ダブルエントリーの行方は?〜ショパンコンクール2025
2025年は世界的レバルの高いピアノコンクールが複数開催される「コンクール・イヤー」です。
今回は、ショパンコンクールの予備予選に進出した日本人ピアニストの方々の中で、他の国際コンクールにも挑戦されている「ダブルエントリー組」についての調査結果をお話しします。
演奏日程や課題曲の重複を、一緒に確認していきましょう。
2025年の主要国際ピアノコンクール
まず、2025年に開催される主要な国際ピアノコンクールのスケジュールを確認します。
ショパンコンクールの予備予選を中心に、各注目コンクールの直近のスケジュールは次のようになっています。
ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール
予備予選: 3月16日~22日
本大会予選: 5月21日~23日
クォーターファイナル: 5月24日~25日
セミファイナル: 5月28日~6月1日
ファイナル: 6月3日~7日
ロン=ティボー国際音楽コンクール
予選: 3月25日~27日
セミファイナル: 3月28日
ファイナル: 3月30日
ショパン国際ピアノコンクール
予備予選: 4月23日~5月4日
本大会1次予選: 10月3日~7日
本大会2次予選: 10月9日~12日
本大会3次予選: 10月14日~16日
ファイナル: 10月18日~20日
エリザベート王妃国際音楽コンクール
第1次予選: 5月5日~10日
セミファイナル: 5月12日~17日
ファイナル: 5月26日~31日
現在から最も直近なのは、ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールの予備予選です。
ダブルエントリーの状況
ショパンコンクールの予備予選に進出された日本人ピアニスト24名のうち、ショパンコンクールとのダブルエントリーになっているのは次の方々です。
ショパン & ヴァン・クライバーン
山﨑亮汰さん
重森光太郎さん
ショパン & ロン=ティボー
神原雅治さん
ショパン & エリザベート
亀井聖矢さん
中川優芽花さん
吉見友貴さん
以上、合計6名の日本人ピアニストが、ショパンコンクールと他の大きな国際コンクールの両方に挑戦されています。
ダブルエントリーした場合の演奏日程
ダブルエントリーされている方々の直近の演奏日程を見ていきましょう。
山﨑亮汰さん(ショパン&ヴァン・クライバーン)
3月19日:ヴァン・クライバーン予備予選(アメリカ・フォートワース)
4月30日:ショパン予備予選
重森光太郎さん(ショパン&ヴァン・クライバーン)
3月22日:ヴァン・クライバーン予備予選(アメリカ・フォートワース)
4月27日:ショパン予備予選
神原雅治さん(ショパン&ロン=ティボー)
3月25日~27日:ロン=ティボー予選(フランス・パリ)
4月23日:ショパン予備予選
亀井聖矢さん(ショパン&エリザベート)
4月23日:ショパン予備予選
5月5日~10日:エリザベート第1次予選(ベルギー・ブリュッセル)
中川優芽花さん(ショパン&エリザベート)
4月26日:ショパン予備予選
5月5日~10日:エリザベート第1次予選(ベルギー・ブリュッセル)
吉見友貴さん(ショパン&エリザベート)
5月1日:ショパン予備予選
5月5日~10日:エリザベート第1次予選(ベルギー・ブリュッセル)
山﨑さんと重森さんはヴァン・クライバーン予備予選とショパン予備予選の間に約1ヶ月~1ヶ月半あり、他の方と比べると少し余裕のあるスケジュールです。
神原さんもロン=ティボー予選とショパン予備予選の間に約1ヶ月あります。
一方、ショパンとエリザベートにエントリーされている3名のピアニストは、非常にタイトなスケジュールです。
エリザベートでの演奏順次第ではありますが、ショパン後のエリザベートまで、亀井さんで約2週間、中川さんで約1週間~10日、吉見さんにいたっては約4~9日しかありません。
体調管理と精神的なリフレッシュがとても重要になります。
直近の演奏における課題曲の重複分析
続いて、各コンクールの課題曲を比較します。
ショパンコンクールの予備予選の課題曲は次のとおりです。

エチュード2曲(a,bグループから1曲ずつ)、ノクターンまたはエチュード1曲、スケルツォ1曲、マズルカ1曲の計5曲です。
この課題曲と他のコンクールの直近の課題曲の重複を見ていきます。
ヴァン・クライバーン予備予選では特定の課題曲は指定されていません。
自由選択曲で25分以内のソロリサイタルをおこなうため、続くショパン予備予選で演奏する予定のショパン作品を含めることができます。
ロン=ティボー予選の課題曲は次のとおりです。

ショパンのソナタ第2番変ロ短調(第1楽章と第4楽章)、フォーレの即興曲かプロコフィエフのスケルツォ、自由選択曲(8分以内)です。
ショパンのソナタ第2番は、ショパンコンクールの予備予選では課題曲となっておりません。
ただし、ショパンコンクールの本大会3次予選では課題曲に指定されており、演奏する場合は全楽章が求められます。
また、自由選択曲ではショパンコンクールの予備予選を意識した選曲も可能です。
エリザベート第1次予選の課題曲は次のとおりです。

ハイドン、モーツァルト、またはベートーヴェンのソナタ第1楽章、エチュードから選曲(ショパン、リスト、リゲティ他)、自由選択曲です。
時系列としては、ショパンコンクール予備予選の後にエリザベート第1次予選があります。
ショパンコンクールの予備予選で演奏したエチュードは、エリザベートでも演奏できます。
自由選択曲も、ショパンコンクールで演奏した曲の選曲が可能です。
ダブルエントリー組の戦略的な選曲、ぜひ注目してみてください。
まとめ
複数のコンクールに同時にエントリーすることは、ピアニストにとって大きなチャンスですが、同時に多くの挑戦も伴います。
演奏プログラムの準備と調整、時差や移動によるコンディション管理、そして精神的な集中力の維持など、様々な側面での綿密な計画が必要です。
特に注目したいのは、各コンクールに最適化されたレパートリー選択の戦略です。
複数のコンクールで同じ曲を演奏できる場合は、練習の効率化にはなりますが、各コンクールの特性や審査傾向に合わせた微調整も必要となります。
また、ショパンコンクールとエリザベートのように日程が近接している場合は、体力の配分や維持が重要な要素となります。
世界的な名ピアニストの多くも、若かりし頃に複数のコンクールに挑戦して経験を積み、国際的なキャリアへの足がかりを得てきました。
これらの挑戦者たちが、どのような結果を残し、どのような音楽の旅を続けていくのか、今後も注目していきたいと思います。
2025年の「コンクール・イヤー」は、ダブルエントリーの挑戦者たちにとって大きな転機となる可能性があります。
彼らの演奏に期待しながら、応援していきましょう!
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。