【若き才能】奥井紫麻さん、類まれなる音楽性をショパン予備予選で披露〜ショパンコンクール2025
ショパン国際ピアノコンクール予備予選で奥井紫麻さんが演奏されました!
演奏についての感想をお届けします。
奥井さんは、5月2日、日本時間で17時に演奏し、次の5曲を披露されました。
エチュード Op.10-8 ヘ長調
エチュード Op.10-10 変イ長調
ノクターン Op.27-1 嬰ハ短調
スケルツォ 第2番 Op.31 変ロ短調
マズルカ Op.24-4 変ロ短調
特に注目していたのは、奥井さんの豊かな音色と表現力です。
2004年5月生まれの彼女は、まだ20歳という若さながら、すでに世界各国の名だたる舞台で輝かしい実績を残されています。
クラシックバレエを経てピアノの魅力に目覚めた奥井さんは、12歳でロシアに留学し、モスクワ音楽院付属中央音楽学校で学び、2023年にはグネーシン特別音楽学校を首席で卒業。
現在はスイスのジュネーヴ高等音楽院でネルソン・ゲルナーに師事しながら、引き続きロシアのグネーシン音楽大学でタチアナ・ゼリクマンにも師事している国際派ピアニストです。
『感性・歌心・技術のすべてに恵まれた稀有な存在』
と評される彼女が、ロシアで培った深い音楽性をショパン作品でどう表現するのか、非常に興味深いところです。
演奏を聴いた感想
黒とシャンパンゴールドのストライプのドレスに黒のジャケットという装いが、今日のプログラムにとても合っていました。
インターネットでインタビューの動画を拝見して、知的で落ち着いた方という印象でしたが、演奏もその通りで、さらにエレガントでゴージャス!
コンクールであることを忘れてしまうほど、聴き惚れました。
ノクターン Op.27-1 嬰ハ短調
この曲は祖国ポーランドを離れ、パリで名声を高めつつあった、ショパン25歳頃に作曲された作品です。
最初で最後となった家族との再会や、愛や孤独といった複雑な感情が、この音楽に影を落としているとも言われます。
日本人ピアニストの中でこの曲を弾かれるのは、23日に演奏された亀井聖矢さんと奥井さんのお二人だけ。
亀井さんはどちらかというと硬質な音でしたが、奥井さんは伸びやかな音でした。
テクニック的にはお二人とも文句なしなので、音質は解釈の違い、好みの問題ですね。
エチュード Op.10-8 ヘ長調
こちらは26日に中川優芽花さんが演奏されたエチュードです。
コンクールも終盤なので、曲が重なって聴き比べの楽しみもあります。
奥井さんの演奏はテクニックがしっかりしていて、崩れないであろう安心感があります。
スッと力が抜けるところが絶妙で美しかったです。
エチュード Op.10-10 変イ長調
この曲もたくさんの方が弾かれましたが、この曲の魅力を充分に引き出した素晴らしい演奏でした。
親指と小指の音色を使い分けるところなど、新鮮なアイデアの連続で「次はどうなるのか?」と楽しませていただきました。
マズルカ Op.24-4 変ロ短調
作品24の4つのマズルカは、ショパンが25歳頃の作品で、同時期には作品23の「バラード第1番」や作品22の「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズ」など、華やかな名曲が目白押しです。
作品24の第4曲は内容も充実していて、ショパンのマズルカの傑作との呼び声も高いです。
ここでショパンのマズルカについて簡単にご説明させていただきます。
ポーランドには5つの民族舞曲があり、その一つがポロネーズです。
ショパンはあとの4つの中からマズール、オベレク、クヤヴィアクという3拍子の舞曲を組合せることによって、マズルカという舞曲を誕生させ、芸術的に高めました。
Op.24-4は、ゆったりした深い感情のクヤヴィアクからはじまり、途中3拍目で足を強く踏み鳴らすマズールも登場します。
奥井さんの演奏には工夫が随所に見られました。
特に親指の使い方が斬新で驚きました。
中間部ではユニゾンで歌う場面がありますが、高音部が女声、低音部が男声のようです。
リピート後の2回目は、あっと驚くリズミカルな表現で面白かったです。
スケルツォ 第2番 Op.31 変ロ短調
スケルツォの中では弾きやすいイメージがあります。
4曲のスケルツォの中では、一番最初に取り組んだ方も多いのではないでしょうか。
静と動の振り幅が大きく、色彩感のコントラストも強い曲なので、演奏者によって激変する曲とも言えます。
奥井さんの手にかかると、躍動感と流麗な音色によって輝きが倍増します。
あらためてこの曲のすばらしさを教えていただき、大満足でした。
全体的な印象
ゴージャスだけど上品で、大胆だけど繊細。
それらは計算しつくされています。
本大会には進出されるでしょう。
昨年のリサイタルでは、「舟歌 Op.60 嬰ヘ長調」や「24のプレリュード Op.28」を弾かれているので、ぜひ聴かせていただきたいと思います。
将来への展望
奥井さんは今夏のブゾーニ国際ピアノコンクールの本大会出場も決定しておられます。
このコンクールは過去にマルタ・アルゲリッチが優勝したこともあるイタリアで最も権威あるコンクールの一つです。
実はショパン国際ピアノコンクールの予備予選終了後すぐに、5月15日に東京で奥井さんのリサイタルがあります。
そのプログラムでのショパンの作品は「ノクターン Op.48-1 ハ短調」「アンダンテ・スピアナートと華麗なる大ポロネーズOp.22 変ホ長調」のみ。
あとは、J.S.バッハ・ブゾーニ編やモーツァルト、スクリャービン、ラフマニノフの作品です。
おそらく、ブゾーニ国際ピアノコンクールを見据えた選曲だと思います。
ご興味のある方はぜひ生演奏をお聴きくださいね。
8月27日〜9月7日に開催されるブゾーニでの活躍も視野に入れつつ、まずはショパンコンクールでの本大会進出を目指す奥井さん。
まだ20歳ながら、海外でのキャリアを着実に積み上げている彼女の今後の活躍から目が離せません。
ロシア音楽を得意とする奥井さんが、ポーランドが生んだ作曲家ショパンの作品をどう表現するのか。
彼女の音楽の旅に、これからも注目していきましょう。
まとめ
奥井紫麻さんのショパン予備予選の演奏の感想をお伝えしました。
今後も、ショパンコンクールの注目ピアニストたちの演奏の感想をお届けしていく予定です。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











