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【響きの芸術家】中川優芽花さん、エリザベート第1次予選で披露された音色の妙技〜エリザベート王妃国際音楽コンクールピアノ部門2025

2025.05.10

今回は、エリザベート第1次予選に出場された中川優芽花さんの、演奏についての感想をお届けします。

中川さんは、5月9日(金)深夜3時からの部に登場され、当日指定された次の曲を演奏されました。

モーツァルト作曲:ソナタ第3番 K.281 第1楽章 変ロ長調
ショパン作曲:スケルツォ第3番 Op.39 嬰ハ短調 
ショパン作曲:エチュード Op.10-8 ヘ長調
ラフマニノフ作曲:エチュード「音の絵」より Op.39-9 ニ長調

日本人離れの音楽性

深い打鍵

などと評される中川さんは、ドイツのデュッセルドルフで生まれ育ち、イギリス留学を経て、現在はワイマールのフランツ・リスト音楽大学で学ぶ国際派ピアニスト

2021年のクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝するなど、若くして数々の実績を残されています。

先日おこなわれたショパン国際ピアノコンクールの予備予選では上品かつ情熱的な演奏を披露され、私はリアルタイムで聴いていて、緻密に計算された構成に惹きこまれました。

中川さんの演奏をもっと聴きたい!

そう思ったのは、私だけではなく、審査員の方々も同じだったようです。

見事、予備予選を通過して、10月からのショパン国際ピアノコンクール本大会への進出を決めておられます。

エリザベートでも大注目です!

なお、本番の演奏は、エリザベート公式サイトにアップされます。

下記からぜひご確認ください。

エリザベート公式の中川優芽花さんプロフィールページ

エリザベート公式の動画一覧ページ

※動画がアップされるまで少しタイムラグがあるようです

以降に私の感想が続きます。

演奏を聴いた感想

ショパン国際ピアノコンクールでは素晴しいショパンの数々を聴かせていただき、前期ロマン派を堪能しましたが、古典派や近代曲の演奏をとても楽しみにしていました

やはり中川さんの感性は、どの時代の曲でも研ぎ澄まされていました

しかも押し付けることなく、スーッと入って来ます。

黒いパンツスタイルの中川さんは、いつもの親しみやすいニコニコした表情で登場されました。

モーツァルト作曲:ソナタ第3番 K.281 第1楽章 変ロ長調

モーツァルトは18曲のピアノソナタを作曲しましたが、この曲は19歳頃に作られた初期の作品です。

モーツァルトは、はじめてのピアノソナタをデュルニッツ男爵の依頼で6曲連作しました。

というわけで、ソナタ第1番~第6番は「デュルニッツ・ソナタ」と呼ばれます。

第3番は装飾音や細かい音符が多いのが特徴で、モーツァルトの自由で即興的な印象を与える作品です。

中川さんの演奏はタッチが軽やかで、若き日のモーツァルトの爽やかな趣きがありました。

ノンレガート気味のキラキラしたタッチで高速に演奏するのは、かなりのテクニックが必要ですが、その上、実に表情豊かでした。

なお、今回の課題は第1楽章のみとなっています。

ショパン作曲:スケルツォ第3番 Op.39 嬰ハ短調 

2025年4月26日のショパン国際ピアノコンクールの予備予選でも演奏されました。

1曲目のモーツァルトが明るく天真爛漫な少年だとすると、この曲はちょっと気難しい多感な青年といった感じです。

風変わりな序奏の後、オクターブの連続が現れますが、決然としたタッチで抜群のテクニックです。

ffも荒れることなく、バランスの取れた音量でした。

そして、コラールが転調をくり返しながら登場しますが、1フレーズごとに物語があり、喜怒哀楽が見え隠れしています。

直近のショパンコンクールで聴かせていただいているので、中川さんの構成はわかっていましたが、やはり何度聴いても素晴らしかったです。

ただ、ミスタッチがあり、ショパンコンクール直後で少々お疲れだったかも。

比較すると、ショパンコンクールでの演奏の方がよかったかなと感じました。

ピアノとの相性もあったかもしれません。

ショパン作曲:エチュード Op.10-8 ヘ長調

この曲もショパン予備予選でも演奏されました。

激しさのあるスケルツォの後の、心をほぐす清涼剤のようでした。

白鍵が多い曲を速いテンポで弾くのはとても難しいのですが、中川さんの高速で拍感を守った演奏は、とても聴き心地がよかったです。

右手の精密で細かいパッセージに対して、左手は全く別の楽器のように聴こえて、会話をしているようでした。

中川さんはお顔の表情が豊かで、どのような音を出そうとしているのかよくわかります。

ラフマニノフ作曲:エチュード「音の絵」より Op.39-9 ニ長調

「音の絵」Op.39の中で唯一の長調の作品です。

重厚感のある音色で「音の絵」Op.39のフィナーレを飾ります。

行進曲のようなリズムが特徴的で、ラフマニノフは東洋を意識して作ったということです。

正確なリズムの中にある絶妙な間

歯切れのよいタッチ

包容力のあるff

中川さんの新たな魅力が炸裂しました!

全体を通しての印象

今回演奏された曲のほかに

リスト作曲:超絶技巧練習曲 第5番「鬼火」
リゲティ作曲:エチュード 第3番「妨げられた打鍵」

を用意されていましたが、今回のプログラムには選ばれませんでした。

個人的には、この2曲を聴いてみたかったです。

ショパン予備予選を通過されましたので、自信をもった良い状態で演奏に挑めたのではないでしょうか。

しかし、今回またショパンを2曲も弾くのはプレッシャーがあったでしょうね。

セミファイナルで、また違う曲が聴けることを祈っています。

まとめ

中川優芽花さんのエリザベート第1次予選の演奏の感想をお伝えしました。

今後も、エリザベートの注目ピアニストたちの演奏の感想をお届けしていく予定です!

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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