第2位入賞、アレクサンダー・ガジェヴの採点表を考察しました!~第18回ショパン国際ピアノコンクール
第18回ショパン国際ピアノコンクールの採点表が公開されてから、さらに楽しみが増えました。
反田恭平さんとともに第2位を受賞し、ソナタ賞にも輝いたアレクサンダー・ガジェヴは素晴らしい感動を与えてくれました。
彼の採点を考察するとともに、プロフィールなども調べてみました。
演奏もご堪能下さい!
プロフィール
1994年12月23日生まれ。26歳
ピアノ教師だった父親に10年以上師事した後、モーツァルテウムでパヴェル・ギリロフ氏に師事し、その後ベルリンでエルダー・ネボルシン氏に師事しています。
子供の頃はまったく落ち着きがなく、ピアノの前にじっくり座っていられなかったそうです。
今も目がキラッキラして、やんちゃ坊主の面影がありますね。
しかもかなりの口達者…。
ピアノ教師のお父さんのご苦労が目に浮かびます。
本を読むのが生活の一部で、今は特に哲学と心理学に興味があるそうです。
しかし、練習前、本番前のストレッチなどから、かなり体幹を鍛えているようにお見受けしました。
もしかしてヨガなどもされているのでは?
第9回浜松国際ピアノコンクールで優勝したのは2015年、20歳のとき。
2018年には国際ピアノコンクールの優勝者が競う、モンテカルロ・ピアノマスターズでも優勝されています。
また、2021年シドニー国際ピアノコンクールでも第1位を獲得しています。
このような素晴らしい経歴の持ち主が、ショパン国際ピアノコンクールにチャレンジすることは、周りの反対もあったかもしれません。
しかし、おそらくガジェヴさんは今までもこれからも、自分の思った通りに音楽の道を邁進していくと思います。
日本人ペアの反田恭平さんと小林愛実さん、イタリア人ペアのアレクサンダー・ガジェヴとレオノーラ・アルメッリーニが仲良くはしゃいでる写真を見ましたが、反田さんとは尊敬しあう友人という雰囲気ですね。
アレクサンダー・ガジェヴとショパン
ガジェヴさんはピアニストである前に音楽家でありたいと思っておられ、また、音楽は哲学であるともおっしゃっています。
しかしショパンは哲学というよりも、イマジネーションをとても大切にしている音楽ではないかということです。
作りこまれた音楽ではなく、常に即興しているような感じで演奏されているとか。
また、ショパンの作品には「水」のイメージを強く感じるそうです。
「水」の流れは一定ではありません。
ガジェヴさんのピアノもその時々ですごく自由なのは、そういうことかもしれませんね。
採点表
こちらからご覧ください。
scores for Stage I(1次予選採点表)
scores for Stage II(2次予選採点表)
scores for Stage III(3次予選採点表)
採点表の見方
今回、抽選で「M」の方から始まりました。
演奏順、性別、氏名、国籍が明記されています。
その横にずらっと各審査員の「YES」「NO」と採点(1点~25点)があります。
「Index Y」はYESの点数を、評価した審査員の数で割ったものです。
「Points average」は修正後の平均点です。
「a」は審査員の欠席により得点がなかったということです。
「s」は師弟関係により得点がなかったことを意味します。
審査員
Dmitri Alexeev(ドミトリー・アレクセーエフ)
Sa Chen( サー・チェン)
Thai Son Dang(ダン・タイソン)
Akiko Ebi(海老彰子さん)
Philippe Giusiano(フィリップ・ジュジアーノ )
Nelson Goerner(ネルソン・ゲルナー)
Adam Harasiewicz(アダム・ハラシェヴィチ)
Krzysztof Jabłoński(クシシュトフ・ヤブウォンスキ)
Kevin Kenner(ケヴィン・ケナー)
Arthur Moreira Lima(アルトゥール・モレイラ・リマ)
Janusz Olejniczak(ヤヌーシュ・オレイニチャク)
Piotr Paleczny(ピオトル・パレチニ)
Ewa Poblocka(エヴァ・ポブウォツカ)
Katarzyna Popowa-Zydron(エカティリーナ・ポポヴァ・ズィドロン)
John Rink(ジョン・リンク)
Wojciech Switala(ヴォイチェフ・シュヴィタワ)
Dina Yoffe(ディナ・ヨッフェ)
アレクサンダー・ガジェヴの1次予選の採点
アレクサンダー・ガジェヴは57番です。
YESが15人、NOが1人(ケヴィン・ケナー)、審査員欠席1人( サー・チェン)でした。
Index Yは15÷16=0.94
得点は上記の審査員の順に22 , a , 23 , 25 , 24 , 25 , 23 , 20 , 18 , 22 , 21 , 22 , 23 , 22 , 23 , 23 , 25 でした。
合計361点(1人不参加)で平均点は22.56点です。
1次予選の修正点はプラスマイナス3点なので、ガジェヴさんの場合19.56点(22.56-3)~22.56点(25.56+3)以外は修正されます。
つまり、18点は19.56点になり、もう一度平均点を出したのがPoints averageで22.66点になりました。
これは優勝したブルース・シャオユー・リウの次の高得点です。
流石、優勝候補と言われていただけありますね。
1次予選の演奏
アレクサンダー・ガジェヴの2次予選の採点
アレクサンダー・ガジェヴは31番です。
YESが13人、NOが4人( クシシュトフ・ヤブウォンスキ、ケヴィン・ケナー、アルトゥール・モレイラ・リマ、ピオトル・パレチニ)でした。
Index Yは13÷17=0.76
得点は上記の審査員の順に21 , 23 , 23 , 25 , 22 , 24 , 21 , 18 , 16 , 12 , 21 , 19 , 22 , 22 , 23 , 21 , 24 でした。
評価が分かれて、びっくりするくらい低い点数を付けた先生もいらっしゃいます。
合計357点で平均点は21点です。
2次予選の修正点はプラスマイナス2点なので、ガジェヴさんの場合19点(21-2)~23点(21+2)以外は修正されます。
つまり、12点、16点、18点は19点に、24点、25点は23点になり、Points averageは21.41点になりました。
ちなみに、12点を付けたアルトゥール・モレイラ・リマは、他のコンテスタントにも結構厳しい評価をされていますが、反田恭平さんとブルース・シャオユー・リウは最高点の25点を付けています。
2次予選の演奏
アレクサンダー・ガジェヴの3次予選の採点
アレクサンダー・ガジェヴは13番です。
YESが14人、NOが2人(フィリップ・ジュジアーノ、アルトゥール・モレイラ・リマ)、審査員欠席1人( クシシュトフ・ヤブウォンスキ)でした。
Index Yは14÷16=0.88
得点は上記の審査員の順に21 , 24 , 20 , 25 , 19 , 25 , 20 , a , 20 , 18 , 20 , 21 , 24 , 22 , 25 , 21 , 25 でした。
合計324点(1人不参加)で平均点は21.88点でした。
3次予選の修正点はプラスマイナス2点なので、ガジェヴさんの場合19.88点(21.88-2)~23.88点(21.88+2)以外は修正されます。
つまり、18点、19点は19.88点に、24点、25点は23.88点になり、もう一度平均点を出したのがPoints averageで21,75点になりました。
3次予選の演奏
ソナタ賞を獲得した素晴らしいソナタをお聴きください。
まとめ
第18回ショパン国際ピアノコンクールで反田恭平さんとともに第2位を受賞し、ソナタ賞にも輝いたアレクサンダー・ガジェヴの採点を考察し、もう一度演奏を聴き返しました。
特に1次予選が素晴らしく、優勝候補と言われて当然だと思いました。
知的で哲学者のようなガジェヴさんですが、お話し好きで明るいお人柄です。
浜松国際ピアノコンクールで優勝されているので、日本での人気も高く、度々来日されると思います。
実はショパンコンクールの1次予選が始まる前の9月に来日されていました。
もちろんオール・ショパン・プログラムです。
次回はぜひホールに足を運びたいですね。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。