リーズ2次予選、演奏プログラム発表！牛田智大さん、丸山凪乃さんの演奏曲を解説します

リーズ国際ピアノコンクールの2次予選の演奏プログラムが発表されていますね！

牛田智大さんと丸山凪乃さんが演奏される曲を解説します。

丸山凪乃さんの演奏プログラム

丸山凪乃さんはセッション3で演奏されます。

日本時間でセッション3は9/12（木）21:45〜ですが、丸山さんの実際の演奏時刻は同日の23:40〜のようです。

演奏プログラムは次の通りです。

ベートーヴェン：ソナタ 第23番 ヘ短調「熱情」Op.57
ショパン：バラード 第4番 ヘ短調 Op.52
リスト：ハンガリー狂詩曲 第10番 ホ長調 S.244/10

各演奏曲について解説します。

ベートーヴェン作曲『ソナタ 第23番 ヘ短調「熱情」Op.57』

Op.13『悲愴』、Op.27-2『月光』と合わせて、ベートーヴェンの三大ピアノソナタと言われます。

難聴が決定的になり、遺書まで残したベートーヴェンですが、ようやく立ち直りつつある時期に書かれました。

他者とのコミュニケーションを切り捨て、その力を自身の創作に向け、傑作が次々と生み出されます。

この曲は同時期に書かれた交響曲第5番「運命」との共通点も多いと言われています。

また、ベートーヴェンが貴族の未亡人に恋していた時期とも重なっています。

第1楽章から第3楽章を通して、身分違いなどの苦悩の中にも、小さな希望や美しいロマンスが描かれているとの解釈もあります。

ショパン作曲『バラード 第4番 ヘ短調 Op.52』

バラードは全4曲ありますが、第4番はピアノ曲の最高峰の一つと言われる名曲です。

1842年、恩師と親友を立て続けに亡くし、失意のどん底にあったショパンはバラード第4番を書き上げます。

長調と短調が絡み合ったシンプルな旋律は、生と死、共に過ごした時間と孤独を連想させながら、壮大に展開していきます。

計算された構成力が楽しみです。

リスト作曲『ハンガリー狂詩曲 第10番 ホ長調 S.244/10』

リストはハンガリー狂詩曲を作品244として19曲書いています。

第10番は「前奏曲」という題が付いています。

最初の急速な音階のパッセージとオクターブ進行の主旋律を聴くだけで、この曲の難易度の高さがわかるでしょう。

ジプシー音楽の美しさを存分に表現し、大胆さと繊細さを兼ね備えた曲です。

単なる技巧をアピールするだけでなく、表現力で心が揺さぶられるかがポイントです。

牛田智大さんの演奏プログラム

牛田智大さんは、丸山凪乃さんの次のセッションであるセッション4で演奏されます。

日本時間でセッション4は9/13（金）2:45〜ですが、牛田さんの実際の演奏時刻は同日の3:40〜のようです。

演奏プログラムは次の通りです。

吉松隆：ピアノ・フォリオ…消えたプレイアードによせて
リスト：ソナタ ロ短調 S.178

各演奏曲について解説します。

吉松隆作曲『ピアノ・フォリオ…消えたプレイアードによせて』

プレイアデスは7つの星から成る星団で、和名は「すばる」です。

神話では7人の娘として描かれており、オリオンに追われて7つの星になったとされています。

オリオンも星座になって、今もプレイアデス星団を追いかけ続けています。

7人の娘たちにはそれぞれ名前がありますが、プレイアードとはプレイアデス7人のうちの1人という意味です。

プレイアデス星団は6つの星が見えますが、1つ（プレイアード）は人間を愛してしまったために、恥ずかしくて姿を見せなくなってしまったようです。

キラキラした繊細な音が印象的な作品です。

リスト作曲『ソナタ ロ短調 S.178』

リストの唯一のピアノソナタです。

シューマンから献呈された「幻想曲 ハ長調 Op.17 」の返礼として作曲されました。

初演では「支離滅裂で演奏不可能な音楽」という批評もあり論争を巻き起こしましたが、実は緻密に計算されており、現代ではリストのピアノ曲の最高傑作との声も高いです。

単一楽章ですが、切れ目のない3つの部分で構成されています。

技巧的で官能的な30分の大曲を、集中して演奏するには並外れた精神力、体力が必要です。

どのような世界観に包み込んでくれるでしょうか。

まとめ

リーズ国際ピアノコンクールの2次予選で牛田智大さんと丸山凪乃さんが演奏される曲について、解説しました。

両者とも、技術と表現力の高さが求められる難曲に挑戦されます。

リーズ2次予選でのお二人の演奏は、日本時間で明日の夜。

明日は私にとっても長い1日になりそうですが、全力で応援したいと思います。

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