失意の発表会でやめてしまった生徒さん
毎年恒例の新年会でのトーク。
友人ピアノ講師の生徒さんで、発表会の失敗が元で、ピアノに対する気力が無くなってしまった方についてです。
大人から始めたこの方はとても呑み込みが早く、どんどん進んで行ったそうです。
初めての発表会では湯山昭さんの曲を見事に演奏し、盛大な拍手を頂きました。
2回目の発表会は、本人ご希望のバロック名曲。
本番の1か月前にはノーミスで弾けて、何となく余裕が感じられたのですが、友人ピアノ講師は少し心配していました。
あまりにもご本人に危機感がなかったからです。
本番になり、その方は良い感じで弾き始めました。
しかしあと数小節で終わりというところでホッとしたのか、違う音を弾いてしまい、そこからガタガタと崩れてしまいました。
可哀想に次の音が何かが全くわからなくなり、途中から弾き直そうにも頭の中は真っ白だったのでしょう。
友人は楽譜を持って舞台に出ようと思いました。
しかし次の瞬間、何とか前に進みました。
しかし演奏はチグハグで、最後の和音は全く違う音を大音量で弾いてしまったのです。
最後の音なので弾き直しても良かったのですが、「発表会では弾き直しはしない」という言葉を守ったのか、そのまま席を立ってしまわれたということです。
わかりやすい曲だけに拍手する方も少し困った感じでしたが、だんだんと大きな拍手に会場は包まれました。
しかし、ご本人には無情の拍手に聞こえたのかもわかりません。
最後の最後に誰でもわかる大きなミスをしてしまい、その方はショックを隠し切れないくらい落ち込みました。
「いっぱい練習したのにあんなことになるなんて…。しばらくピアノをお休みさせて頂きます。」
その後、連絡はなかったそうです。
友人もショックで、暗譜のチェックをもっとしてあげればよかったと後悔しています。
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。