牛田智大さん2次予選の演奏♪第18回ショパン国際ピアノコンクール
第18回ショパン国際ピアノコンクール1次予選では素晴らしく深いショパンで私たちを魅了させた牛田智大さん。
2次予選のプログラムはため息の出るような珠玉の難曲ばかりです。
牛田さんの曲解説もぜひ併せてお読みください。
牛田智大さんのプログラム(演奏曲目)
10月10日(日曜日)朝の部 19:30
Waltz in A flat major Op. 42
ワルツ第5番 (2021年夏のリサイタルで演奏)
Ballade in F minor Op. 52
バラード4番
Barcarolle in F sharp major Op. 60
舟歌 (2021年夏のリサイタルで演奏)
Polonaise in A flat major Op. 53
英雄ポロネーズ (2021年夏のリサイタルで演奏)
牛田智大さんの2次予選の演奏
牛田智大さんの演奏前の舞台裏の様子は2:36:18辺りからご覧になれます。
1次予選のときと同じようににこやかに手を振っておられましたが、きっと頭の中にはショパンのフレーズが鳴り響いているのだと思います。
牛田さんの演奏は2:41:16辺りからです。
牛田さんは少し右手と左手をずらして弾かれることがあるのですが、それもまた美しい音色として響いています。
途中、チャットで牛田さんの右手の中指の爪が割れているのではないか?と話題が飛び交っていました。
それを物ともせず、本当によく考え抜かれた音楽の構成で美しい音楽を届けてくださいます。
『バラード第4番』の終了後、鍵盤に覆いかぶさるように苦しげな表情をされたのでドキッとしました!
が、それはそのまま『舟歌』の第1音に入るための表情だったのです。
すっかり心を奪われました!
本当に40分があっという間で、次のステージへの期待も急速に高まりました。
舞台から降りて控室に入る前も笑顔で手を挙げて…本当にカッコよすぎます。
ピアノはヤマハです。
牛田智大さんが語った2次予選プログラム曲の解説(牛田さんTwitterより)
ショパンのバラードとポーランドの詩人アダム・ミツキエヴィチの詩との関連性はたびたび取り上げられます。
1~3番のバラードは明確な物語性を持ったミツキエヴィチの作品と結びついているのに対し、バラード4番はミツキエヴィチの中でも深い哲学的な作品『3人のブドゥリス』と結びついています。
人生においてもっとも重要なのは財や名誉を得ることではなく、愛をもって生きること
この哲学はポーランドの国民性にも通じるものがあります。
当時のショパンの主な仕事場は華やかな社交界でしたが、ショパンが感じていた違和感が『3人のブドゥリス』に引き寄せられるきっかけになったのかもしれません。
ショパンがポーランドで友人や家族とともに過ごした青春時代は、祖国を離れた後も記憶として残り、いつしかそれらはショパンの人生に対する理想と結びついていきました。
今日のプログラムでは、ショパンの「理想」を描きます。
人生、音楽、そして祖国に対して彼が描いていた理想…それらの多くは彼にとって実現しえないものであり、同時に戻ることのできない祖国への憧れにも似たものでした。
ウィーンで大衆音楽として捉えられてはじめていたワルツを、素朴で偉大な伝統が失われつつあったポーランドに重ね合わせ、その批判を込めて書かれたOp.42 ワルツ第5番
愛と素朴さ、ポーランド民族を讃える意味で作曲されたOp.52 バラード4番
温かく穏やかな人生への憧れが込められたOp.60 舟歌
そして祖国への誇りを描いたOp.53 英雄ポロネーズ
ショパンの内面の移ろいを皆さまと共有できたら嬉しいです。
牛田智大さんの2次予選演奏後インタビュー動画~1.
牛田智大さんの2次予選演奏後インタビュー動画~2.
ポーランドのラジオ番組『Dwójka』のインタビューです。
牛田さんは緊張しやすいタイプだそうです。
全然そんな風に感じませんが…。
その対処法についてもお話しされています。
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子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。