【難曲5選】予備予選エチュード 難度ランキング 〜 ショパンコンクール2025
世界中の若きピアニストたちが極限の技巧と音楽性を競う「ショパン国際ピアノコンクール」の舞台で、特に注目したいのがショパンのエチュードです。
難度の高さと美しさを兼ね備えたこれらの作品は、しばしば「コンクールの関門」とも呼ばれ、多くのピアニストの運命を左右してきました。
ショパンの24曲のエチュードは、ピアノ練習曲として高度な技巧習得を目的に書かれていますが、芸術性も見事に両立させた画期的な作品群であることはご存じのとおりです。
3度の練習曲
オクターブの練習曲
というように、1つの要素だけで1つの作品ができあがっていることが特徴で、どれも難曲ぞろいです。
全ての調の音階とアルペジオ、半音階、重音音階などの基礎練習を積み重ねて「それぞれが相当な速さで美しく弾けるようになった人しかレパートリーにできない」と言っても過言ではありません。
さて、ショパン予備予選でのエチュードの課題曲は全24曲中の17曲です。
具体的には次の通りです。

これらの課題曲に指定されたエチュードの中で、特に難曲であるとされている作品をランキング形式で紹介したいと思います!
なお、この順位はあくまでも個人の感想ですので、参考程度にお考えください。
第5位:エチュード Op.10-10 変イ長調
右手6度の分散和音のエチュードです。
似たようなパッセージを様々なアクセントやスタッカート・レガートで弾き分ける必要があり、同時に連続する6度音程を正確に揃えること自体も非常に困難です。
このため基礎的な指の独立や、和音のバランス感覚がしっかりしていないと攻略は厳しいでしょう。
ただし、2・5指(人差し指・小指)で楽に6度が届く人にとっては、幾分有利な曲と言えるかもしれません。
演奏上の難所
右手は単音と重音を交互に弾いていき、アクセントやスタッカートにより4つの変化を付けます。
左手にlegatissimo(非常になめらかに)とありますが、離れた音が多い曲です。
つまり、スラーの切れ目にもレガートが必要であることを意味しています。
さらに右手とのリズムの組み合わせが難しく、両手の独立性と緻密なコントロールが求められる作品です。
なお、予備予選では23名の日本人ピアニストうち、次の10名の方がこの曲を演奏されます。
北桜子(Sakurako Kita)
京増修史(Shushi Kyomasu)
前川愛実(Megumi Maekawa)
中川優芽花(Yumeka Nakagawa)
重森光太郎(Kotaro Shigemori)
島田隼(Jun Shimada)
進藤実優(Miyu Shindo)
東海林茉奈(Mana Shoji)
奥井紫麻(Shio Okui)
稲積陽菜(Hina Inazumi)
第4位:エチュード Op.25-10 ロ短調
オクターブのエチュードです。
フォルテッシモでの連続オクターブ奏法を主体とする、極めて体力勝負の難曲です。
高速で強靭なオクターブ奏法を最後まで安定して続けるには、手首や腕の力を抜く工夫や、音色のコントロールなど、洗練された技術が要求されます。
卓越した打鍵コントロールとスタミナが求められるため、コンサートピアニストでも演奏を敬遠する人がいるほどの難曲として知られています。
演奏上の難所
全編がオクターブ連打による急速なパッセージで構成されており、休む間もなく両手が大きく跳躍し続けるため、非常に疲労しやすい点です。
中間部の美しい旋律までもがすべてオクターブで奏でられるため、メロディを歌わせながらオクターブを維持する高度な技巧が必要です。
さらに、曲全体を通してダイナミクス(強弱)を細かく表現するため、パワーと繊細さの両立も求められ、演奏者の総合力が試される作品となっています。
なお、予備予選では23名の日本人ピアニストのうち、次の4名の方がこの曲を演奏されます。
西本裕矢(Yuya Nishimoto)
山﨑亮汰(Ryota Yamazaki)
尼子裕貴(Yuki Amako)
今井理子(Riko Imai)
第3位:エチュード Op.25-11 イ短調「木枯らし」
分散和音のエチュードです。
「木枯らし」の愛称で呼ばれますが、聴いた印象通り演奏も極めて難度が高い作品です。
様々な音程の分散和音が超高速で自由自在に動き、和声的変化も頻繁にあります。
しかもドラマティックに展開していくので、技術面だけでなく、感情の激しさや詩的な美しさの表現力の高さも求められます。
演奏上の難所
右手は嵐のような高速パッセージが延々と続き、途切れないスタミナと指さばきが求められます。
旋律は主に左手が担当するため、猛スピードの中でも左手でメロディを歌わせつつ、右手の伴奏を制御する高度な技術と表現力が要求されます。
まさに超絶技巧の作品です。
なお、予備予選では23名の日本人ピアニストのうち、次の8名の方がこの曲を演奏されます。
亀井聖矢(Masaya Kamei)
北桜子(Sakurako Kita)
京増修史(Shushi Kyomasu)
前川愛実(Megumi Maekawa)
中島結里愛(Yulia Nakashima)
島田隼(Jun Shimada)
進藤実優(Miyu Shindo)
山﨑亮汰(Ryota Yamazaki)
第2位:エチュード Op.10-2 イ短調
特殊な指づかいによる半音階のエチュードです。
一見地味に聴こえますが、プロの間でも指折りの「隠れ最難関」として知られる曲です。
専門家からも
「Op.10-2とOp.25-6の2曲が最も難しい。いずれも弱い指の完全な制御を要求され、演奏会で崩壊しやすい」
と評されており、演奏の難しさは折り紙つきです。
演奏上の難所
演奏上の難所は、右手の極端に特殊な運指にあります。
旋律は右手で担いますが、3・4・5指(中指・薬指・小指)で黒鍵上の高速な半音階パッセージを弾きながら、同じ右手の1・2指(親指・人差し指)で和音(白鍵)を同時に打鍵するという離れ業が要求されます。
これはピアノ奏法の中でも極めて難度が高く、弱い指を酷使するため制御が難しいです。
そのため、僅かな乱れで音形が崩れてしまう危険が常に伴います。
また左手も跳躍を交えた伴奏を担当するためリズム維持が難しく、両手のアンサンブル力も問われる作品となっています。
なお、予備予選では23名の日本人ピアニストのうち、亀井聖矢さん、ただ一人がこの曲を演奏されます。
見逃せませんね!
第1位:エチュード Op.25-6 嬰ト短調
3度の重音のエチュードです。
ショパンの全エチュードの中でもトップクラスに難しいと広く認識されています。
専門家からは
「大半の人には最初の1小節ですらまともに弾くことは不可能」
とまで評されているほどです。
演奏上の難所
全編にわたり3度(長短三度)の重音による高速な音階パッセージが休みなく続く点が最大の難所です。
片手で常に2音を同時に押さえる重音奏法は非常に難度が高く、とりわけ3・4・5指(中指・薬指・小指)といった弱い指を酷使するため、高度なコントロールが要求されます。
指がもつれて崩れやすい曲であり、一瞬の気の緩みも許されません。
また、左手も広い音域を跳躍する伴奏を担い、両手の独立した繊細な動きが必要になるため、総合的な技術力が試されます。
なお、予備予選では23名の日本人ピアニストのうち、次の3名の方がこの曲を演奏されます。
尾城杏奈(Anna Ojiro)
小野田有紗(Arisa Onoda)
山縣美季(Miki Yamagata)
まとめ
ショパンのエチュードは、単なる技術練習にとどまらない芸術的価値を持ち、ピアニストの実力を総合的に問う作品群です。
今回ご紹介した5曲は、いずれも高度な技術と音楽性を要求する難曲ですが、予備予選では選曲も勝負の分かれ目となります。
自分の強みを最大限に活かせる曲を選ぶのか、あえて難曲に挑戦して審査員の印象に残る演奏を目指すのか。
各ピアニストの戦略も興味深いポイントです。
予備予選では、単なる技術の誇示ではなく、音楽性や感性も含めた総合的な演奏力が求められます。
それぞれのピアニストが選んだエチュードと、その演奏に注目してみてください。
きっと新たな発見や感動があるはずです。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。











