右脳の発達や情操教育に効果大。親子で楽しむリトミック
リトミックは身体を使って音感を豊かに育む音楽教育法です。
音楽をしっかり聴いて、それをステップや手拍子など、自分の身体・感性で表現することを通して音感を鍛えます。
自宅でも簡単にできます。
このページでは、リトミックの成り立ちやリトミックで得られる効果、そして自宅でできる簡単なリトミックを紹介します。
リトミックってどんなことするの?
リトミックをすると何が良いの?
習う意味あるの?
こんな疑問をお持ちの方には必見の内容ですので、ぜひ参考にしてみてください。
リトミックって何?
リトミックは、スイスの作曲家で音楽教育家でもある、エミール・ジャック=ダルクローズ(1865~1950)によって考案された音楽教育法で、身体を使って音感を豊かに育んでいくというものです。
例えば、楽譜に書いてあるリズムを覚える場合、ステップや手拍子など、自分の身体で表現すると簡単に覚えられます。
これは身体で音楽を感じ、さらにそれを自己表現しているからと考えられています。
本来のリトミックは演奏の表現力を豊かにする目的もあり、単なるリズム遊びではありません。
音楽をしっかり聴いて、それを自分の感性で表現するというものです。
リトミックはいつ頃から流行り始めたか?
ダルクローズは1901年頃にリトミックを確立したと言われています。
しかし、リトミックは当時の音楽教育の中ではかなり異端的な存在だったので、中々受け入れられませんでした。
1910年、ダルクローズはドイツに招かれ学校を作ります。
そこでダルクローズは「リトミック」「ソルフェージュ」「即興演奏」が音楽家にとって重要な要素であるという『ダルクローズ理論』を提唱し実践しました。
徐々に音楽界で話題になり、日本からは山田耕筰も視察に訪れています。
モダンダンスもこの学校から誕生しました。
1915年に祖国であるスイス・ジュネーブにダルクローズ学院が作られ、今日も続いています。
ソルフェージュとリトミックの違い
ソルフェージュは楽譜を読む力(読譜力)を付けるための音楽の基礎訓練です。
楽譜を読むには音の高さや音符の長さについてなどの音楽の知識が必要です。
ソルフェージュもリトミックも、音を声や楽器で表現し、音楽を聴く耳を育て音感を鍛えるという点では同じです。
しかし大きな違いは、ソルフェージュは音楽理論を理解した上での訓練であるのに対して、リトミックにはその必要がない点です。
小さい子どもでもリトミックを通して十分に音楽を学べます。
日本におけるリトミック
リトミックは戦後まもなく日本にも入ってきましたが、現在はダルクローズが考案したリトミックから派生して、言語や数遊びなど、知育も取り入れた音感教育が増えています。
0歳から習えることもあって、初めての習い事として注目されています。
ピアノやヴァイオリンなどの楽器のお稽古を始める前に、リトミックで音感を付けておくとスムーズに楽器のレッスンが始められるので、音楽教室でも併設しているところが増えてきています。
英語を取り入れた英語リトミックも人気があります。
リトミックで得られる効果
リトミックは小さい子どもたちに演奏訓練をさせるのではなく、聴いた音を全身で感じ、自分の身体で表現することによって音楽への興味を引き出します。
リトミックには次のような効果があります。
右脳の発達
乳幼児期には音楽領域をつかさどる右脳が最も発達する時期です。
音楽の刺激を与えると右脳の発達にとても効果があるということが研究でわかっています。
情操教育
人は音やリズムによって何らかの反応を起こします。
楽しい音楽は明るい気持ち、穏やかな音楽は癒やしの気持ち、暗い音楽は寂しく沈んだ気持ちにさせます。
そして、感じたことを心の中だけにとどめず身体で表現することで
「喜怒哀楽とはこういうものか」
という概念が乳幼児にもだんだんわかるようになってきます。
結果、楽器を演奏したり歌を歌うときに、感情を音で表現できるようになります。
さらに文章を読めるようになると、言葉でも感情を表現できるようになります。
真似る力
子どもの得意な学習法は真似をすることです。
そして、リトミックは真似をするところから始まります。
真似をすることによって、リズムや感情表現を感じるようになります。
真似ができるようになると、人と違うところを見つけられるようになり、やがて自分で考えた表現ができるようになるでしょう。
また、語学やスポーツも同様で、真似をすることからはじまるので、リトミックの精神はあらゆる分野で活用することができると言えます。
親子のコミュニケーション
リトミックは単なる習い事ではありません。
親子で一緒に過ごす楽しい時間です。
子どもたちにとって親御さんのスキンシップや笑顔が何よりの励みになります。
リトミックの時間は親子にとってかけがえのない時間となるでしょう。
自宅でできるベビーリトミック
他の子どもたちと一緒にするリトミックも楽しいですが、自宅でも簡単にリトミックができ、音感を鍛えることができます。
自宅では我が子の興味のあるものを中心に、時間を気にせずにできるのがメリットです。
広いスペースがなくても、楽器が無くても問題ありません。
アイデア次第で何気ない時間が楽しいリトミックの時間に変わります。
お風呂の時間
子どもと一緒にお風呂に入るときにもリトミックが簡単にできます。
髪の毛をシャンプーしてあげるときに歌を歌い、そのリズムに合わせて頭皮を優しくマッサージします。
ほどよく刺激を与えることがコツです。
身体を洗うときも同様に、リズムに合わせてタオルやスポンジを動かします。
お湯に浸かるときは、リズムに合わせて水面をたたきます。
お湯に浮かべるおもちゃがあれば、歌を歌いながらおもちゃを沈めたり浮かべたりしてみましょう。
歯磨きの時間
子どもに歯磨きをしてあげるときも、リズムに合わせて磨いてあげるだけでリズム感は少なからず鍛えられます。
家にある不要品で
特に子どもがまだ小さい場合は、カスタネットのような簡単なものでも使うのが難しいため、特に楽器にこだわる必要はありません。
空いたペットボトルや新聞紙をまるめて音を出すだけでも、何もしないことに比べるとはるかに効果があります。
空き箱、空き缶など、音になるものならなんでもOKです。
処分する1日前に、ぜひリトミックに使ってみてください。
教室に通って親も子も友達を作り、みんなでワイワイ楽しくやるリトミックも良いですが、まだ教室に通うことに踏み切れなければ、まずは自宅ではじめてみてはいかがでしょうか?
英語リトミック
英語リトミックは音感を鍛えながら英語の学習もできる一石二鳥のトレーニングです。
第二言語の習得能力は生後すぐから7歳までが最も高い時期であり、7歳を過ぎると徐々に下降すると言われています。
この点は絶対音感が身に付く時期とほぼ同じとみて良いでしょう。
7歳までの時期に耳にする言語は第二言語としてではなく、母国語として身に付けられる可能性が高くなります。
英語については、会話のリズム感や使用する周波数帯が日本語と異なるため、学校教育でしか英語を学んだことのない人が英語の音を正確に聞き取ることは非常に困難です。
しかし、早期に英語に触れていると、RとLの発音や子音で終わる単語の聞き分けができやすいことがわかっています。
お子様のいらっしゃる方であれば、赤ちゃんにはじめて日本語を教える際に、同じ目の高さになるように座って教えたのではないでしょうか?
顔を見て話しかけたり、本を読み聞かせたりするうちに、赤ちゃんは知らず知らずのうちに日本語を習得していたはずです。
リトミックの原点も真似をすることです。
音楽に合わせて踊るリトミック講師を真似て、歌ったり踊ったりしながら音感を鍛えます。
また、音楽に合わせて英語で歌うリトミック講師を真似て、同じように口を動かしたり耳を澄ましたりしながら英語に親しみます。
子どもの音感トレーニングと語学学習は非常に近いものがあります。
ただ、英語のバックグラウンドが無い講師が不完全な英語を話すことは逆効果となる可能性もあるので、慎重に講師を選ぶ必要があります。
まとめ
リトミックは小さい子どもたちに演奏訓練をさせるものではありません。
聴いた音を全身で感じ、自分の身体で表現することによって音楽への興味を引き出します。
乳幼児期は、音楽領域をつかさどる右脳が最も発達する時期。
この時期に音楽の刺激を与えると右脳の発達や情操教育に効果的です。
また、リトミックをする時間は単なる習い事ではなく、親子で一緒に楽しみながら過ごすかけがいのない時間です。
ぜひリトミックをお楽しみください。とてもオススメですよ♪
【あなたにオススメの関連記事】

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。