【速報】牛田智大さんと進藤実優さんの演奏を聴いた感想〜本大会2次予選編 | 第19回ショパン国際ピアノコンクール
ショパン国際ピアノコンクール 本大会2次予選、進藤実優さんと牛田智大さんの演奏プログラムの簡単解説と、演奏を聴いた私の感想を速報でお届けします。
進藤実優さんの本大会1次予選
1次予選では、手の甲を上げた独特の弾き方から、美しい宝石の欠片のようなノクターンを響かせました。
ワルツ第2番は「ここでこう弾いてほしい!」という期待を、最上級の形で実現してくれる演奏。
エチュードは素晴らしいテクニックの上に独自の音楽性があり、魅了されました。
バラード第4番の演奏後は、大歓声と鳴り止まぬ大拍手。
さらにくわしくはこちらの記事をご覧ください。
進藤実優さんの演奏を聴いた感想
ここからは本大会2次予選の演奏を聴いた私の感想をお話します。
なお、大会の様子はショパン国際ピアノコンクールの公式YouTubeチャンネルで配信されます。
ぜひご覧ください。
舞台に登場されたときから、進藤さんは闘志がみなぎっているような表情をされていました。
ピアノはスタインウェイです。
24のプレリュード Op. 28-1〜24
「24のプレリュード Op.28」全曲については、中川優芽花さんが2次予選3日目に演奏されました。
その感想記事の中で、かなり詳しく解説済みですので、ここでは解説を割愛させていただきます。
まだご覧になっておられない方はぜひ中川さんの演奏の感想記事をご覧ください。
進藤さんの演奏の大きな特徴は、指レガートをせずにレガートに聴こえることです。
これは、ペダルの細やかなタイミングはもちろんのこと、音と音の間を意識して、ノン・レガートで弾きつつ音の響きでつなげるという、神業のような、非常に高度な技術が必要です。
また、非常に高いところから打鍵しても、ちゃんと曲の表情に合った音になるというのも、すごいテクニックです。
スラーがあるのに指のレガートをしなかったり。
「なるべく鍵盤の近くから打鍵するように」と口を酸っぱくして言われてきたことは、プロレベルになると根本から覆されます。
進藤さんは、自由自在に指をコントロールして、曲を支配している印象でした。
また、曲の理解が深く、私の知っているプレリュードをさらに多彩な音で魅力的に演奏されました。
英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
「英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53」は、日本人トップバッターで桑原志織さんも演奏されました。
簡単な作品解説は桑原さんの演奏の感想記事をご覧ください。
また、牛田さんの2次予選の演奏プログラム解説記事では、さらに詳しく作品を解説しました。
ご興味のある方はこちらもあわせてご確認ください。
進藤さんの演奏は、ポーランドの誇りと郷愁が伝わる見事な熱演でした。
24曲を弾かれて、心身ともに疲労困憊のはずですが、清潔感ある躍動感は清々しかったです。
弾き終わるやいなや大歓声で、スタンディングオベーションもありました。
昨日の中川優芽花さんと全く同じ選曲でしたが、私は進藤さんの曲順のほうがコンクール的には良かったと思います。
牛田智大さんの本大会1次予選
2021年のリベンジを果たすべく、再びショパンコンクールに挑みます。
ノクターンではすみずみまで計算された打鍵スピードで、牛田さんの並々ならぬ音楽性を感じました。
エチュード Op.10-1では一段と磨かれたテクニックを披露。
そして、ワルツ第5番。
優雅さと積極性を兼ね備えた演奏は鳥肌物でした。
舟歌では角度によって変わる一瞬の影も見逃さない素晴らしい演奏。
拍手喝采で堂々の2次予選進出。
さらにくわしくはこちらのブログをご覧ください。
牛田智大さんの演奏を聴いた感想
いつもの柔和な笑顔が見られました。
前回は残念ながら、次のラウンドに行くことが叶わなかったのですが、とにかく細かなミスを恐れずに気持ちよく演奏してほしいと願うばかりです。
ピアノはスタインウェイです。
マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5
ショパンが16歳で作曲した「マズルカ風ロンド ヘ長調 Op.5」は、古典的なロンド形式にポーランドの民族舞踊マズルカの要素を取り入れた作品です。
シに♭(フラット)がつくヘ長調でありながら、リディア旋法を使ってシが♮(ナチュラル)になっているのも特徴です。
主題が何度も繰り返される構成で、冒頭のマズルカのリズムから、明るく歌う副主題やエピソードでは表情が豊かに変化します。
軽い跳躍や左手の踏み鳴らすような響きが、田園の踊りの熱気を思わせます。
終わりに向かって勢いを増す、コーダの爽快感を味わいましょう。
最初のフレーズを口ずさんでから、演奏がはじまりました。
色彩あふれるクリスタルな音で、リズムの正確さもとても気持ちよかったです。
ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」
ピアノソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35「葬送」は、世界中で知られる「葬送行進曲」の第3楽章が中心にあり、その前後を取り巻く楽章が物語の光と影を作っています。
第1楽章は、重々しい序奏から一転、鼓動のような低音と切り裂くような旋律の対比が印象的です。
第2楽章は、陰影の濃いスケルツォと中間部の霧が晴れるような明るさのコントラストが光ります。
第3楽章「葬送行進曲」は、重々しい足取りの中、中間部で柔らかな長調の歌が現れ、時間が止まったかのように空気が澄みます。
悲嘆に暮れるだけでなく、儀式の秩序と気品によって気持ちが整えられていくようです。
終楽章は掴みどころのない曲で、亡骸を見送った後に残るのは言葉にならない風景だけ、というような余白を感じさせます。
牛田さんの演奏からは、全ての音を無駄にせず、細かい感情が伝わってきます。
テクニックは磨かれ、聴いていて安心感がありました。
前回からの研鑽の濃さはいかばかりでしょう!
牛田さんの充実した日々のおかげで、素晴らしいソナタを聴くことができました。
品格は風格となって、牛田さんにしかない音楽性を際立たせます。
24のプレリュード Op.28-19~24
6曲を通して聴くと、変ホ長調→ハ短調、変ロ長調→ト短調、ヘ長調→ニ短調と、長調とその平行短調をペアにして五度圏で進む独自の順番で、聴くと隣り合う曲の色合いが自然につながるのが特徴です。
順番の“意味”を知ってから聴くと、短い曲たちが驚くほど豊かな物語として響いてくるでしょう。
終盤の第19~24番は、その連作のクライマックス。
明るい長調がふと翳って短調へ落ち、また光が差し、最後に激しい嵐で締めくくる、そんな流れを順に辿ってみましょう。
特にこの最後の6曲は、様々な感情が凝縮されて振り幅も大きく、牛田さんの持ち味を十分発揮できる曲だと思います。
躍動感と荘厳さ
豊かな情感と緊迫感
夢見心地と現実…
これらの対比を見事に表現されました。
これらの曲になくてはならない超絶技巧にも魅せられました。
牛田さんの24のプレリュードを全曲聴いてみたいという気持ちもありますが、この6曲に絞ってくださったおかげで素晴らしい他の作品も聴くことができました。
英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53
英雄ポロネーズの簡単な作品解説は桑原さんの演奏の感想記事をご覧ください。
また、牛田さんの2次予選の演奏プログラム解説記事の中では、英雄ポロネーズを含むすべての作品について、かなり詳しめに解説をお話ししています。
ご興味のある方はこちらもあわせてご確認ください。
牛田さんの冒頭のフレーズで、いきなり心がつかまれます。
牛田さんの魅力はたくさんありますが、その一つに、構成力がしっかりしており曲がわかりやすいことが挙げられます。
英雄ポロネーズはよく知られた曲ですが、牛田さんの音楽性によって曲の理解が深まります。
潔いリズムの上に気品ある旋律が重なっていきます。
終わるなり「ブラボー!」の歓声と大拍手です。
客席の方々は笑顔の方が多かったです。
牛田さんは胸に手を置いて深々とお辞儀をされました。
その後、少し表情が硬かったのが気になりました。
舞台を降りてから控室のドアも自分で閉められました。
もしかしたら、既に次のラウンドのことを考えておられるのかもしれません。
落ち込むような演奏ではなかったと思います。
次のステップ

本大会2次予選は、まもなく終わりますね!
その後、審議を経て2次予選通過者が発表されます。
1次予選の際は、最後のコンテスタントの方が演奏を終えて1時間後くらいに、結果が発表されました。
前回までの大会と比較すると、かなり短時間での発表で驚きましたが、2次予選以降も演奏終了後まもなく発表される可能性があります。
2次予選の通過者は20名です。
そして、3次予選は10月14日から3日間おこなわれます。
ファイナルに進むことができるのは10名です。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











