ロン=ティボー国際音楽コンクール【2025年注目のピアノコンクール】
2025年、あけましておめでとうございます。
本年もよろしくお願いいたします。
早速ですが、今年開催される国際ピアノコンクールは注目度の高いものが多いですね!
なんといってもその筆頭はショパンコンクールで、ぴあにーずは以前から情報を追いかけています。
先日公開した記事では、ワルシャワへの登竜門である「ショパン国際ピアノコンクール in ASIA」をご紹介しましたが、今回は2025年にパリでおこなわれる「ロン=ティボー国際音楽コンクール」のスケジュールや課題曲、それから、日本人ピアニストの状況を順にお伝えします。
ロン=ティボーの歴代優勝者、入賞者の方々は現在の音楽界を牽引する名ピアニスト・音楽教授の方々です。
いま日本で大活躍されているあの方も名を連ねます。
ロン=ティボー国際音楽コンクール
ロン=ティボー国際音楽コンクールはフランス・パリで3年に1度開催されるコンクールです。
ピアニストのマルグリット・ロンとヴァイオリニストのジャック・ティボーが共同でロン=ティボー財団を創設し、1943年に第1回が開催されました。
第2次世界大戦中だったということには驚きですね。
ピアノ部門とヴァイオリン部門があり、才能あふれる若手音楽家の登竜門となっています。
今回はピアノ部門についてお話させていただきます。
予選、準決勝、決勝は2025年3月にパリで行われますが、その前にビデオ審査があります。
ビデオ審査の課題曲は次の通りです。
1.ショパン作曲 ソナタ 第2番 変ロ短調(第1楽章と第4楽章)
2.ショパン作曲 練習曲 作品10-2 または作品25-6のいずれか
3.フォーレ作曲 即興曲 作品31-2 ヘ短調 または プロコフィエフ作曲スケルツォ 作品12-10 イ短調のいずれか
ショパンのソナタの課題曲は、マルグリット・ロンの遺言に従って、ほとんど変わらず毎回出されています。
日本予選
今回はロン=ティボー財団と河合楽器がパートナーシップ協定を結び、ビデオ審査の代わりとなる日本予選が実現しました。
日本予選を通過された6名のコンテスタントを、順にご紹介させていただきます。
大山桃暖さん
大山桃暖(おおやまもだん)さんは、大阪音楽大学1回生です。
2024年、「ザルツブルク=モーツァルト国際室内楽コンクール in Tokyo」ピアノソロ部門 第2位(1位なし)などの受賞歴があります。
NHK TVアニメ「ピアノの森」では、一ノ瀬海の小学生時代の演奏をオーディションで勝ち取りました。
伊舟城歩生さん
伊舟城歩生(いばらきあゆむ)さんは、東京音楽大学大学院修士課程を修了されました。
これまでに安川加壽子記念コン クール入選、Shigeru Kawai 国際ピアノコンクール第3位などを受賞されています。
稲垣慈永さん
稲垣慈永(いながきじえい)さんは、京都市立芸術大学3回生です。
2024年には松方音楽賞のピアノ部門で音楽賞などの受賞歴があります。
神原雅治さん
神原雅治(かんばらまさはる)さんは、名古屋音楽大学4回生です。
2022年仙台国際音楽コンクールで審査員奨励賞、2023年ハンス・フォン・ビューロー国際コンクールで第3位を受賞されています。
高尾真菜さん
高尾真菜(たかおまな)さんは東京藝術大学を卒業後、名古屋音楽大学大学院に在学中です。
第9回刈谷国際音楽コンクールでグランプリを受賞されています。
島多璃音さん
島多璃音(しまたりいと)さんは東京藝術大学に在学中です。
2023年ポッツォーリ国際ピアノコンクール最高位および、聴衆賞を受賞されています。
また、日本予選を受けずにビデオ審査を通過された日本人ピアニストもあわせてご紹介いたします。
次の4名の方々です。
青島周平さん
青島周平(あおしましゅうへい)さんは、パリ国立高等音楽院に在籍中です。
2023年第5回高松国際ピアノコンクール第2位で、同時に委嘱作品演奏者賞及び特別賞も受賞されています。
藤澤亜里紗さん
藤澤亜里紗(ふじさわありさ)さんは、東京音楽大学大学院修士課程を首席で卒業されました。
第9回セシリア国際音楽コンクール第2位(1位無し)などの受賞歴があります。
松田彩香さん
松田彩香(まつだあやか)さんは、パリ国立高等音楽院に在籍中で、2020年、フランス財団よりモニーク・ローリン賞を受賞されています。
永康毅さん
永康毅(ながやすたけし)さんはジュリアード音楽院を卒業されています。
2019年コシチュシュコ財団ショパンピアノコンクール第1位など、海外のコンクールで多くの受賞歴があります。
2025年3月にパリの予選に進出するコンテスタントは32名ですが、そのうちの10名が日本人です。
いずれの方々も名だたるコンクールの受賞歴があり、前途洋々のピアニストです。
予選〜ファイナルまでのスケジュールと課題曲
予選はパリのクロード・ドビュッシー音楽院にて、3月25日(火)~27日(木)におこなわれます。
予選の課題曲はビデオ審査の課題曲とほぼ同じで、違いはショパンエチュードの代わりに8分以内の自由曲を演奏することです。
1.ショパン作曲 ソナタ 第2番 変ロ短調(第1楽章と第4楽章)
2.フォーレ作曲 即興曲 作品31-2 ヘ短調 または プロコフィエフ作曲スケルツォ 作品12-10 イ短調のいずれか
3.自由選択曲(最長8分)
続くセミファイナルもクロード・ドビュッシー音楽院で、3月28日(金)におこなわれます。
セミファイナルの課題曲はビデオ審査の課題曲として演奏したショパンエチュードと、40分のプログラムです。
ファイナルはオペラ・コミック劇場にて3月30日(日)におこなわれます。
決められたコンチェルトから1曲を選択し、オーケストラと共演します。
課題曲の選択肢は次のとおりです。
以下のコンチェルトから1曲を選択します。
– ラフマニノフ:協奏曲第3番
– ブラームス:協奏曲第1番
– ラヴェル:協奏曲 ト長調
– プロコフィエフ:協奏曲 第3番
– チャイコフスキー:協奏曲 第1番
– ベートーヴェン:協奏曲 第4番
– ショパン:協奏曲 第2番
– サン=サーンス:協奏曲 第2番
– モーツァルト:協奏曲 ハ短調 K.491
3月25日の予選スタートから3月30日のファイナルまで6日間、ハードスケジュールです。
ビデオ審査と予選・セミファイナルの曲が被っている分、曲数は少なく感じますが、自由曲でどのような個性を見せてくれるのか、楽しみですね。
歴代優勝者・入賞者
歴代優勝者、入賞者の方々は音楽界を牽引する名ピアニスト・音楽教授の方々です。
一部をご紹介させていただきます。
1943年 第1位 サンソン・フランソワ
1943年大会では、サンソン・フランソワが第1位に輝きました。
フランスを代表するピアニストの一人で、特にショパン、ドビュッシー、ラヴェルを得意としていました。
「ベートーヴェンは生理的に受け付けない」
などのビックリ発言も多かったようです。
ドビュッシー全曲レコーディング完了の直前に、心臓発作のため46歳で亡くなりました。
1949年 第1位 アルド・チッコリーニ
1949年大会では、アルド・チッコリーニが第1位に輝きました。
イタリア人ですが、その後フランスに帰化しています。
膨大な録音歴は彼の偉業の1つで、サティ全集の録音では全世界にサティブームを巻き起こしました。
速弾きの名手としても有名です。
1953年 第2位(1位なし)フィリップ・アントルモン、第4位 田中希代子さん
1953年大会では、フィリップ・アントルモンが1位なしの第2位になりました。
名実共に現代フランスを代表するピアニスト・指揮者です。
2010年よりショパン国際ピアノコンクールの審査員を務められています。
また、同じ大会で日本人ピアニストの田中希代子(たなかきよこ)さんが第4位入賞を果たしておられます。
1952年のジュネーヴ国際音楽コンクールと1955年のショパン国際ピアノコンクールでも入賞されており、3つの国際コンクールの日本人初入賞者です。
1975年 第2位 海老彰子さん
1975年大会では、海老彰子(えびあきこ)さんが第2位に入賞されています。
1980年の第10回ショパン国際ピアノコンクールでも第5位入賞され、現在は審査員を務められています。
1983年 第1位 スタニスラフ・ブーニン
1983年大会ではスタニスラフ・ブーニンが第1位に輝きました。
17歳で最年少の優勝でしたが、その2年後に19歳で第11回ショパン国際ピアノコンクールで優勝し、ブーニン旋風を巻き起こします。
ソ連出身ですが、のちに西ドイツに亡命します。
1998年 第2位 梯剛之さん
1998年大会では梯剛之(かけはしたけし)さんが第2位に入賞されています。
梯さんは生後1ヶ月で失明した盲目のピアニストです。
2019年 第1位 三浦謙司さん、第2位 務川慧悟さん
2019年大会では三浦謙司(みうらけんじ)さんが第1位に輝きました。
2012年にベルリン芸術大学を中退し、音楽の世界から一度離れる決断をした異色のピアニストです。
日本で色々な仕事やボランティア活動をされた経験が、新しい世界観を生み出したのかもしれませんね。
また、同じ2019年大会で務川慧悟 (むかわけいご)さんが第2位入賞されています。
務川さんはのちの2021年、世界三大コンクールの一つである、エリザベート王妃国際音楽コンクールでも第3位を受賞されました。
難易度も知名度も高い2つの国際コンクールの上位入賞で、大きな注目を集めましたね。
2022年 第1位 亀井聖矢さん
2022年大会では亀井聖矢 (かめいまさや)さんが第1位に輝きました。
同年ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにて、セミファイナリストになられたのは記憶に新しいです。
まとめ
ロン=ティボー国際音楽コンクールのスケジュールや課題曲、2025年大会の日本人ピアニストの状況、歴代優勝者および入賞者を順にお伝えしました。
2025年は今回お話ししたロンティボーだけでなく、ショパン国際ピアノコンクール・エリザベート王妃国際音楽コンクール・クララ・ハスキル国際ピアノコンクールなど、注目のピアノコンクールがたくさんあります。
なるべく多く、皆様にお伝えできるように引き続き情報発信しますので、引き続き応援をよろしくお願いします!
ショパン国際ピアノコンクールに関連する他の記事はこちら↓↓
YouTubeでも情報を発信しています。
チャンネル登録をよろしくお願いします!

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。