻想曲はお墨付きですが、以前よりも曲の層が厚くなり、素晴らしく聴きごたえのある演奏でした。

ピアノソナタ 第3番 ロ短調 Op.58

ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58」は、34歳頃に、恋人サンドの別荘ノアンで作曲されました。

古典的なソナタ形式に、ショパン特有の美しく歌う旋律を融合した円熟期の傑作です。

全4楽章は暗いロ短調から始まり、最後は明るいロ長調で締めくくられ、清々しい充実感が残ります。

第1楽章は冒頭の鋭い下降の合図のような音型が、その後さまざまな形に姿を変えて音楽を牽引します。

第2楽章のスケルツォは、風が通り抜けるような軽やかさが特徴。

心臓部ともいえる第3楽章は、ノクターンを思わせる穏やかさと大きなうねりの、息を呑むほどに美しい音楽です。

そして終楽章は推進力あふれるフィナーレで、ピアノの運動性が存分に発揮されます。

牛田さんは、すごく集中されていて、気迫を感じました。

1つ1つのフレーズをどのように弾けば一番ショパンが喜ぶのか

ということを、分析し研究されておられるのでしょう。

そして、その成果は年齢と経験によって変わり、永遠のテーマとなります。

ソナタは超絶技巧が存分に発揮された大熱演でしたが、第3楽章辺りで制限時間が来てヒヤヒヤしました。

全て弾き終わった頃には、規約で定められた45分-55分の持ち時間を超過していました。

これが審査にどう影響するのか…心配です。

牛田さんは、プログラムを組むときに一番大切にしているのはテンポの設定であるとおっしゃっていました。

曲間が長かった?

第3楽章のラルゴが遅すぎた?

マズルカのリピートは?

色々と思うところはありますが、ここまできたら、運を天に任せるしかありません。

演奏は素晴らしく、拍手喝采の大歓声でした。

どうかお誕生日のプレゼントがファイナルへの切符でありますように!

牛田さんの演奏プログラムについては、過去の記事でより詳しく解説しています。

ご興味のある方は、こちらからご確認ください。

次のステップ

本大会3次予選は、現地ポーランド時間で10月16日の夜までおこなわれます。

日本時間では時差が7時間あるので、10月17日の早朝までおこなわれます。

その後、審議を経て3次予選通過者が発表されます。

1次予選・2次予選の際は最後のコンテスタントの方が演奏を終えて、1時間〜1時間半後くらいに結果が発表されました。

前回までの大会と比較すると短時間での審議で驚きましたが、3次予選も最後のコンテスタントの演奏終了後まもなく発表される可能性があります。

3次予選の通過者は10名です。

桑原さん・進藤さん・牛田さんが3次予選を通過して、コンチェルトと幻想ポロネーズを弾けることを心からお祈りしております。

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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