【感動ドラマ】亀井聖矢さんのコンクール引退宣言…エリザベートに刻まれた4つの物語〜〜エリザベート王妃国際音楽コンクール2025
「エリザベート王妃国際音楽コンクール2025」ピアノ部門は、12名のファイナリストのうち4名が日本人という史上初の快挙!
そして、久末航さんが第2位、亀井聖矢さんが第5位に入賞というすばらしい結果となりました。
コンクール入選・入賞者は、6月4日〜14日に入賞者記念ガラコンサートに出場します。
その後、世界各地でも演奏を披露されます。
演奏はネットで配信され、メディアの取材などで大きく取りあげられるので、自分の存在を全世界にアピールする大チャンス!!
ガラ・コンサートでの演奏日時や演奏プログラムは、公式サイトで徐々に公開されてきています。
久末さんは、
グリーグ作曲「ピアノ協奏曲 イ短調 Op.16」
亀井さんは、
リスト作曲「ピアノ協奏曲 第1番 変ホ長調」
を演奏されます!
楽しみですね。
公式サイトはこちらからどうぞ。
それでは今回は、エリザベート2025を振り返りつつ、日本人ファイナリストのそれぞれのドラマをご紹介していきます。
エリザベート王妃国際音楽コンクール
エリザベート王妃国際音楽コンクールは、世界三大コンクールの一つとされるベルギーの権威あるコンクールです。
4年ごとに開催され、今年2025年はピアノ部門の年でした。
このコンクールの最大の特徴はファイナルでの「現代曲課題」。
今年はクリス・デフォールト作曲の「Music for the Heart」をわずか1週間で仕上げて演奏するという過酷な試練が課せられました。
久末航さん 第2位入賞
今回の最大のニュースは、やはり何と言っても久末航さんの第2位入賞。
久末さんは滋賀県出身で現在30歳。
高校卒業後、欧州に渡りドイツ、フランス、ベルリンで研鑽を積みました。
2017年にはミュンヘン国際で第3位入賞という輝かしい実績の持ち主です。
今回、実は同時期開催のウィーン・ベートーヴェン国際コンクールの出場資格も得ていたのですが、エリザベートに集中するためそれを辞退するという背水の陣で臨みました。
30歳という年齢は、コンクール挑戦者としてはベテランの域。
まさに人生を懸けた勝負でした。
ファイナルで選んだのはブラームス「ピアノ協奏曲第2番」。
重厚なこの大作を円熟した表現力で堂々と演奏し、会場はスタンディングオベーションに包まれました。
「現代曲を重視するこのコンクールは自分のキャラクターに合っていると思っていた。1カ月にわたる長いコンクールで本当に疲れたが、集中して取り組み貴重な経験ができた」
この言葉からも、全てを懸けた戦いの壮絶さが伝わってきます。
亀井聖矢さん 第5位入賞
愛知県出身、23歳の亀井聖矢さん。
「コンクール荒らし」の若き天才です。
19歳で日本音楽コンクールとピティナ特級で連続第1位。
2022年にはロン=ティボー国際で優勝という快挙も成し遂げています。
今回の亀井さんには、特別なドラマがありました。
ショパンコンクールとエリザベートのダブルエントリーを選択。
しかし、ショパンは予備予選で敗退…
そして臨んだエリザベートで、見事に第5位入賞を果たしました。
ファイナルで選んだのはサン=サーンス「ピアノ協奏曲第5番《エジプト風》」。
エキゾチックなこの協奏曲を色彩豊かに弾き切りました。
そして、亀井さんは宣言しています。
「今年を最後にコンクールにはもう出ず、自分がやりたい音楽を模索していきたい」
若くして数々のタイトルを勝ち取った彼にとって、今回のエリザベートは、競争の場からアーティストとしての次のステージへ踏み出すための集大成だったのかもしれません。
桑原志織さん 入選
東京出身、29歳の桑原志織さん。
海外コンクールの常連で、「シルバーコレクター」とも呼ばれる実力者です。
2016年から2021年にかけてマリア・カナルス、ヴィオッティ、ブゾーニ、ルービンシュタインという世界的なコンクールで次々と第2位に輝いてきました。
いつも優勝にあと一歩と迫りながらも頂点に届かない悔しさを味わってきた彼女。
前回のエリザベートはルービンシュタイン国際との兼ね合いで辞退。
今回は、満を持しての出場でした。
ファイナルで選んだのはブラームス「ピアノ協奏曲第2番」。
気迫と繊細さを兼ね備えた演奏で会場に感嘆のため息をもらせました。
惜しくも入賞には届きませんでしたが、その健闘ぶりは審査員・聴衆の双方に強い印象を残しました。
吉見友貴さん 4年越しのリベンジ
東京出身、25歳の吉見友貴さん。
17歳で日本音楽コンクール優勝という史上最年少記録の持ち主。
現在は米国ニューイングランド音楽院で研鑽を積んでいます。
吉見さんにとって忘れられないのが4年前のエリザベートでしょう21歳で挑んだ当時はセミファイナルどまりで涙をのみました。
今回、ショパン予備予選の出場資格も得ていましたが、エリザベートでのリベンジを選択。
ショパンを辞退して臨んでおられました。
ファイナル初日のトップバッターという大役を担い、プロコフィエフ「ピアノ協奏曲第3番」をダイナミックに演奏しました。
結果として順位入りはなりませんでしたが、世界の大舞台で存在感を示したことは大きな収穫でしょう。
歴史的快挙の意義
今回、世界的権威を誇るエリザベートのファイナルに日本人が4人も進出したことは、コンクール創設以来極めて異例のことです。
前回2021年にも、務川慧悟さん(第3位)と阪田知樹さん(第4位)が入賞していましたが、「一大会に4人ファイナル進出」という今回のインパクトは格別でした。
海外メディアや評論家たちも、日本勢の強さと存在感に驚嘆し、大きな注目を集めています。
そこには日本の音楽教育水準の高さや、若手演奏家たちの不断の努力、そして先人たちの活躍に触発された好循環が背景にあるでしょう。
4人、それぞれ異なる個性とバックグラウンドを持つピアニストたちが、互いに刺激し合い高め合ってきた結果がこのような形で花開いたと思います。
最終結果
運命の結果発表。
第1位はオランダの新星ニコラ・メーウセン。
そして、久末航さんが堂々の第2位に輝きました!
第5位に亀井聖矢さん。
桑原志織さんと吉見友貴さんも全員が「ファイナリスト」として顕彰されました。
日本人4名がファイナルまで勝ち残り、そのうち2名が入賞という結果は、日本のクラシック音楽界にとって大きな誇りとなりました。
感動の瞬間
ステージ袖で抱き合い健闘を称え合う4人の姿に、会場から惜しみない拍手が送られました。
それは単なる結果への賞賛に留まらず、音楽に人生を捧げる彼らの物語そのものへの称賛だったのでしょう。
久末さんの満面の笑み
亀井さんの晴れやかな表情
桑原さんと吉見さんの凛とした姿
4人に共通するのは、音楽に懸ける情熱と弛まぬ努力、そして、挑戦を恐れない不屈の精神です。
まとめ
いかがでしたでしょうか。
エリザベート2025を振り返りつつ、日本人ピアニストの歴史的快挙をお伝えしました。
久末航さんの第2位入賞、亀井聖矢さんの第5位入賞、そして桑原志織さん、吉見友貴さんの健闘。
それぞれが背負ったドラマと音楽への想いが交錯した感動的なコンクールでした。
今回の4人の活躍は、日本中、そして世界中の音楽ファンの胸に深く刻まれたことでしょう。
これから彼らが紡いでいく新たな音楽の物語に、私たちは大きな期待を寄せずにはいられません。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。