【初級?中級?上級?】ピアノのレベルの判断基準は”ピアノIQ”
自分のピアノ演奏がどのレベルかということはとても気になるところです。
ピアノのレベルの判断基準について、私の見解を紹介します。
教材でのレベルの判断は難しい
バイエルが基本の教材となっていた時代は、ほとんどの方がバイエルが終わる頃にはブルグミュラーに入り、ブルグミュラーが終わる頃にはソナチネアルバムに入っていました。
そしてバイエルは初心者~初級、ブルグミュラーは初級~初中級、ソナチネアルバムは初中級~中級くらいのレベルとされていました。
今でもそれ自体は変わりありませんが、その他にも今では数え切れないほど色々な教材が使用されるため、現在、教材をピアノレベルの判断基準とするのは難しい状況です。
各教材を比べてみても、教材Aには初級として入っている曲が教材Bには中級として入っていることなどがよく見受けられます。
しかも、同じ教材を使っている方でも1曲を仕上げる時間にはバラツキがあるでしょう。
当然同じ1曲でも、時間をかけてやっと仕上げた方よりも、短い時間で仕上げた方のほうがピアノのレベルが高いのは言うまでもありません。
ピアノIQが判断基準
ときどき「私は今◯歳ですが、この曲は弾けますか?」や「どれくらい練習すれば弾けるようになりますか?」という質問を受けますが、これほど答えに困る質問はありません。
体格の差はあるにしても、一瞬のうちに弾ける小学生もいれば難航する大人もいるからです。
つまりピアノは「自分は何歳だからこの曲」とか「何年間ピアノを弾いているからあの曲」というレベル分けはできないということです。
実はピアノを習った期間などはそれほど関係なく、ピアノIQのようなものが影響するのではないかと思います。
ピアノIQとは「瞬時に次の音の予測ができる」「動体視力が高い」「指が速く動けて疲れない」「リズムを楽典的に理解できる」「音感によって音や調性がわかる」などの能力です。
これらは練習によって培われ成長しますが、幼児期の音感教育や天性の物も若干ふくまれます。
もちろん音大生やピアニストにとってこれらは必須条件だと言えます。
では初級・中級・上級というレベルはどのように判断すればよいでしょう?
ピアノレベルが初心者〜初級の方
厳しいですが、次のような方はまだ初心者〜初級レベルであると言えます。
- 楽譜の音がパッとわからない
- 指づかいのことを気にせずに適当に弾く
- フレーズ感がわかっていない
- 演奏記号などの意味がわからない
- 作曲家の意図を読み取ろうとしない
- 初見で弾くとき、その小節にしか目が行かない
ピアノレベルが中級の方
中級レベルはこのような方です。
- 音階やアルペジオなどの指づかいのルールを知っている
- 演奏記号などの意味を考慮して弾くことができる
- 難しい曲でも片手ずつなら初見である程度弾ける
- 初見で弾きながら少し先の小節まで目が行く
- ハノンを左右片手ずつ ♩=108 以上で弾ける
ピアノレベルが上級の方
上級レベルはこのような方です。
- 弾かなくても楽譜を見ただけでだいたいどんな曲かわかるほど、楽譜の音やリズムが読み取れる
- 初見から両手で弾けて先の小節まで目が行くため、その曲に合った自分の弾きやすい指づかいを即座に考えられる
- バロック、古典派、ロマン派、印象派、近代の作品を一通り弾いてきている
- ハノンを左右片手ずつ ♩=132 以上で弾ける
つまり初級レベルの方が時間をかけて上級の曲に挑戦したとしても、結局音をなぞるだけの空虚な演奏になってしまうということです。
やはり自分のレベルに合った作品を選曲して、その曲の魅力を存分に発揮する演奏を積み重ねていくことが、確実なピアノの上達の道です。
ピアノのレベルを確認する具体例
ピアノのレベルを確認するための具体例として、発表会などでよく弾かれるエステン(オースティン)作曲の『お人形の夢と目覚め』で解説します。
この曲は大きく3つの曲が合体したようなストーリー仕立てになっています。
第一部は子守歌からお人形が眠りに付くまでで、4分音符と2分音符と休符のみの構成でゆっくり進みます。
第二部は楽しい人形の夢の世界で、8分音符も入り色々なリズムも登場します。
速さは少し速めで発想記号も増えています。
第三部は人形が目覚めるところから始まり、軽やかな人形の踊りに続きます。
16分音符や付点のリズム中心の速い曲で、強弱にもかなり変化があります。
この曲の事を何も知らないという前提で、初心者、初級、中級、上級の方が初見で弾くこととします。
初心者の方は楽譜が読めても片手ずつゆっくり弾ける段階です。
まだ指づかいやスラーまでは気が回らないと思います。
おそらく第二部の左手からは無理でしょう。
初級の方は第一部をゆっくり両手で弾けるでしょう。
第二部は片手ずつなら弾けると思いますが、左手のバスのメロディーラインを出すことまでは気が回らないと思います。
第三部の人形の目覚めの部分と、ト音記号とへ音記号が混ざる最後のページはギブアップでしょう。
中級の方は第一部を感情をこめて両手で弾けるでしょう。
第二部、第三部も少しゆっくり目に弾くことができると思います。
しかし、スラーの位置やスタッカートなど細部までは気が回らないと思うので、初見では表現力が欠けた演奏になりがちです。
弾き直しもあるかもしれません。
上級の方は普段はもっと難解なショパンやドビュッシーなどの作品を譜読みされています。
この曲は初見でも、ほぼ指示通りの速さで表現力豊かに弾けると思います。
次のフレーズの予測や分析ができるので、スラーになる指づかいを使えたり、音の響きまで考えながらペダルを踏めます。
ミスをしても弾き直すことなく、拍子を考慮して止まらずに弾けるでしょう。
まとめ
ピアノのレベルの判断基準について、私の見解を紹介しました。
ピアノのレベルは教材や弾ける曲での判断は難しく、「瞬時に次の音の予測ができる」「動体視力が高い」「指が速く動けて疲れない」「リズムを楽典的に理解できる」「音感によって音や調性がわかる」などのピアノIQが判断基準です。
自分のレベルに合った作品を選曲して、その曲の魅力を存分に発揮する演奏を積み重ねていくことが、確実なピアノの上達の道です。
初心者・初級・初中級・中級の各レベルの曲は動画で選べる!ピアノ発表会おすすめ曲、中級・上級の各レベルの曲は動画で選べる!ピアノ中級上級おすすめ曲をそれぞれ参考にしてください。
本番の演奏に備えて
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皆様のピアノライフを心から応援しております。
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。