大人の生徒さん達とのランチ&ピアノ弾き合い会~プログラムと解説・前編
J.S.バッハなどの対位法の曲は、ピアノの上達にとてもよいのですが、好みの問題もあって、残念ながらじっくり深く勉強する機会が少ないです。
当日は私も演奏するので、事前にバロックの作曲家たちや曲目についての解説をお配りしておきました。
こちらが先日行ったバロック曲限定のピアノ弾き合い会のプログラムと解説・前半です。
J.S.(ヨハン・ゼバスチャン)バッハ(1685-1750)
ドイツの作曲家、鍵盤楽器奏者です。
いとこのマリア・バルバラと結婚して7人の子供を、マリアの死後、宮廷歌手のアンナ・マクダレーナと再婚し13人の子供をもうけています。
バッハの演奏能力は高く、息子達や弟子達の教育にも熱心でしたが、世渡りが下手でトラブルも多かったので、生前の評価は残念ながらそれほどでもありませんでした。
先妻マリア・バルバラとの間に生まれた、長男で対位法の大家であるフリーデマン、同じく次男で古典派音楽の基礎を作ったエマヌエル、後妻アンナ・マクダレーナとの末子でモーツァルトの師であるクリスチャンの3人が有名になり、当時のバッハは彼らの父親というポジションでした。
作品はだんだん忘れられていきましたが、彼の死から80年後、メンデルスゾーンが『マタイ受難曲』を再演させた事をきっかけに、バッハの偉業が認められるようになります。
バロック音楽の集大成として、バッハの作品は後世の音楽家たちのバイブルとなりました。
ミュゼット ニ長調
ミュゼットはフランスのバグパイプの一種で、17~18世紀に流行しました。
ミュゼットのために作曲された舞曲もミュゼットとよばれます。
この曲も、『アンナ・マクダレーナ・バッハの音楽帳』の中に収められていますが、J.S.バッハの作品であるという確証がまだなく、研究が続けられています。
参考演奏
J.S.バッハ作曲 ミュゼット ニ長調
シンフォニア 第9番
シンフォニアはソプラノ・アルト・バスからなる3声の曲で、全15曲あります。
複数の旋律の独立性を保ちつつ、互いによく調和させて重ね合わせる対位法という技法で作曲されています。
声部ごとに音質の違いを作り、各声部を弾き分けられるように、J.S.バッハが息子や弟子たちの教育用に作曲しました。
一般的に、2声の「インヴェンション」の後に「シンフォニア」を勉強します。
この曲は、イエス・キリストが十字架を背負って石段を歩いていく様子が書かれています。
フランス組曲 第5番より アルマンド
フランス組曲は全6曲あり、アルマンド、クーラント、サラバンド、メヌエット、ガボット、ブーレ、ジーグなどの古典舞曲が6~8曲取り入れられています。
このうちアルマンド、クーラント、サラバンド、ジーグは、どの組曲にも登場します。
ドイツ風舞曲アルマンドは、組曲では第1曲目か前奏曲に続く第2曲目に演奏されることが多いです。
この曲は16分音符のアウフタクトで始まる特徴を持ち、装飾音が散りばめられています。
声部は2声から5声まで増減があります。
フランス組曲 第5番より サラバンド
サラバンドは3拍子のゆったりした舞曲で、フランスの宮廷で人気がありましたが、時代と共に踊りの曲ではなく、荘重な舞曲として芸術作品となりました。
この曲は右手がソプラノ、左手はテノール、バスの2声になっています。
非常に優雅で癒しの要素が多い曲です。
平均律クラヴィーア曲集 第1巻 ハ長調 プレリュード
平均律クラヴィーア曲集は1巻と2巻があり、それぞれ全ての調(長調短調合わせて24個)によるプレリュード(前奏曲)とフーガで構成されています。
プレリュードとフーガで1セットです。
この曲は、すべて分散和音で作られているのが特徴です。
なお、グノー作曲「アヴェ・マリア」ではこの曲が伴奏に使われています。
パルティータ 第1番 プレリュード
パルティータは全6曲あり、フランス組曲と同じく様々な舞曲が6~7曲取り入れられています。
加えてイタリア式のコレンテ、カプリッチョ、アリア、スケルツォも入り、バッハの組曲の集大成と言われています。
この曲は基本的に3声ですが、最後はパイプオルガンのような分厚い和音になり、ドラマチックなエンディングを迎えます。
後編はJ.S.バッハ以外の作曲家の作品です。

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。