幼児のピアノに保護者はどう関わると良いか
ピアノを習うすべてのお子さんと保護者の方の、難しいテーマです。
保護者はどこまで子供に付き合えばよいのでしょうか?
またはどのタイミングで子供から離れればよいのでしょうか?
ピアノ教室によっては、レッスンは保護者同伴で、保護者に復習を任せるところもあるようです。
そうなると、子供が弾けないのは保護者の責任となってしまうので、苦痛に思われる方も多いでしょう。
まず、習い始める前に保護者のスタンスを確認しておく必要があります。
教えすぎに注意
そういう教室でなくても、気を付けたいのは親御さんが子供に教えすぎてしまうことです。
厳しいようですが、「教えすぎ」は親の自己満足以外の何物でもありません。
悪影響は2つあります。
・子供が自分で楽譜を読む努力をしなくなる
・子供が教室のレッスンをおろそかにする
ではさっそく見ていきましょう。
子供が自分で楽譜を読む努力をしなくなる
最初に弾き始める音など、とにかく全部教えてしまう親御さんがまれにいらっしゃいます。
そういう子供たちは進みが速いのも事実です。
どんどん進んでいくのは気持ちがよいでしょう。
しかし、悲しいかな、割と早くにピアノを辞められるケースが多いのが現状です。
教えるほうも教わるほうも、楽譜を読ませるより聞いて覚えさせるほうが楽なので、教材だけが進んでしまうのです。
ところが実際はいつまでたっても楽譜が読めないし、音もわかりません。
「1」の指は「ド」、「2」の指は「レ」など、固定観念を植え付ける教え方をされた場合、音符が「ファ」でも「2」と書かれていると「レ」だと思い込んでしまうということがありました。
楽譜に大人の字で「ドレミ」を書き込まれていたこともありました。
これらは保護者のミスリードで、後々苦しむのは子供たちなのです。
子供は自分で考えようとせず、レッスンでもピアノの先生がヒントをくれるのを待つばかりになっています。
子供が教室のレッスンをおろそかにする
ピアノの先生は難しいことばかり言うけど、おうちの人のいう通りにすればちゃんと弾けるようになるからそれでよいと子供は思ってしまいます。
ピアノ講師がいくら音符の読み方を教えても頭に入りません。
あとでおうちの人に聞けば、簡単に教えてくれるからです。
そういうお子さんをたくさん見てきました。
親御さんはおそらく学校の宿題も手伝っているのではないでしょうか。
その場しのぎを積み重ねても実力はつかない、ということを親御さんは子供に教えないといけないと思います。
ピアノ教室に習いに行くのは、ピアノを弾けるようになるためではなく、楽譜を読んでピアノを弾けるようになるというのが大事なことです。
教えすぎる練習をやめるとき
おうちで教えすぎる練習をしていた場合でも、親の手を離れていく時が必ずやってきます。
手に負えなくなった親御さんは「ピアノの先生に教えてもらいなさい」と子供に言いますが、子供にとったらいい迷惑です。
ピアノ講師は簡単に音を教えるのではなく、音符の読み方を教えるのです。
子供は親の言うとおりに弾かされていただけなので、なぜ今さら音符を読まないといけないのかと思うでしょう。
曲は結構複雑になっているので、音やリズムを読み解くのは大変な作業になります。
簡単な音を一つずつ覚えていったお子さんと比べると、大きな差ができています。
今まで自分が進んでいたと思っていたのに実はそうではなかったと知り、コンプレックスを感じると思います。
そういうわけで急に突き放すと子供は意欲を失ってしまうので、親御さんは子供が楽譜を自分の力で読めるようになるまである程度は見届けなければなりません。
これは結構大変なので、ギブアップされる方がほとんどです。
親御さんは先のことを考えて、練習に付き合ってほしいと思います。
教えなさすぎに注意
一方、まったくノータッチなのも問題があります。
あまり親が言いすぎるとけんかになるとか、自主性を育てるという理由もあるでしょう。
しかしピアノに無関心とも言えます。
いつも同じところで間違えていたり、何週間も合格できない場合には、「なぜ?」ということを一緒に考えるのは大切なことだと思います。
特に幼児の場合は、不合格になった曲を一人で練習しても、また同じ間違いを繰り返している場合が多いです。
ピアノ講師は楽譜に直接注意を書き込むことも多いですが、時々は親御さんにも見ていただきたいと思っています。
ピアノが弾けない保護者の方は、書き込みを見ながら「これってどういうことかな?」と子供に尋ねて教えてもらうようにするのもよいでしょう。
子供と親御さんの距離感
では、どんな距離感がよいでしょうか?
私は基本的に教室レッスンでの親御さんの付き添いはないほうが良いと考えています。
生徒との会話が減る、子供が親に頼る、などの理由があります。
付き添っていない場合は、今日の教室レッスンはどうだったかを必ず聞いてください。
連絡帳があればすぐに読みましょう。
合格した曲があれば「よかったね」とねぎらい、不合格の曲の楽譜を見て、どこが悪かったか確認してください。
楽譜の書き込みは、ピアノ講師のメッセージです。
そこに注意を向けるだけで子供の能力は上がります。
練習を見てあげる場合も、絶対に音を教えないこと。
「ここ、ちょっと変な音だったね」と言って、子供が自分で正しい音を導き出すようにします。
一人で練習できるようになったら、時々は「聞かせてね」と言ってきちんと1曲弾いてもらいます。
親の前で弾くのも緊張感が伴うので、とても良い練習になります。
子供は親御さんに喜んでもらうのがうれしいので、実は親御さんが好きな曲を弾きたがっています。
ピアノの教材の中にどんな曲があるか確認して、今から弾く予定の曲に「この曲素敵だね」と興味を示すことも大切です。
まとめ
親御さんが子供に教えすぎるのは、後で子供にしわ寄せがくるので、絶対にやめましょう。
また、習いたての幼児に教えなさすぎもよくありません。
次のようなことに気を付けると、子供の自主性も育ち、親もピアノに関心を持ってくれていることが伝わります。
・今日の教室レッスンはどうだったかを必ず聞く
・連絡帳があればすぐに読む
・合格した曲があれば「よかったね」とねぎらう
・不合格の曲の楽譜の書き込みを見て、どこが悪かったか一緒に確認する
・練習を見てあげる場合は、簡単に音を教えず、子供が自分で正しい音を導き出すように待つ
・時々は「聞かせてね」と言ってきちんと1曲弾かせる
・今から弾く予定の曲に「この曲素敵だね」と興味を示す
よい距離感を保ってピアノ練習をサポートしましょう。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。