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【予習】太田糸音さんのJ.S.バッハ・スクリャービン・ブゾーニ!〜ブゾーニ準決勝 演奏曲解説

2025.08.24

今回は、ブゾーニ国際ピアノコンクールのソロセミファイナルでの太田糸音さんの演奏プログラムの解説をお届けします!

前回の記事では同じく大注目の日本人ピアニスト奥井紫麻さんの演奏プログラムを解説しました。

まだご覧になっておられない方はぜひ前回の記事もご確認ください。

ブゾーニを目一杯、楽しみましょう!

演奏スケジュール

太田糸音さんの演奏スケジュールからお伝えしていきます。

太田さんは、現地時間で、8月28日(木)10時00分から演奏予定です。

日本との時差は7時間ですので、日本時間では8月28日(木)17時00分からです。

太田さんの演奏プログラムは、

J.S.バッハ:パルティータ 第2番 ハ短調 BWV 826
スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第5番 Op.53
ブゾーニ:悲歌集 BV 249 より No.4 トゥーランドットの居間

バッハの構築美、スクリャービンの燃え上がる恍惚、ブゾーニの華やかな音色。

太田さんの透明感ある音色と集中力が光る、密度の高いプログラムです。

続いて、それぞれの曲について、くわしく見ていきます。

J.S.バッハ:パルティータ 第2番 ハ短調 BWV 826

この曲は、クラヴィーア練習曲集 6つのパルティータの第2番です。

6作はまず1726年から順に個別で発表され、1731年にバッハ自らの監修で一冊にまとめて出版されました。

バッハ自身が生きている間に自分で出した、数少ない公式出版の作品です。

楽器は当時のチェンバロを想定しますが、現在はピアノで演奏されます。

第2番は「ハ短調」という深めの色合いの調で、厳かさと歌ごころが同居した、物語の起伏がつかみやすい作品です。

構成は全6曲で、入口となる「シンフォニア」は三つの場面を持つ序章です。

最初は、鋭い付点のリズムで堂々と奏でるフランス風序曲。

ついでフルートが歌うような穏やかな曲。

最後は、きびきびとしたスピード感あふれる曲という流れです。

「荘厳、歌、疾走」と空気が切り替わる瞬間に注目すると、曲の性格が見えて楽しめます。

続く「アルマンド」は落ち着いた歩みの舞曲で二声で歌い合います。

クーラント」は三拍子の気品ある舞曲です。四声で情熱的に演奏されるので聴き応えがあります。

サラバンド」はゆっくりした三拍子の舞曲。やわらかい音色の二声で美しく進行します。

ロンド」は主題が耳に残る曲でこちらも三拍子です。

転調したときの音色の変化が楽しめるでしょう。

ここまで三拍子が3曲続きましたが、それぞれが個性豊かでバッハ音楽を堪能できます。

締めくくりの「カプリッチョ」は軽やかな推進が爽快。

あちらこちらに散りばめられた主題の断片を聴き取りましょう。

全曲は20分前後です。

舞曲の“呼吸”を手がかりに聴き、物語の道筋を楽しんでください。

スクリャービン:ピアノ・ソナタ 第5番 Op.53

1907年に作られた作品です。

作曲は数日の間で一気に仕上げられました。

スクリャービンが初めて単一楽章で書いたソナタです。

また、調号が付けられた最後のソナタで、これ以降、無調の音楽になっていきます。

スクリャービンのターニングポイントとなった作品と言えるでしょう。

ちょうど同じ頃の交響詩「法悦の詩」と深くつながり、その中の哲学的な四行の詩が冒頭に書かれています。

演奏時間は約11〜12分。

短い中に熱量とドラマが凝縮された名作です。

冒頭は低音から火花のように立ち上がる始まり。

最初の数小節は、まさに雷光。

ここで曲全体のエネルギーが立ち上がります。

軽やかな第一主題、官能的な第二主題。

二つの主題が形を変えながらクライマックスに昇りつめます。

スクリャービンは調性に関して色が変わって見える共感覚を持っていました。

彼の頭の中にはどんな色が渦巻いていたことでしょう?

また、神秘主義から導き出した「神秘和音」にも耳を澄ませてください。

これは4度の音を6つ重ねた独特の和音です。

どの調にも属さないし、どの調にもつながらないので、地面から浮くような感覚を生みます。

遅い部分と速い部分が呼吸のように交代し、終わり際は冒頭の勢いに触れてパッと切れる独特の結びです。

スピードと色彩の変化を追うだけでも、この曲の“恍惚の物語”がつかめます。

悲歌集 BV 249 より No.4 トゥーランドットの居間

「トゥーランドット」といえばプッチーニのオペラが有名ですが、原作はイタリアの劇作家によるもので、プッチーニの他にも多くの作曲家が手掛けています。

実はブゾーニのトゥーランドットの方が、プッチーニより早く初演されています。

この作品は、オペラの間奏曲をピアノ曲に編曲したもので、ピアノ連作「悲歌集(エレジー)」の第4曲となっています。

悲歌集は1907年/1908年に6曲で出版され、のちに「子守歌」が加わり全7曲になりました。

聴きどころは、イングランド民謡「グリーンスリーブス」が組み込まれていることで、ピアノという楽器の可能性と響きの豊かさを最大限に生かしている点です。

ブゾーニがピアノの名手だったことから、難度が非常に高い作品となっています。

演奏を見る方法

太田糸音さんが出場するソロセミファイナルは、イタリアのボルツァーノで開催されます。

一般席は約10ユーロ。

チケットは公式サイトや会場で購入できます。

また、大会の模様は前回同様であれば、公式YouTubeチャンネルでライブ配信があり、配信後もアーカイブで視聴可能です。

配信についてはまだ正式に発表されていませんので公式ホームページから適宜チェックしてみてください。

まとめ

太田糸音さんのプログラムは、バッハで対位法と舞曲の呼吸を端正に示し、スクリャービンで恍惚と飛翔を極限まで表現し、ブゾーニで音色と間の美学を凝縮する、見事な三段構えです。

30分弱のプログラムのなかで時代様式と表現が次々に切り替わっていくため、楽章ごとの空気の差し替えと音色の豊かさに注目が集まります。

ブゾーニの舞台で、太田さんがどのような音の物語を描くのか。

とても楽しみですね!

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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