注目ピアニスト「進藤実優」さんの素顔に迫る〜ショパンコンクール2025
2025年に開催されるショパン国際ピアノコンクールの予備審査を通過した日本人ピアニスト24名の中から、注目のピアニスト「進藤実優」さんを徹底的に深堀りします。
進藤さんは2021年のショパンコンクールで本大会3次予選まで進み、見事な演奏を披露されたことが記憶に新しいですね。
そして2025年、再びワルシャワの舞台に挑戦されます。
今回はぴあにーずが調査した進藤実優さんの人となりや小さいころの夢、そして進藤さんのピアノに対する思いをお伝えします。
彼女の素顔を知ることで、4月からの予備予選がより一層心に響き、さらに親しみを持って応援できるようになるはずです。
また、後半では予備予選での演奏曲目予想も共有します。
少女時代と音楽との出会い
進藤実優さんは2002年生まれ、愛知県大府市出身です。
現在22歳の彼女ですが、小さいころはお医者さんになることも夢見ていたそうです。
あるインタビューでは「小さいころから人を助ける仕事をしたいとずっと考えていたので、ピアノを弾いて患者さんを癒せるお医者さまに、と思っていました」と語っておられます。
進藤さんがピアノを始めたのは4歳のとき。
大親友がピアノを始めたのがきっかけだったそうです。
5歳から中学3年生までは杉浦日出夫先生に師事。
先生は厳しく叱ることもなく、ピアノをのびのびとやらせてくださったとのこと。
この環境が、彼女の自由な表現力の基礎となったのかもしれません。
ちなみに杉浦日出夫先生は、亀井聖矢さんの恩師でもあります。
同年代なので一緒の発表会に出られていたのかもしれませんね。
進路の岐路とピアノへの決意
進藤さんは中学卒業の際、人生の大きな岐路に立ちます。
ピアニストの道に進むか、それとも小さいころからの夢だったお医者さんを目指すか。
最終的にロシアの音楽高校への入学を決め、ピアニストの道を進みます。
興味深いことに、「練習はそんなに好きじゃない」らしいですが、「やめたいと思ったことは一度もない」ともお話しされています。
ロシアとドイツでの留学生活
進藤さんは中学卒業後、ロシアのモスクワに留学します。
実は最初はアメリカへの留学を考えていたそうですが、中学3年生の夏に霧島国際音楽祭マスターコースでショパンコンクール優勝者でもあるダン・タイ・ソンにレッスンを受けた際に、ロシアのヴァレリー・ピアセツキー先生を推薦され、ロシアでピアノを学ぶことを決めました。
そして、2018年から2020年まで、モスクワ音楽院付属中央音楽学校に在籍。
また、2022年4月からは、ドイツのハノーファー音楽演劇メディア大学でピアノを学んでおられます。
日常と意外な趣味
進藤さんの1日の練習時間は平均6時間程度。
「練習はそんなに好きじゃない」と正直に語っておられるのは、親しみを感じさせます。
ピアノ以外の楽器経験もあり、小学校ではトランペット、中学校ではフルートを吹奏楽部で演奏していたそう。
幅広い音楽経験が、彼女の演奏の豊かさにつながっているのかもしれません。
そしてクラシック音楽のほかに、シャンソンを聴くのが好きで、特に越路吹雪さんや美輪明宏さんの歌が好きだそうです。
挫折からの挑戦 – 2021年ショパンコンクール
華々しい経歴の中で挫折も経験しておられます。
あるインタビューで、彼女は2019年のモスクワ留学を思い返し「国際コンクールでなかなか結果を出せなかったときが辛かった」と振り返っておられました。
「ピアノ向いていないかも」と思い悩む時期もあったそうです。
そんな中、2021年のショパンコンクールへの挑戦を決めたのは、実は申し込み締切のわずか数日前。
『若いピアニストのための北京国際ショパンピアノコンクール』で第3位を獲得したことで少し自信を取り戻されていましたが、それでも迷いがあったようです。
そこで背中を押してくれたのは、進藤さんのお母様だったとのこと。
「私はあなたのショパンが好きよ」というお母様の言葉に支えられ、応募を決意したとのことです。
ショパンコンクールでは、予備予選と本大会1次予選でものすごく緊張して、体の左半分がずっと震えているような状態だったそうですが、本大会2次予選以降はリラックスして臨むことができ、特に3次予選は「今までのステージにはない感覚で弾けた」と後に語っておられます。
「音がどういうふうに会場で聞こえているかを想像しながら弾くことができました」という彼女の言葉からは、成長の瞬間が感じられますね。
事実、ピアニストは舞台で飛躍的に成長するそうです。
ショパンの音楽と向き合う姿勢
進藤さんのショパンへの向き合い方は、とても真摯で誠実です。
彼女は2021年のショパンコンクールが終わった後も、ショパンコンクールで弾いていないショパンの作品をいろいろ弾いておられたそうです。
本当に心からショパンの音楽を愛しているのがわかりますね。
彼女の音楽に対する考え方には、興味深い変遷があります。
ロシアで勉強していたころは「自分の音楽を表現したい」という気持ちが強く、例えば、ショパンの悲しみは自分の悲しみに置き換えて考えておられたそうです。
しかし今は、自分のパーソナリティーではなくショパンの作品が持っているキャラクターを表現したいと変化してきているようです。
きっかけは2020年春にディーナ・ヨッフェのマスタークラスを受けた経験でした。
感情で音楽をとらえずに、楽譜を読み込んで和声の変化や聴き方などを受け入れるということでした。
まったく違う方法で学ぶことができ、楽譜を読むというシンプルなことが自分にはできていなかったと気づかれたとか。
そこからがらっと意識が変わって、もっと楽譜と向き合う、音に向き合うということを新たに考え始めたと語っておられます。
2025年ショパンコンクールに向けて
そして今、進藤さんは2025年のショパンコンクールの予備予選に向けて準備を進めておられます。
ショパン国際ピアノコンクール in ASIAの第6回派遣コンクールで特別推薦を獲得したことで、書類と映像審査である予備審査が免除され、4月からワルシャワで行われる予備予選から参加できることになりました。
予備予選での演奏曲目予想
4月からワルシャワでおこなわれる予備予選では、進藤さんはどのような演奏曲目を選ぶでしょうか。
彼女の直近の演奏歴から考えてみます。
予備予選の課題曲は
・エチュード2曲
・ノクターンまたはエチュード1曲
・スケルツォ1曲
・マズルカ1曲
という計5曲です。
直近のショパン国際ピアノコンクール in ASIAでは、1次審査で「エチュード Op.25-6」と「ノクターン Op.27-2」を演奏されています。
2次審査では「エチュード Op.10-1」、3次審査では「マズルカ Op.56」を演奏されています。
また、今月おこなわれるオールショパンのリサイタルでは、「スケルツォ 第2番 変ロ長調 Op.31」を披露されます。
これらから、予備予選では下記を演奏されるのではないでしょうか。
エチュード
a群から「Op.10-1(ハ長調)」
b群から「Op.25-6(嬰ト短調)」
ノクターンは「Op.27-2(変ニ長調)」
スケルツォは「第2番 作品31(変ロ長調)」
マズルカは「Op.56-1(ロ長調)」または「作品56-3(ハ短調)」
特に「ノクターン Op.27-2」はコンクールとリサイタルの両方で演奏されていることから、彼女の特に得意とする曲と考えられます。
ちなみに前回、2021年のショパンコンクールで予備予選で演奏された曲は次の通りです。
エチュード Op.10-7(ハ長調)
エチュード Op.10-4(嬰ハ短調)
ノクターン Op.48-1(ハ短調)
マズルカ Op.17-1(変ロ長調)
マズルカ Op.17-4(イ短調)
舟歌 Op.60(嬰へ長調)
彼女がワルシャワの舞台でどのような選曲と表現を見せてくれるのか、楽しみですね!
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。