【速報】桑原志織さんの演奏を聴いた感想〜本大会3次予選編 | 第19回ショパン国際ピアノコンクール
ショパン国際ピアノコンクール 本大会3次予選1日目に、桑原志織さんが登場しました。
演奏プログラムの解説と演奏を聴いた私の感想を速報でお届けします。
桑原志織さんの演奏を聴いた感想
大会の様子はショパン国際ピアノコンクールの公式YouTubeチャンネルで配信されます。
こちらからご確認ください。
いつもどおり、アナウンスで自分の弾く曲を確かめるようにうなずき、舞台に向かわれました。
今日もスッキリ知的でカッコよかったです!
スケルツォ 嬰ハ短調 Op.39
スケルツォ第3番です。
ショパン29歳頃の作品で、4曲のスケルツォの中で一番野性味を感じます。
風変わりな序奏の後、オクターブの連続が現れますが、決然としたタッチで抜群のテクニックが必要です。
コラールが転調をくり返しながら登場しますが、あるときはオルガンのように神聖に、またあるときはオーケストラのように荘厳にと、多彩な音で表現します。
合間の木枯らしのエチュードの音型に似たパッセージは、どこまでも軽やかで穏やか。
最後のコラールが単音になりますが、その孤独感がすさまじいです。
桑原さんの演奏時、客席には中川優芽花さんがいらっしゃいました。
中川さんがエリザベートやショパンコンクール予備予選で弾かれたスケルツォ3番も素晴らしかったので、感慨深かったと思います。
桑原さんのスケルツォは、余裕のテクニックで細かい全ての音が感情とともに伝わってきました。
「ppを制する者がピアノを制する」
とよく言われますが、優れたppがあるからこそ、ffの迫力が引き立ち、音楽性豊かなコントラストが生まれるということを実感した演奏でした。
マズルカ 嬰ト短調 Op.33-1
「4つのマズルカ Op.33」は、ショパン28歳頃に作曲された全体でも短めの作品です。
しかし短さに反して、中身はぎゅっと濃いポーランドの香りで満ちています。
第1曲(嬰ト短調)は、夜道を歩いているようなしっとりしたはじまり。
左手の素朴な伴奏の上で、右手のメロディの小さな装飾音がささやき、ため息まじりに語ります。
ときどき、晴れ間のように明るい和音がのぞきますが、すぐにまた薄曇りへ戻る、その光と影の移ろいが魅力です。
マズルカ 二長調 Op.33-2
第2曲(ニ長調)は打って変わって明るく朗らか。
窓から差し込む日差しのような色合いで、踊り出したくなる気分です。
旋律は口ずさみやすく、リズムも軽いアクセントが特に心地よく、体が自然に揺れる感覚を楽しめます。
マズルカ ハ長調 Op.33-3
第3曲(ハ長調)は、肩の力が抜けたつぶやきの小品。
派手な山場はありませんが、短いフレーズがふっと現れては消え、気分の色合いだけがそっと変わっていきます。
フレーズとフレーズの間の美しさに耳を澄ませてみましょう。
静かな会話をそっと盗み聞きするような親密さがあります。
マズルカ ロ短調 Op.33-4
第4曲(ロ短調)は、このセットの締めくくりにふさわしい深みをたたえています。
踊りの足取りは保ちながら、和声が少しずつ影を濃くし、思いの底へ降りていくよう。
最後は余韻を残して静かに終わります。
桑原さんの演奏は、第3曲以外は踊りというよりも歌うマズルカという印象です。
第1・第2曲は、ささやき、つぶやき、ため息など、どちらかというと一人、または密やかな会話のイメージですが、第4曲は広場のあちらこちらから歌自慢の人たちの声が聞こえてくるようでした。
桑原さんはメロディーを歌わせるのが流石で、左手のリズムが小気味良いです。
第3曲はマズルカ特有の田舎臭さや泥臭さがあまりなく、少し洗練されすぎという感がありました。
ピアノソナタ 第3番 ロ短調 Op.58
「ピアノソナタ第3番 ロ短調 Op.58」は、34歳頃に、恋人サンドの別荘ノアンで作曲されました。
古典的なソナタ形式に、ショパン特有の美しく歌う旋律を融合した円熟期の傑作です。
全4楽章は暗いロ短調から始まり、最後は明るいロ長調で締めくくられ、清々しい充実感が残ります。
第1楽章は冒頭の鋭い下降の合図のような音型が、その後さまざまな形に姿を変えて音楽を牽引します。
第2楽章のスケルツォは、風が通り抜けるような軽やかさが特徴。
心臓部ともいえる第3楽章は、ノクターンを思わせる穏やかさと大きなうねりの、息を呑むほどに美しい音楽です。
そして終楽章は推進力あふれるフィナーレで、ピアノの運動性が存分に発揮されます。
私自身の経験として、第1楽章の出だしのフレーズが本当に難しくて、ダメ出しを受け続けたことが思い出されます。
このソナタは技巧的にも表情的にも難度がかなり高い作品です。
強弱、硬軟などの変化が大きいのですが、桑原さんのパワフルなのに深みがある音は、聴いていても疲れません。
一方、静かさの中にも音色や深みを持たせるのが素晴らしいので、どんどん惹き込まれていきました。
ピアノ演奏において、大きな音を出す技術以上に、小さな音の中に表現力を込める重要性を感じました。
演奏後はいつもどおりの大きな拍手に包まれました。
すっかりファンも定着したことでしょう。
桑原さんは今日も心から楽しんで演奏されたと信じて、次のラウンドで演奏されることを願っています!
次のステップ

本大会3次予選は、現地ポーランド時間で10月16日の夜までおこなわれます。
日本時間では時差が7時間あるので、10月17日の早朝までおこなわれます。
その後、審議を経て3次予選通過者が発表されます。
1次予選・2次予選の際は最後のコンテスタントの方が演奏を終えて、1時間〜1時間半後くらいに結果が発表されました。
前回までの大会と比較すると短時間での審議で驚きましたが、3次予選も最後のコンテスタントの演奏終了後まもなく発表される可能性があります。
3次予選の通過者は10名です。
桑原さん・進藤さん・牛田さんが3次予選を通過して、コンチェルトと幻想ポロネーズを弾けることを心からお祈りしております。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











