【技巧の神髄】亀井聖矢さん、超難曲に挑むヴィルトゥオーソ〜エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門2025
今回は、エリザベート第1次予選に出場された亀井聖矢さんの、演奏についての感想をお届けします。
亀井さんは5月10日(土)22時からの部に登場され、当日指定された次の曲を演奏されました。
ベートーヴェン作曲:ソナタ第13番 Op.27-1 第1楽章 変ホ長調
ショパン作曲:エチュード Op.25-11 イ短調「木枯らし」
リスト作曲:超絶技巧練習曲 第12番「雪あらし」
バラキレフ作曲:東洋風幻想曲「イスラメイ」
なお、本番の演奏は、エリザベート公式サイトにアップされます。
下記からぜひご確認ください。
※動画がアップされるまで少しタイムラグがあるようです
以降に私の感想が続きます。
演奏を聴いた感想
全身黒の洗練されたスーツで登場された亀井聖矢さん。
オーラをまとった堂々とした佇まいが印象的でした。
おそらくご本人よりも、ファンの方々のほうが緊張されていたのではないでしょうか?
彼自身はむしろ挑戦者として、堂々と立ち向かう闘志に満ちているように見えました。
ショパンコンクールでは最初から2人目の演奏で、順番的にも不利に思いましたが、エリザベートは最終日でよかったです。
これまでの他の出場者の演奏を踏まえた上で、個性をより際立たせる演奏が可能になったのではないでしょうか。
亀井さんの得意な曲で本領発揮してほしいと願い、見事に開花されました!
技術的に極めて難度の高いプログラムでありながら、単なる技巧の誇示ではなく、各曲の本質に迫る音楽性と、聴衆を魅了する表現力が溢れていました。
ベートーヴェン作曲:ソナタ第13番 Op.27-1 第1楽章 変ホ長調
この曲は、次作のソナタ第14番「月光」と共に、ベートーヴェン自身によってOp.27 「幻想曲風ソナタ」として発表されました。
数あるベートーヴェンの作品の中で、亀井さんがこの曲を選択されたのは意外でした。
ドイツで研鑽を積まれた亀井さんが、どのように表現されるのか、非常に楽しみでした。
穏やかなAndanteではじまりますが、中間部は一転して快活なAllegroになり、亀井さんの技が光ります。
ショパン作曲:エチュード Op.25-11 イ短調「木枯らし」
この曲は、ショパン26歳頃の作品です。
冒頭はゆったりとした旋律の序奏ですが、その後、嵐のような急流の音型がピアノ全体を駆け巡り、まさに冬の木枯らしが吹き荒れる情景を連想させます。
技巧的にも非常に難しく、ドラマティックな展開を持つこの作品は、故郷への深い想いと孤独を抱えているショパンの感情の激しさと詩的な美しさを同時に感じさせる名作として、多くの人々に愛されていますね。
亀井さんは、2025年4月23日のショパン国際ピアノコンクールの予備予選でも、この曲を弾かれました。
今回は前へ前へというスタイルに弾き方を変えて、テンポもアップしていました。
その方が断然亀井さんらしくてよかったです。
リスト作曲:超絶技巧練習曲 第12番「雪あらし」
内声のトレモロや半音階で自然の厳しさを表現しながら、残った指で跳躍に挑み戦っていくという超難曲です。
2025年5月5日に、吉見友貴さんもこの曲を見事に演奏されました。
亀井さんは重みも加わって、全身全霊で挑んだ素晴らしい演奏でした。
バラキレフ作曲:東洋風幻想曲「イスラメイ」
バラキレフは、ロシアの作曲家です。
コーカサス地方への旅行で、現地の民族音楽からヒントを得て、「イスラメイ」を書き上げました。
この曲は史上最も演奏困難な曲として、必ず名が上がりますね。
しかし、亀井さんの個性にマッチし、「イスラメイ」と言えば亀井さんを連想させるほどです。
2019年のピティナで、特級グランプリを受賞されたときにも、セミファイナルでこの曲を弾かれています。
この曲はオクターブ(8度)を高速で弾く箇所が多く、手の開きが第一条件です。
亀井さんはドからソまで(12度)届くそうなので、この武器を有利に使った選曲と言えます。
各フレーズの処理が美しく、音色の変化も楽しかったです。
全体を通しての印象
今回演奏された曲の他に、
リゲティ作曲:エチュード 第9番「めまい」
アルカン作曲:「全ての短調による12の練習曲」より Op.39-7 変ホ短調
を用意されていましたが、審査員に選ばれたプログラムには含まれておりませんでした。
これらの曲も亀井さんの卓越した技巧と音楽性を示すのに相応しい作品ですが、選ばれた4曲だけでも彼の多彩な表現力を十分に堪能することができました。
なお、以前、エリザベートの公式サイトでは、アルカン作曲の Op.39-7ではなく、Op.39-12の「イソップの饗宴」が演奏候補曲として記載されておりましたが、その後変更されておりました。
エリザベートの第1次予選では、だいたい6曲の候補曲の中から4~5曲が選ばれているようですが、コンテスタントはあらゆるパターンを考慮して曲順を決めておられるのでしょう。
亀井さんの場合も、選ばれた曲に対して最適な配置を考え抜いたことが伺えました。
今回の亀井さんの曲順は、
ベートーヴェンの落ち着いた秋~ショパンの木枯らし~リストの雪あらし~バレキレフの明るい春
まるで一年の移り変わりを音楽で描いているかのような、自然な流れと起伏に富んだプログラム構成でした。
特に最後のバラキレフで印象的なフィナーレを飾ったことで、聴衆の記憶に強く残る演奏となりました。
技巧的にも音楽的にも極めて高い水準の演奏でしたが、それ以上に感じられたのは亀井さんの音楽に対する真摯な姿勢と情熱です。
ショパンコンクールでは残念でしたが、エリザベートではファイナル進出、そして、グランプリに輝かれることを心から願っております!
亀井さんの今回の演奏は、そのポテンシャルを十分に示すものでした。
彼の音楽が国際的に高く評価され、さらに多くの人々に届くことを願ってやみません。
まとめ
エリザベート第1次予選の亀井聖矢さんの演奏の感想をお伝えしました。
セミファイナル以降も、エリザベートの注目ピアニストたちの演奏の感想をお届けしていく予定です!
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











