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ブゾーニ国際ピアノコンクール【2025年注目のピアノコンクール】

2025.08.01

今回は8月末に開幕するブゾーニ国際ピアノコンクールをご紹介します。

1949年、フェルッチョ・ブゾーニの没後25年を記念してボルツァーノで誕生したこのコンクール。

終戦直後にイタリアとドイツ文化を再び結び付けようとした音楽家たちの情熱から生まれました。

「若い才能のための国際的な実験室」と呼ばれ、マウリツィオ・ポリーニマルタ・アルゲリッチアルフレート・ブレンデルなど、後に巨匠となるピアニストが数々と羽ばたいていった伝説の舞台です。

あの日本人ピアニストも出場予定!

ぜひ最後までご覧ください。

歴代優勝者の系譜

初回の1949年大会では、当時18歳だったブレンデルが第4位を獲得。

1957年には16歳の少女マルタ・アルゲリッチが優勝をさらい、「南米からやってきた旋風」と報じられました。

その後はルイス・ロルティエ、リリヤ・ジルベルシュタイン、アンナ・クラフチェンコらが優勝。

前回の大会では、アルセニイ・ムンがシニア審査員特別賞と聴衆賞を含む3冠を手にしています。

こうした歴代優勝者の系譜を眺めるだけでも、ブゾーニがいかに多彩な才能の登竜門であるかがわかります。

ブゾーニの人物像

そもそも名の由来であるブゾーニは、音楽家、思想家であり、そして大胆な改革者でした。

12歳でボルツァーノの商工会議所ホールに立ち、ベートーヴェンの「ワルトシュタイン」を暗譜で弾き切り、聴衆を驚かせた少年の姿は、地元紙にも「信じ難い技巧」と称賛されています。

技巧派ピアニストとしても活躍しましたが、J.S.バッハの作品などの編曲でも有名です。

後年、彼は「音楽は自由に生まれ、自由を目指す」と語り、その精神はコンクールの斬新な審査システムに引き継がれています。

2024–25大会の流れ

最新の2024–25大会は次のフローで進行します。

2024年5月にオンライン申込みが締め切られました。

10〜15分のビデオ審査があり審査員はタッチや音色のニュアンスを細部までチェックします。

そして選ばれた100名が2024年11月のGlocal Piano Projectに進みました。

ここでは同じスタインウェイのグランドピアノが世界各地のホールに運ばれ、候補者たちは観客の前でライブ録音を行います。

録音はオンライン配信され、視聴者投票もスコアに反映されるため、演奏者は画面越しの世界中の耳を意識せざるを得ません。

こうして選ばれた33名が2025年8月27日にボルツァーノへ集結し、2週間に及ぶファイナルラウンドが開幕します。

ファイナルラウンドの内容

ファイナルラウンドでは、まずソロ部門で必須のブゾーニ作品を含む25〜30分のプログラムを披露。

さらにトップ12に残ると、バッハ=ブゾーニ編の荘重な「シャコンヌ」や、ベートーヴェンからモーツァルトまでの古典派ソナタ、そしてオルレアン国際ピアノコンクールと連携して選定された現代作品まで、幅広いレパートリーを約50分で弾き切ります。

ここで鍵になるのは、記憶力と体力だけでなく、古典と前衛を自在に行き来する音楽的柔軟性です。

トップ6に勝ち残れば、室内楽ラウンドが待っています。

候補者はブラームスやフランク、ドヴォルザーク、ショスタコーヴィチなどのピアノ五重奏曲で、弦楽四重奏団「シンプリィ・クァルテット」と息づかいを合わせながら、アンサンブル能力を試されます。

そして9月7日、3名のファイナリストがハイドン管弦楽団と協奏曲を共演

3名のファイナリストは、指定されたピアノ協奏曲の中から2曲を事前に選びます。
これら2曲のうち、実際に演奏する協奏曲は、室内楽ファイナル終了後に、最終決定されます

賞とキャリア支援

優勝者には3万ユーロの賞金に加え、ミケランジェリ賞5千ユーロが上乗せされることもあります。

協力団体も豪華で、鍵盤トラストやハイドン管弦楽団、スタインウェイ社などが名を連ね、受賞後の実演機会を強力にバックアップしてくれます。

特別賞も充実しており、ショパン作品の最優秀解釈賞や聴衆賞、ジュニア・シニア二世代の市民審査員賞まで用意されているので、演奏者は自分の強みを戦略的にアピールすることが求められます。

音楽で街を彩るブゾーニ・フェスティバル

期間中、街は「ブゾーニ・フェスティバル」でにぎわい、巨匠や歴代入賞者が毎晩ステージに立ちます。

石畳の旧市街では「ギャラリー・オブ・タレンツ」と呼ばれる若手演奏会が開かれ、地元の中高生がショパンやリストを奏でる横で、ジェラートを手に持った観客が足を止めるそんな光景がボルツァーノの日常になります。

コンクールを機に街全体が音楽文化を共有し、地元経済を潤すこのモデルは「芸術とまちづくり」の成功例としても注目されています。

注目の日本人ファイナリスト

今回ファイナルに名を連ねた33名の中には、2人の若き日本人ピアニストがいます。

1人目は奥井紫麻さん。

現地時間で、8月27日(水)20時30分から演奏予定です。

日本との時差は7時間ですので、日本時間では8月27日(水)深夜3時30分からです。

もう1人は太田糸音さん。

現地時間で、8月28日(木)朝10時から演奏予定です。

日本時間では8月28日(木)17時からです。

日本から届く声援が、遠くイタリアの舞台で彼女たちを後押しすることでしょう!

全力で応援させていただきます!

採点公開とホスピタリティ

ブゾーニの審査員は、演奏が終わるたびに専用タブレットで得点とコメントを入力しますが、ファイナル終了後、全員の採点が10月1日に公開される仕組みです。

透明性の高さはもちろん、公開される批評は大変勉強になります。

また、参加者はファイナル期間中、財団から宿泊と食事が提供され、欧州内外から訪れる音楽ファンとの交流の場も数多く用意されています。

まとめ

ここまでブゾーニ国際ピアノコンクールの魅力を駆け足でご紹介しましたが、いかがでしたか。

歴史に名を刻む巨匠たちの足跡と、最先端の審査方式が同居する舞台に、あなたもワクワクしてきたのではないでしょうか。

次回の記事では、奥井紫麻さんと太田糸音さんを深掘りします。

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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