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【速報】桑原志織さんの演奏を聴いた感想〜本大会2次予選編 | 第19回ショパン国際ピアノコンクール

2025.10.11

ショパン国際ピアノコンクール 本大会 2次予選 2日目に、桑原志織さんが登場しました。

演奏プログラムの簡単解説と、演奏を聴いた私の感想を速報でお届けします。

加えて、2次予選の結果発表と次のステップについても簡単に確認します。

本大会1次予選をサクッと振り返り

桑原志織さんの1次予選の演奏は海外でも大絶賛されていますね。

木枯らし」からはじまり、パワフルな中にも柔らかな弾力がある音で、一瞬で会場を虜にしました。

流石はエリザベートのファイナリスト。

バラード第4番は情感あふれる別格の演奏

今大会のコンテスタントの中でも「極上」という言葉がふさわしい圧倒的なパフォーマンスでした。

私のくわしい感想もブログで共有していますので、こちらもあわせてぜひご覧ください。

桑原志織さんの演奏を聴いた感想

ここからは本大会2次予選の演奏を聴いた私の感想をお話します。

なお、大会の様子はショパン国際ピアノコンクールの公式YouTubeチャンネルで配信されます。

先に、ぜひご覧ください。

舞台袖の桑原さんは、名前を紹介されるとにこやかな表情をされ、ほどよい緊張感を保っておられる様子でした。

曲紹介のアナウンスを確かめるように、頷きながら聞き入っておられました。

ピアノはスタインウェイです。

舟歌 嬰ヘ長調 Op.60

舟歌 嬰ヘ長調 Op.60」は、ショパン晩年の傑作で、35~36歳頃に作曲されました。

ヴェネツィアのゴンドラ漕ぎの舟歌を思わせる作品で、ゆったりと揺れるリズムに乗せて柔らかく歌う旋律が特徴です。

嬰ヘ長調は水面に陽の光が反射するような明るさを音色に与えます。

左手の規則的でしなやかなうねりが波の寄せ返しを表現し、最後は華麗なコーダでクライマックスを迎える希望に満ちた作品です。

舟歌についてもっと詳しく知りたい方は、牛田智大さんの本大会1次予選の演奏プログラム解説記事をぜひご覧ください。

桑原さんは、穏やかな水の揺らぎと、そこに浮かぶさまざまな感情の色合いを細かく表現されていました。

珍しく緊張された一瞬がありましたが、川の流れに乗って進みました。

崩れないところが流石です!

24のプレリュード Op. 28-13〜18

24のプレリュード Op.28」は、1曲あたり1~2分前後の短い曲を24個つないで、長編のような起伏をつくった傑作集です。

今大会では24曲中、7番から24番を3つのブロックに分けて6曲ずつ選択する仕組みになっています。

桑原さんは13番から18番の6曲を選ばれました。

第13番から第18番は、嬰ヘ長調→変ホ短調、変ニ長調→変ロ短調、変イ長調→ヘ短調という並びで、香り高い歌と劇的な対比が続きます

13番は、安らぎと悲哀が入り混じる旋律をとても柔らかなppで弾かれました。

桑原さんの弱音は、溶けるように温かな音色です。

14番は一転して心がざわつくような曲で、前の曲からの振り幅の大きさを感じました。

15番「雨だれ」はよく知っている曲だけあって、心を鷲掴みにされました。

中間部の太い音が特に素敵でした。

16番に入る前に少しインターバルを取られましたが、その間に客席で咳き込む人がいて、弾こうとしていた手を引っ込められる場面がありました。

そのせいか、曲の冒頭で高音が濁ってしまいました

その後は圧倒的な技巧でパワフルに演奏されましたが、こういうこともあるので、曲間はほぼノンストップで弾くほうがよかったかなと感じました。

17番は落ち着いた曲調で、心に染み渡る音色でした。

18番は劇的な感情表現です。

強い音だけど品があるので、ゴージャスな印象でした。

幻想曲 ヘ短調 Op.49

ショパンが31歳頃に作曲した「幻想曲 ヘ短調 Op.49」は、自由な語り口と即興的な魅力を持つ傑作です。

一方、ソナタ形式の骨格も持ち、約13分という長めの作品で、物語のような起伏とスケール感を体験できます。

荘厳な行進から始まり、やがて右手の旋律が息継ぎを忘れるほど切迫し、左手の連なりが心臓の鼓動のように音楽を押し出します。

時間がふっと止まったように感じられる場面が訪れ、聖歌のような穏やかなハーモニーが静かに奏でられます。

再び勢いを取り戻し、最後は教会音楽風の荘厳な終止で閉じられます。

最初の陰りを保ちながらも、希望の光へ向かう意思が感じられるでしょう。

調の変化を楽しめる曲で、桑原さんの演奏は、色彩の移り変わりが素晴らしかったです。

超高速演奏でもテクニックがあるので、聴き手はそれを自然と受け入れられるだけの余裕が持てます。

小さな音ミスはありましたが、すぐに登場する同じフレーズでは完璧に修正されるので、あまり悪い印象は残りません

英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53

英雄ポロネーズ 変イ長調 Op.53」は、33歳頃に書かれた、祖国ポーランドへの誇りと郷愁を託した名曲です。

荘厳な序奏に始まり、行進を思わせる力強い主題が続きます。

中間部では、左手の高速なオクターブが緊迫感と推進力を生み、嵐のような盛り上がりの後に再び主題が戻ることで、凱旋のような高揚感を聴き手に与えます。

約7分間の曲には起承転結があり、超絶技巧だけでなく、気高さを伝える物語性も魅力です。

聴き終えた後には達成感と清々しさが残るでしょう。

英雄ポロネーズについてもっと詳しく知りたい方は、牛田智大さんの本大会2次予選の演奏プログラム解説の記事をぜひご覧ください。

桑原さんは、気高いという言葉がぴったりの演奏でした。

これ以上はできないというくらいの高速で超絶技巧を披露したかと思えば、美しいトリルで泣かせてくれます。

弾き終わると大歓声・大拍手でした。

控室に入られても、その拍手は鳴り止む気配はありませんでした。

次のステップ

本大会2次予選は、現地ポーランド時間で10月12日の夜までおこなわれます。

日本時間では時差が7時間あるので、10月13日の早朝までおこなわれます

その後、審議を経て2次予選通過者が発表されます。

1次予選の際は最後のコンテスタントの方が演奏を終えて、1時間後くらいに結果が発表されました。

前回までの大会と比較するとかなり短時間での発表で驚きましたが、2次予選以降も演奏終了後まもなく発表される可能性があります。

2次予選の通過者は20名です。

そして、3次予選は10月14日から3日間おこなわれます。

ファイナルに進むことができるのは10名です。

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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