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【ダブル出場】山﨑亮汰さん、開幕のヴァンクラで魅せたリスト「ノルマ」の美技〜ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール2025

2025.05.22

ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの本大会予選ラウンドが始まりましたね!

今回は、予選ラウンド初日に登場された山﨑亮汰さんの演奏の感想をお届けします。

なお、山﨑亮汰さんは5月上旬におこなわれたショパン国際ピアノコンクールの予備予選を通過され、10月からの本大会への出場が決まっています。

ショパコンとヴァンクラをダブルエントリー中の大注目のピアニストです。

演奏を聴いた感想

山﨑さんは日本時間では5月22日(木)早朝4時35分から以下のプログラムを演奏されました。

バッハ=ブゾーニ作曲:「来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV 659
モーツァルト作曲:ソナタ第18番 ニ長調 K.576
モンテーロ作曲:RACHTIME ※新作課題曲
リスト作曲:「ノルマ」の回想

以降、私の感想が続きます。

第一印象

全身黒の佇まいで登場された山﨑亮汰さん。

落ち着いた表情からは、ピアニストとしての強い自信と、音楽への真摯な姿勢が伝わってきました。

ショパン国際ピアノコンクールにも選出されている実力派として、今回のクライバーンでも期待が高まります。

バッハ=ブゾーニ作曲:「来たれ、異教徒の救い主よ」 BWV 659

ブゾーニは、ドイツ系イタリア人の作曲家です。

技巧派ピアニストとしても活躍し、J.S.バッハの作品などの編曲で有名です。

この曲は、バッハのオルガン用コラール前奏曲をブゾーニがピアノ用に編曲した作品です。

バッハの宗教的な厳粛さとブゾーニの豊かな響きを兼ね備えており、ピアニストの音色のコントロールが問われる曲です。

クォーターファイナルでも山﨑さんはブゾーニを演奏されますが、それもそのはず、2023年ブゾーニ国際ピアノコンクール、第3位の実績がありました。

各声部が安定した役割を果たし、適度な緊張感で音楽が流れていきました

一音一音をとても大切にされているのが伝わりました。

演奏後、首に手を当てていらっしゃいましたが、まだ手が冷たかったのかもしれませんね。

モーツァルト作曲:ソナタ第18番 ニ長調 K.576

モーツァルトが33歳頃の作品で、完成したピアノソナタとしては最後の曲です。

バロック的な対位法が用いられていることが特徴で、難度はモーツァルトのソナタ中で最も高いです。

技巧的にも音楽的にも高度な要求があり、透明感のある音色と繊細なタッチが求められる作品です。

意表を突いた形で違うモチーフが現れるなど、一歩間違えると支離滅裂な曲になってしまいますが、山崎さんは緻密な構成を練って美しくまとめられています

1曲目のバッハ=ブゾーニとはまた違う音色で、とても美しかったです。

ここで一度退場されて、次は新作課題曲です。

モンテーロ作曲:RACHTIME

今回のコンクールのために、審査員のひとりでもあるガブリエラ・モンテーロによって書き下ろされました。

モンテーロはベネズエラ出身で、アメリカで活躍する作曲家です。

1995年のショパン国際ピアノコンクールでは第3位を(1位なし)を獲得したほどの実力を持つピアニストでもあります。

即興演奏も優れていて、クラシックのジャンルを超えた編曲も人気があります。

この曲に対して山崎さんは、1枚ずつ楽譜を貼ったノートを持って臨まれました。

山崎さんの次に演奏したコンテスタントは楽譜を何枚もつなげて譜面台に置いて演奏されていましたが、譜めくりの方が長い楽譜を交換するときに鍵盤の上に楽譜を落としそうになり、見ていてヒヤッとしました。

山崎さんは譜めくりする方のことも考えて、最良の方法を選ばれたと感じました。

譜めくりの回数は増えますが、安全第一です。

少し和音が硬いと感じたところもありましたが、素敵な演奏でした。

新作課題曲は、他のコンテスタントとの聴き比べも楽しみの一つですね。

リスト作曲:「ノルマ」の回想

リストは、19世紀最大のピアノのヴィルトゥオーソと言われていましたが、当時流行っていたオペラの主題をモチーフにして超絶技巧を駆使した作品を作るという新しいジャンルも開拓しました。

この曲は、ベッリーニのオペラ『ノルマ』の主題を使った作品で、難曲として名高いです。

山﨑さんの得意とするレパートリーの一つであり、過去のコンクールでも高い評価を得ています。

自信に満ち溢れた演奏で、山崎さんの本領発揮です。

超絶技巧も素晴らしいですが、美しくしなやかさもあります。

エリザベート王妃国際音楽コンクールで、亀井聖矢さんも素晴らしい演奏をされましたが、また違うタイプで見事でした。

大歓声と拍手が沸き起こりました!

全体を通しての印象

作品に対して研究を怠らず、自分の音に妥協しないという姿勢が見えました。

バッハ=ブゾーニでは少し硬さがあり、モーツァルトも細かいミスがありましたが、新作課題曲から徐々にほぐれていかれたと思います。

リストは実力を出し切れたのではないでしょうか

観客席の反応が物語っていました。

山崎さんの笑顔に、こちらまで嬉しくなってしまいました!

次のステップ

クォーターファイナルラウンドは5月24日〜25日におこなわれます。

予選を通過した18名のピアニストが40分以内のリサイタルをおこないます。

レパートリーは演奏者が自由に選曲できます。

山崎さんのクォーターファイナルラウンドでの演奏プログラムは次の作品が予定されています。

ブゾーニ作曲:悲歌集より 子守歌
リスト作曲:メフィスト・ワルツ 第1番
ラフマニノフ作曲:ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.36(1931年版)

秘めたる思いから激情へと感情を展開させ、表現技術を魅せる戦略的な選曲ですね。

まとめ

ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール予選ラウンドでの山﨑亮汰さんの演奏の感想をお伝えしました。

予選ラウンド通過をお祈りしています!

引き続き、山﨑さんの素晴らしい演奏に注目し、応援していきましょう!

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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