優勝したブルース・シャオユー・リウの採点表を考察しました!~第18回ショパン国際ピアノコンクール
待ちに待った第18回ショパン国際ピアノコンクールの採点表が開示されました。
フタを開けてみると、第1位のブルース・シャオユー・リウが1次予選から断トツだったことがわかりました。
彼の採点を考察するとともに、プロフィールなども調べてみました。
ほとんどラストの演奏で、深夜の出場だったので聴きそびれた方もいらっしゃると思います。
演奏もご堪能下さい!
プロフィール
1997年5月8日、パリ出身。24歳
フランス・パリ生まれの中国系カナダ人です。
インタビューもフランス語がステキでした。
モントリオールのコンセルバトワールでリチャード・レイモンドに師事した後、現在はダン・タイ・ソンに師事しています。
幼い頃、ピアノは数ある趣味のうちの1つだったようです。
チェス、囲碁、卓球、テニス、サッカー…。
ピアノを習い始めたのも8歳頃だったとか。
1日10分程度の練習だったようですが、子供のピアノコンクールで受賞してから目覚めたということです。
何かのインタビューでヴァイオリンもされていると聞きました。
レーシングカーに乗っている動画がリウさんのInstagramにありましたが、こちらも結構本格的です。
水泳は日課だそうです。
反田恭平さんもサッカー少年で足も速かったということで、ピアニストは運動神経も重要ですね。
角野隼斗(かてぃん)さんも音ゲーにはまっていて、高3の冬に全国ベスト8まで行ったという反射神経の持ち主。
何かが好きで一生懸命やって、それがピアノにも生かされているってステキですね!
当然これまでにも色々なコンクールで受賞されていますが、それほど目立っていませんでした。
ショパンコンクールで努力が実を結び、人生が大きく変わりました。
ブルース・シャオユー・リウとショパン
リウさんは音楽大学を卒業してからダン・タイソンのもとで研さんを積みました。
ショパンを本格的に学び始めたのはそれからだそうです。
22歳で卒業して現在24歳ということは、2年で開花したということです!
コロナで1年延期にならなかったら、もしかしたら別の方が優勝していたかもしれません。
ダン・タイソンはショパンの魅力を伝えるのが得意で、生徒の個性に合った演奏を引きだすのが上手なのだと思います。
前回もファイナリストに3人、今回も2人残りました。
採点表
こちらからご覧ください。
scores for Stage I(1次予選採点表)
scores for Stage II(2次予選採点表)
scores for Stage III(3次予選採点表)
採点表の見方
今回、抽選で「M」の方から始まりました。
演奏順、性別、氏名、国籍が明記されています。
その横にずらっと各審査員の「YES」「NO」と採点(1点~25点)があります。
「Index Y」はYESの点数を、評価した審査員の数で割ったものです。
「Points average」は修正後の平均点です。
「a」は審査員の欠席により得点がなかったということです。
「s」は師弟関係により得点がなかったことを意味します。
審査員
Dmitri Alexeev(ドミトリー・アレクセーエフ)
Sa Chen( サー・チェン)
Thai Son Dang(ダン・タイソン)
Akiko Ebi(海老彰子さん)
Philippe Giusiano(フィリップ・ジュジアーノ )
Nelson Goerner(ネルソン・ゲルナー)
Adam Harasiewicz(アダム・ハラシェヴィチ)
Krzysztof Jabłoński(クシシュトフ・ヤブウォンスキ)
Kevin Kenner(ケヴィン・ケナー)
Arthur Moreira Lima(アルトゥール・モレイラ・リマ)
Janusz Olejniczak(ヤヌーシュ・オレイニチャク)
Piotr Paleczny(ピオトル・パレチニ)
Ewa Poblocka(エヴァ・ポブウォツカ)
Katarzyna Popowa-Zydron(エカティリーナ・ポポヴァ・ズィドロン)
John Rink(ジョン・リンク)
Wojciech Switala(ヴォイチェフ・シュヴィタワ)
Dina Yoffe(ディナ・ヨッフェ)
ブルース・シャオユー・リウの1次予選の採点
ブルース・シャオユー・リウは84番です。
全員がYESでIndex Yは15÷15=1.00。
ちなみに1次予選で全員がYESだったのは以下の6人でした。
5番 Szymon Nehring 20,33
44番 Piotr Alexewicz 20,69
46番 J J Jun Li Bui 21,49(ファイナリスト)
60番 Eva Gevorgyan 21,66(ファイナリスト)
79番 Jakub Kuszlik 21,67(ファイナリスト)
84番 Bruce (Xiaoyu) Liu 23,00(ファイナリスト)
得点は上記の審査員の順に20 , a , s , 20 , 23 , 24 , 23 , 21 , 24 , 25 , 23 , 25 , 25 , 23 , 24 , 24 , 21でした。
合計345点(2人不参加)で平均点は23点です。
1次予選の修正点はプラスマイナス3点なので、リウさんの場合20点(23-3)~26点(23+3)以外は修正されます。
リウさんのPoints averageは修正なしの23点となりました。
文句なしの最高得点です。
1次予選の演奏
ブルース・シャオユー・リウの2次予選の採点
ブルース・シャオユー・リウは44番、ラストの演奏です。
今回も全員がYESでIndex Yは16÷16=1.00。
2次予選で全員がYESだったのは2人でした。
23番 J J Jun Li Bui 22,91(ファイナリスト)
44番 Bruce (Xiaoyu) Liu 23,03(ファイナリスト)
2人ともカナダで、ダン・タイソンの生徒です。
得点は上記の審査員の順に22 , 23 , s , 22 , 24 , 24 , 23 , 22 , 22 , 25 , 25 , 23 , 24 , 20 , 24 , 24 , 19 でした。
合計366点(1人不参加)で平均点は22.87点でした。
2次予選の修正点はプラスマイナス2点なので、リウさんの場合20.87点(22.87-2)~24.87点(22.87+2)以外は修正されます。
つまり、19点、20点は20.87点に、25点は24.87点になり、もう一度平均点を出したのがPoints averageで23.03点になりました。
1次予選よりもさらに高得点です!
2次予選の演奏
ブルース・シャオユー・リウの3次予選の採点
ブルース・シャオユー・リウは23番、ラストの演奏です。
Index Yは16÷16=1.00。
3次予選では唯一の全員YESでした。
つまり、優勝したブルース・シャオユー・リウは、1次予選、2次予選、3次予選、すべてを通してYESだったわけです!
得点は上記の審査員の順に22 , 24 , s , 24 , 24 , 24 , 22 , a , 20 , 25 , 24 , 24 , 24 , 21 , 22 , 25 , 22 でした。
なんと、全員が20点以上です!
合計347点(2人不参加)で平均点は23.13点でした。
3次予選の修正点はプラスマイナス2点なので、リウさんの場合21.13点(23.13-2)~25.13点(23.13+2)以外は修正されます。
つまり、20点、21点は21.13点になり、もう一度平均点を出したのがPoints averageで23.22点になりました。
Points averageは23点、23.03点、23.22点と上り調子でファイナルを迎えます。
3次予選の演奏
まとめ
第18回ショパン国際ピアノコンクールで優勝した、ブルース・シャオユー・リウの採点を考察し、もう一度演奏を聴き返しました。
1次予選からぶっちぎりのトップだったことがあらためてわかりました。
彼のお人柄は明るく、ひょうきんだそうです。
これからも面白くて謙虚なブルースであり続けるとおっしゃっています。
また、ショパンコンクールで起こった数週間のことを消化するために、残りの人生を歩んで行くそうです。
これからは自分は注目され続けると思うので、この栄誉ある賞に責任を持ち、実力等維持していかなければならないという決意が見えました。
人間的にも素晴らしい方です。
機会があればぜひ生演奏を聴いてみたいですね。
ブルース・シャオユー・リウの舞台裏もわかるノーカット演奏はこちらをご覧ください♪
優勝!ブルース・シャオユー・リウ、全演奏まとめ~第18回ショパン国際ピアノコンクール
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。