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辻井伸行さんと第3位のドミトリー・チョニのピアノコンチェルトの演奏聴き比べ(抜粋・反田恭平さん、Lang Langも)~2022年 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクール

2022.06.20

2022年 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールも幕を閉じました。

結果は以下の通りです。

第1位 Yunchan Limユンチャン・リム、韓国)
第2位 Anna Geniusheneアンナ・ゲニューシェネ、ロシア)
第3位 Dmytro Choniドミトリー・チョニ、ウクライナ)

プロコフィエフの演奏中に暗譜が飛んだにも関わらず、豊かな音楽性と確実なテクニックで見事第3位に輝いたチョニ。

今回は、Dmytro Choni辻井伸行さん(2009年に優勝)のプロコフィエフ作曲ピアノ協奏曲第3番Op.26の演奏を聴き比べてみました。

抜粋ですが、反田恭平さん、Lang Langの演奏もお楽しみください。

特にLang Langは必見です。

プロコフィエフ作曲ピアノ協奏曲第3番Op.26

コンクールでは勝負曲として人気です。

2015年浜松国際ピアノコンクールで優勝したアレクサンダー・ガジェヴ(2021年ショパン国際ピアノコンクールで反田恭平さんと共に第2位)もこの曲でした。

映画「蜜蜂と遠雷」でも使われました!

プロコフィエフは1917年からこの曲の作曲に取り掛かりました。

1918年にロシアからアメリカに亡命する時期と重なっています。

ロシアを出てしばらく日本に滞在していたのですが、そのときに日本の音階の影響を受けたと言われています。

この曲に魂を揺さぶられるのは日本の伝統音楽が思い浮かぶからでしょうか。

2022年 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールではドミトリー・チョニが選びました。

今回はラフマニノフのピアノ協奏曲が多かったので、プロコフィエフが映えるのは間違いないと思いました。

演奏聴き比べ

Dmytro Choniの演奏

▶第1楽章 ソナタ形式(序奏付き)

最初はゆっくりなオケからはじまり、だんだん加速してピアノに受け継がれます。

ここでオケとピアノの速度が少し違うと感じました。

おそらくチョニはもう少し速く弾きたかったのでしょう。

しかし、指揮者と意思疎通ができませんでした。

リハーサルでテンポについては確認していたはずですが、ハイな気分になるとどうしても音に出てしまいます。

テクニックは素晴らしかったのに、音楽のズレが気になりちょっと残念でした。

▶第2楽章 変奏曲

主題と5つの変奏です。

この曲の構想は1913年にあったようです。

▶第3楽章

プロコフィエフは第3楽章のオーケストラとピアノ掛け合いを「討論」と呼びました。

チョニの演奏はとても良い感じではじまったのですが、なんと暗譜が飛んでしまいました!

27:35くらいから左手が泳いでいるのがおわかりでしょうか?

数小節間、とにかく止まらずに立て直し、立派に弾き切りました。

演奏後は指揮者と讃えあい、観客からも盛大な拍手が沸き起こりました。

辻井伸行さんの演奏

指揮は佐渡裕さんで、2015年にウィーンで演奏した時の録画です。

複雑な曲なのに辻井さんが弾かれるとわかりやすく、楽しいです。

飽きない!もっと聴きたい!

もちろん佐渡さんの力も大きいですね。

反田恭平さんの演奏(第3楽章)

こちらも指揮は佐渡裕さんで、反田さん率いるJapan National Orchestraの特別編成バージョンです。

2021年宮崎での演奏ですが、この後ポーランドに飛んでショパン国際ピアノコンクールに挑戦されたなんて驚きです。

辻井さんとはまた違った表現ですが、こちらも非常にわかりやすい演奏です。

安心して聴けて、のめりこんでしまいます。

ヘアスタイルにも度肝を抜かれましたが、お似合いですね!

Lang Langの演奏(第3楽章抜粋)

Lang Langは中国を代表するピアニストで、2008年の北京オリンピックの開会式で演奏したのは有名です。

のだめカンタービレ最終楽章」で、主人公野田恵(上野樹里さん)の演奏の吹き替えも担当しています。

この動画は2007年に発表されたもので、彼が解説付きで演奏しています。

人懐っこく味のあるお人柄は、当時から私のお気に入りで、この動画に何回癒されたことか…。

彼の解説は、どんな言葉よりも一番わかりやすいと思うのでぜひご覧ください。

まとめ

2022年 ヴァン・クライバーン国際ピアノコンクールで第3位に輝いたDmytro Choni(ドミトリー・チョニ)の演奏を中心に、プロコフィエフ作曲ピアノ協奏曲第3番Op.26の演奏を聴き比べてみました。

この曲はリズムが複雑な上にオーケストラとピアノの掛け合いがむずかしく、チョニ自身も納得のいく演奏ではなかったと思います。

しかも暗譜が飛ぶというアクシデントもありました。

チョニ、辻井伸行さん、反田恭平さん、三者三様ですが、この曲の面白さ、奥深さをあらためて実感しました。

Lang Langの解説付き演奏を見てから、もう一度第3楽章を聴いてみると想像力がUPします。

 
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物書きピアニスト

子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。

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