【繊細な表現力】中川優芽花さん、ショパン予備予選で魅せた卓越した音楽性〜ショパンコンクール2025
ショパン国際ピアノコンクール予備予選で中川優芽花さんが演奏されました!
演奏についての感想をお届けします。
中川さんは4月26日、日本時間で18:00に演奏し、次の5曲を披露されました。
エチュード Op.10-8 ヘ長調
エチュード Op.10-10 変イ長調
ノクターン Op.62-1 ロ長調
スケルツォ 第3番 Op.39 嬰ハ短調
マズルカ Op.30-4 嬰ハ短調
私が特に注目していたのは、中川さんの音楽性です。
ドイツのデュッセルドルフで生まれ育ち、イギリス留学を経て現在はワイマールのフランツ・リスト音楽大学で学ぶ国際派ピアニスト。
2021年のクララ・ハスキル国際ピアノコンクールで優勝するなど、若くして数々の実績を残されています。
「日本人離れの音楽性」
「深い打鍵」
などと評される中川さんが、ショパンをどう解釈するのか非常に興味深いところでした。
演奏を聴いた感想
黒のパンツスタイルでにこやかに登場された中川さん。
ショパンコンクールに出場されたピアニストの方々は、これまでの人生で経験したことのない緊張感があると、出場された皆さんが口をそろえておっしゃいます。
表情からは緊張が見えませんでしたが、中川さんは実際はどうだったのでしょうか。
海外のコンクールの優勝やヨーロッパでの演奏経験が豊富な中川さんのショパンを、私はとても楽しみに思っていました。
まず最初に感じたのは、指がとてもしっかりしているのに、指先がしなやかであることです。
この指先から多種多様な音が生み出されるのを、カメラが間近でとらえていて、「深い打鍵」を見ることができ感動しました!
ノクターン Op.62-1 ロ長調
前回大会のノクターン枠で反田恭平さんも弾かれましたね。
ジョルジュ・サンドと破局を迎えた36歳頃の作品です。
この3年後にショパンは人生を終えるのですが、作品60の「舟唄」、作品61の「幻想ポロネーズ」など、この時期にも素晴らしい大作を残しました。
中川さんはとにかくpp(ピアニッシモ)が美しく、緻密に計算された構成に惹きこまれました。
再現部はトリルなどの装飾音で彩られるのですが、ショパンが自分の死を受け入れて静かに微笑んでいるように感じました。
中川さんの細やかなトリルの美しさは絶品でした。
エチュード Op.10-8 ヘ長調
芸術的ではあるけれど、練習曲らしさもある作品です。
白鍵が多い曲を速いテンポで弾くのはとても難しいのですが、中川さんの高速で拍感を守った演奏は、とても聴き心地がよかったです。
右手の精密で細かいパッセージに対して、左手は全く別の楽器のように聞こえて会話をしているようでした。
エチュード Op.10-10 変イ長調
右手は単音と重音を交互に弾く分散和音の作品です。
ハーモニーの変化を美しく表現するのはもちろんですが、左手は3連符刻みであるのに対し、右手が2連符であるというように、高度なリズム感も求められます。
アクセントやスタッカートにより4つの変化がありますが、気負うことなく奏でられる瑞々しい演奏は、これが難曲であることを忘れてしまうようでした。
マズルカ Op.30-4 嬰ハ短調
ジョルジュ・サンドと出会う前に、結婚を真剣に考えていた若い貴族の女性との苦しい恋愛期間の作品です。
ショパンの健康面、身分の差などの理由で女性の両親に結婚を反対され、破局を迎えます。
この曲はどこにもぶつけられない思いを抱えているという印象で、深い内面を見事に表現されていました。
繊細な音を出す指先のコントロールが難しく、テクニック的にも大変高度な曲です。
スケルツォ 第3番 Op.39 嬰ハ短調
4曲のスケルツォの中で一番野性味を感じます。
風変わりな序奏の後、オクターブの連続が現れますが、決然としたタッチで抜群のテクニックです。
しかも常に中川さんの感性が存在しています。
そしてコラールが転調をくり返しながら登場しますが、中川さんはあるときはオルガンのように神聖に、またあるときはオーケストラのように荘厳にと、多彩な音で表現されていました。
合間の木枯らしのエチュードの音型に似たパッセージは、どこまでも軽やかで穏やかです。
最後のコラールが単音になるのですが、その孤独感がすさまじかったです。
まだ20代前半の中川さんが、これほど辛く悲しいフレーズを奏でることができるのかと鳥肌がたちました。
ff(フォルティッシモ)も荒れることなく、バランスの取れた音量でした。
全体的な印象
とても上品かつ知的な演奏で、これほど素晴らしいとは嬉しい衝撃でした。
ショパンの作品を基礎から深く学んでおられるのが伝わってきましたね。
安心して聴いていられるし、もっと聴きたい!と思いました。
きっと演奏を聴かれた方は、そう思われているでしょう。
今回の演奏を聴いて、ファンが世界中で急増したに違いありません。
本大会にはおそらく出場されるでしょう。
今年のリサイタルではバラード全4曲、英雄ポロネーズ、ソナタ 第2番 変ロ短調 Op.35などがプログラムにありました。
これからどの曲がラインアップされるのか楽しみです。
ダブルエントリーと今後の展望
亀井聖矢さん同様、中川さんもショパンコンクールとエリザベート王妃国際音楽コンクールにダブルエントリーされています。
今回のショパン予備予選が4月26日、そして、エリザベート第1次予選がベルギーに移動して5月5日から10日の間と、非常にタイトなスケジュールでの挑戦です。
体調管理と精神的なリフレッシュが最も重要になる時期です。
これから決まってくるであろうエリザベートでの演奏日程も気になりますね。
引き続き応援していきます!
まとめ
中川優芽花さんのショパンコンクール予備予選の演奏の感想をお伝えしました。
今後も、ショパンコンクールの注目ピアニストたちの演奏の感想をお届けしていく予定です。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











