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エリザベート王妃国際音楽コンクール【2025年注目のピアノコンクール】

2025.02.07

2025年は注目のピアノコンクールが目白押しです。

今回紹介するピアノコンクールはエリザベート王妃国際音楽コンクールです。

2025年5月から1次予選がはじまり、5月末にファイナルを迎えるこのコンクールは、異色の審査形式で入賞まで非常に険しい道のりです。

スケジュール・課題曲・審査形式などを深堀りしますので、ぜひ最後までご覧ください。

エリザベート王妃国際音楽コンクールは、ベルギーのブリュッセルで開催される国際音楽コンクールです。

元々は、ベルギーのヴァイオリニスト「ウジェーヌ・イザイ」を讃えるために、1937年に創設されたイザイ国際コンクールでした。

1951年に、音楽に造詣が深いベルギーの元王妃エリザベートの名を冠した国家的行事に格上げされて、今に至っています。

かつてのチャイコフスキー国際コンクールやショパン国際ピアノコンクールと並ぶ世界三大コンクールの一つと言われており、その中でも歴史は一番古いです。

ピアノ・ヴァイオリン・声楽・チェロの部門があり、才能あふれる若手音楽家の登竜門となっています。

1年につき1部門、つまり、各部門は4年毎に開催されており、2025年はピアノ部門開催の年です。

2025年はショパン国際ピアノコンクールも開催されるので、エリザベートにエントリーするコンテスタントに注目が集まっています。

エリザベートのビデオ予選は既にはじまっており、今は厳正なる審査がおこなわれているところです。

ビデオ審査

ビデオ審査の課題曲は次の通りです。

審査結果は2025年3月15日頃までに通知が出されます。

通過者の人数は未定。

通過者は2025年5月5日〜5月10日まで、ベルギーのフラジェではじまる第1次予選に参加します。

第1次予選

第1次予選の課題曲は次の通りです。

まずaから1曲とbを組み合わせますが、2曲の合計時間は14分を超えてはいけません。

さらに、c〜fのエチュードから選曲して、合計約25分のプログラムをコンクール側へ提出します。

最終的に提出したプログラムの中から、本番1時間前に審査員によって演奏曲が指定されます。

第1次予選の通過者は24名です。

通過者にはセミファイナルで演奏する「このコンクールのために作曲された約5分の新作課題曲(オリジナル作品・未発表曲)」の楽譜が渡されます。

この曲については、本番までは公の場での演奏は禁止されています。

セミファイナル

セミファイナルは2015年5月12日〜5月17日におこなわれます。

審査はリサイタルとコンチェルトの2つのパートで構成されています。

まず、リサイタルについてご説明します。

所要時間は約40分で、次の2つを演奏します。

1つ目は、このコンクールのために書き下ろされた約5分の新作課題曲です。

この曲は第1次予選通過時に出場者に通知され、コンクール開始まで公開演奏は禁止されています。

2つ目はリサイタルで、出場者は2つのプログラムを準備します。

各プログラムは最大30分で、第1次予選で演奏した曲を含めることはできません。

なお、2つのうちどちらのプログラムを演奏するかは、演奏の約29時間前に審査員より指定されます。

次にコンチェルトについてご説明します。

所要時間は約30分で、モーツァルトのピアノ協奏曲から1曲を選んで演奏します。

カデンツァは自作のものを演奏することができます。

また、オーケストラとの練習は本番前日に一回、本番直前に一回おこなわれます。

24名のセミファイナル出場者のうち、ファイナルへは12名が進出します。

ファイナル

ファイナルは2025年5月26日〜5月31日に、パレ・デ・ボザールで行われます。

12名のファイナリストは次の2曲を演奏します。

1つ目は自由選択のピアノ協奏曲、2つ目はコンクールのために書き下ろされた新作のピアノ協奏曲です。

自由選択のピアノ協奏曲については、2021年の大会では

・チャイコフスキー作曲 ピアノ協奏曲 第1番
・ブラームス作曲 ピアノ協奏曲 第2番
・プロコフィエフ作曲 ピアノ協奏曲 第2番
・ラフマニノフ作曲 ピアノ協奏曲 第3番

などが演奏されました。

ファイナルの準備期間は非常に特徴的で、エリザベート王妃音楽コンクールの伝統的なものになっています。

ファイナリスト12名は、エリザベート王妃音楽チャペルでの1週間の滞在が義務付けられています。

まず、12名のファイナリストは抽選順に1日2名ずつエリザベート王妃音楽チャペルに入ります。

そして、1週間の準備期間をチャペルで過ごし、本番をむかえます

新作課題曲の楽譜はチャペルに到着した時点で初めて渡されます。

つまり、5月26日に本番を迎える2名は5月19日に、5月27日に本番を迎える2名は5月20日に、新曲の楽譜を見ることができるというわけです。

ファイナリストたちは1週間で、この新曲を仕上げなければなりません。

滞在中の規則も厳格です。

ファイナリストたちはコンクール関係者以外との接触が禁止されます。

もちろん、スマホやパソコンなどは持ち込むことができません。

決められた時間にオーケストラとのリハーサルがおこなわれますが、これは非公開です。

チャペルでの滞在中は譜読みや曲の解釈などに集中し、オーケストラとのリハーサルも細心の注意の注意を払って順番におこないます。

他のコンテスタントとは昼食・夕食を必ず全員で取り、休憩時には卓球などの室内競技をしたりしてコミュニケーションを深めていくそうです。

良きライバルでもあり戦友ですね!

また、報道関係者との面会や写真撮影の時間も設けられています。

様子がうかがえるのは楽しみです。

最初のファイナリストがチャペルに入ってから1週間後に、いよいよファイナルが始まります。

エリザベート王妃国際音楽コンクールのファイナルは、新作の習得という特別な課題を含む非常にユニークな形式となっています。

これは、ファイナリストの音楽性・技術力、そして短期間での学習能力を総合的に評価するものと言えるでしょう。

このコンクールは約1ヶ月にわたって開催され、予選通過者から段階的に絞り込みがおこなわれ、最終的に12名のファイナリストから6名の入賞者が選ばれます

結果は最終演奏終了後、5月31日(土) 現地時間 深夜0時頃に発表される予定となっています。

優勝者にはエリザベート王妃国際グランプリが授与され、賞金25,000ユーロが贈られます。

歴代優勝者・入賞者

エリザベート王妃国際音楽コンクールの歴代優勝者・入賞者の方々は音楽界を牽引する名ピアニスト・音楽教授の方々です。

一部をご紹介させていただきます。

1938年大会 第1位 エミール・ギレリス

1938年大会では、エミール・ギレリスが第1位となりました。

エミール・ギレリスはウクライナ(旧ソ連)出身のピアニストです。

アルトゥール・ルービンシュタインに見いだされ、1933年、17歳で第1回全ソ連ピアノコンクールにおいて圧巻の演奏を披露し、優勝に輝きます。

バロック・古典派からロマン派・近代音楽まで幅広いレパートリーを持ち、プロコフィエフからはピアノソナタ第8番を献呈され、初演も披露しました。

妻のローザ・タマルキーナは1937年のショパン国際ピアノコンクールで第2位になったピアニストで、娘のエレーナ・ギレリスもピアニストという音楽一家です。

1956年大会 第1位 ウラディーミル・アシュケナージ

1956年大会では、ウラディーミル・アシュケナージが第1位となりました。

ウラディーミル・アシュケナージはソ連出身のピアニスト・指揮者です。

1955年、ショパン国際ピアノコンクールで優勝を逃したことに納得いかなかったアルトゥーロ・ミケランジェリが、審査員を降板した事件は有名です。

1962年にはチャイコフスキー国際音楽コンクールに出場し、見事第1位に輝きました。

しかし翌年、ロンドンへ移住したため、ソ連のあらゆる公式記録から名前を抹消されてしまいます。

現在は妻がアイスランド人ということで、アイスランドの国籍を取得されています。

ショパンの作品はもちろん、ラフマニノフの演奏にも定評があります。

日本との関わりも深く、自宅には和室もあるそうです。

1972年大会 第1位 ヴァレリー・アファナシエフ

1972年大会では、ヴァレリー・アファナシエフが第1位となりました。

ヴァレリー・アファナシエフはソ連出身のピアニストですが、コンクール優勝の2年後にベルギーに亡命しました。

詩人・作家としての活動もおこなっていて、リサイタルでは自作の詩などを朗読することで有名です。

2021年大会 第3位 務川慧悟

2021年大会では、務川慧悟さんが第3位という成績を残されています。

務川さんは東京藝術大学1年在学中の2012年に日本音楽コンクール第1位を、反田恭平さんと同時受賞されました。

2014年、パリ国立高等音楽院に満場一致の首席合格を果たし、現在もパリ在住で演奏活動をおこなっています。

2019年、ロン=ティボー国際音楽コンクール ピアノ部門 第2位に続いて、エリザベートでも入賞されたことは、ヨーロッパでの演奏活動の大きな後押しとなりました。

バロックから現代曲までレパートリーは幅広いですが、特にラヴェルのピアノ作品全曲演奏は見事です。

反田さんとはその後も二台のピアノコンサートなどを通じて、研鑽を積み重ねる大親友です。

2021年のショパンコンクールの練習室で、務川さんが反田さんのピアノに対して的確なアドバイスをしていたのが素敵でした。

2021年大会 第4位 阪田知樹

同じく2021年大会では阪田知樹さんが第4位でした。

阪田さんは務川さんと同い年で、東京藝術大学の同期です。

その後、ハノーファー音楽演劇大学に特別首席入学され、現在もヨーロッパに拠点を置かれています。

2013年にヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールにて、弱冠19歳で最年少入賞。

2016年、フランツ・リスト国際ピアノコンクール 第1位と、6つの特別賞。

名だたるピアノコンクールの受賞歴も多く、現在は世界各地で演奏を重ねていらっしゃいます。

まとめ

ベルギーのブリュッセルで開催されるエリザベート王妃国際音楽コンクールについて、スケジュール・課題曲・審査形式を解説しました。

2025年は、今回お話ししたエリザベートだけでなく、

・ショパン国際ピアノコンクール
・ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール
・ロン=ティボー国際音楽コンクール
・クララ・ハスキル国際ピアノコンクール

など、注目のピアノコンクールがたくさんあります。

なるべく多く、皆様にお伝えできるように情報発信しますので、引き続き応援をよろしくお願いします!

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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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