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【圧倒的表現力】奥井紫麻が奏でるショパン・ブゾーニ・リスト!〜ブゾーニ準決勝 演奏曲解説

2025.08.19

今月末からはじまる第65回ブゾーニ国際ピアノコンクールのファイナルラウンド・ソロセミファイナル。

日本からは奥井紫麻さん、太田糸音さんが参加されており、ぴあにーずも大注目しています。

今回は、奥井紫麻さんの演奏プログラムの解説をお届けします!

ブゾーニを目一杯、楽しみましょう。

演奏スケジュール

それではまず、奥井紫麻さんの演奏スケジュールからお伝えしていきます。

ファイナルラウンドでは、まずソロ部門で必須のブゾーニ作品を含む25〜30分のプログラムを披露します。

奥井さんは、現地時間で、8月27日(水)20時30分から演奏予定です。

日本との時差は7時間ですので、日本時間では8月27日(水)深夜3時30分からです。

奥井さんの演奏プログラムは、

ショパン : 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60
ブゾーニ:悲歌集 BV249 より 第一曲 転機のあとに
リスト:ダンテを読んで ソナタ風幻想曲

詩情と精神性、そして技巧が求められる3曲。

奥井さんの深い音楽性が存分に発揮される挑戦的なプログラムですね。

続いて、それぞれの曲について、くわしく見ていきます。

ショパン : 舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

ショパン作曲「舟歌 嬰ヘ長調 Op.60」はショパン晩年の傑作の一つで、ショパンが35〜36歳の頃(1845〜46年)に作曲されました。

1846年に出版されています。

ちょうど恋人のジョルジュ・サンドとの関係が終わりかけていた時期の作品です。

題名の通り「バルカローレ」と呼ばれるヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの舟歌を思わせる作品で、ゆったりと揺れるリズムに乗せて美しい旋律が歌われます。

舟歌の典型である6/8拍子をさらに延ばした12/8拍子を用い、息の長いフレーズをより流麗に歌わせています。

序奏に続く第1主題はまさにゴンドラの歌そのもので、優美で叙情的です。

その後、複数の主題やエピソードが展開され、調性を変えながら徐々に音楽は情熱を帯びていき、最後は解放感と希望に満ちた華麗なコーダでクライマックスを迎えます。

この曲は高度な技術と表現力を要求される難曲です。

長大なフレーズを処理しつつ、左手で舟の揺れを思わせる、穏やかな伴奏を刻みつつ右手で豊かな歌唱を響かせるには繊細なタッチとコントロールが必要です。

舟に揺られて穏やかな水面を漂うようなゆったりした情景と、中間部からクライマックスにかけて湧き上がる情熱的な盛り上がりとのコントラストをぜひ味わってみてください。

ブゾーニ:悲歌集 BV249より 第一曲 転機のあとに

ブゾーニはイタリア出身のピアニスト兼作曲家で、ロマン派末期から近代への移行期に独自の作風を示しました。

『悲歌集』(エレジー)は1907年に作曲された全7曲のピアノ小品集で、本作「転機のあとに」はその第1曲です。

タイトル通り、ブゾーニが作風の転換期に創作した作品で、彼自身が「自らの発展における画期的な出来事」と評するほどの新境地が示されています。

ロマン派の伝統から一歩進み、自分の考えや行動を深くかえりみるような曲想が印象的です。

穏やかで瞑想的な雰囲気の中、形式にとらわれない自由な展開を見せます。

長調と短調の和音を重ねて曖昧な響きを出したり、半音階や調性を外れた音を織り交ぜたりして、神秘的な響きを生み出しています。

ペダルで音を溶け合わせて響きを滲ませる表現も用いられ、調性が揺らぐ独特の音世界が広がります。

また、技巧の華やかさより音色や響きのコントロールが要求されます。

宙に漂うような高音から地鳴りのような低音まで広い音域でダイナミックな対比が現れます。

内省的で問いかけるような音楽は、リスト晩年の作品を思わせる雰囲気もあり、曖昧な調性と相まって不思議な魅力を湛えています。

初めて聴く方は、静寂の中から浮かび上がる繊細な響きの移ろいや、独特な和声が織りなす幽玄な雰囲気をぜひ味わってみてください。

リスト:ダンテを読んで ソナタ風幻想曲

リスト作曲「ダンテを読んで ソナタ風幻想曲」はリストのピアノ作品の中でも規模が大きい名曲で、「ダンテ・ソナタ」と呼ばれます。

演奏会やコンクール映えする作品として、取り上げられる機会も多い一曲です。

題名の通り、ダンテの叙事詩『神曲』に触発されて作曲されました。

1839年に初演、数度の改訂を経て1849年に完成しました。

後にピアノ曲集『巡礼の年』第2年「イタリア」の最後を飾る作品として収められました。

『神曲』が地獄篇・煉獄篇・天国篇の三部から成るように、音楽も冒頭で地獄の扉が開くかのような不気味な響きで始まります。

中世音楽で「悪魔の音程」と忌み嫌われた増4度が下降形で何度も現れ、地獄の情景を想起させます。

激しい苦悩や葛藤を描き出す音楽の合間に、美しく穏やかな旋律が現れます。

この抒情的な楽想は、地獄の中に差し込む一筋の光を思わせ、強烈な対比となっています。

音楽は高揚し、終盤では輝かしく壮大に締めくくられます。

ピアニストの超絶技巧と豊かな表現力が存分に発揮される聴き映えのする一曲です。

演奏を見る方法

奥井紫麻さんが出場するソロセミファイナルは、イタリアのボルツァーノで開催されます。

一般席は約10ユーロ。

チケットは公式サイトや会場で購入できます。

大会の模様は前回同様であれば、公式YouTubeチャンネルでライブ配信があり、配信後もアーカイブで視聴可能です。

配信についてはまだ正式に発表されていませんので公式ホームページから適宜チェックしてみてください。

まとめ

奥井紫麻さんが挑む今回のプログラムは、詩的な美しさと精神的深み、そして高度な技巧が三位一体となった構成です。

ショパン、ブゾーニ、リストという個性の異なる巨匠たちの世界をどう表現し分けるのか、奥井さんの音楽性と表現力に注目が集まります。

ブゾーニの舞台で、彼女がどのような音の物語を描くのか、今からとても楽しみですね!

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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