バーナム『右手でクギをうつ練習』で生徒が言った一言
4歳のCちゃんは、『バーナムピアノテクニック』の導入書を練習しています。
9番、10番に「右手でクギをうつ練習」「左手でクギをうつ練習」というのがあります。
それぞれ、親指の音を最後まで伸ばしながら、中指で連打するという練習です。
Cちゃんは問題なくきちんと弾けていました。
しかし、Cちゃんには弾きながら疑問に思ったことがあったようです。
「先生、どうして親指の音はいつまでも伸ばしてなくちゃいけないの?途中で聞こえなくなっちゃうのに。」
恐るべし、Cちゃん!誰もが疑問に思ったであろうこの質問を、私は初めて答えることになったのでした。
「左手でまん中の『ド』をずっと押さえながら、右手で違う『ド』をポンと弾いてごらん。」
私が言うとおりにCちゃんがやってみると、違う『ド』が鳴ったとたんに、まんなかの『ド』の音が膨らみました。
「『きょうめい(共鳴)』って言ってね、一つの音にもう一つが重なったら、ピアノの弦がまた揺れ出すんだよ。」
Cちゃんはおもしろそうに他の音も弾きだしました。
「今度はこの音がどこまで鳴ってるか聞いてみようね。聞こえなくなったら教えて。」
私はまん中の『ド』を静かに弾きました。
しばらくするとCちゃんは、「聞こえなくなった。」と宣言しました。
まるで聴力検査のようです。
「じゃ、もう一回。」また私は、同じようにまん中の『ド』を静かに弾きました。
先ほどCちゃんが聞こえなくなった少し前で、違う音をそっと弾きました。
すると、またまん中の『ド』が復活しました。
「わー面白い~」Cちゃんは大喜びです!
そしてもう一度バーナムを弾いてもらいました。
「最後まで親指の音が鳴ってる!!」Cちゃんは、ちゃんと自分の耳で音が拾えたようです。
とりあえず成功!音の大切さも少しわかってもらえたかな、と思います。
今日のレッスンは、Cちゃんのおかげで思いがけず良いレッスンになりました。
これからこのような曲をする前に、他の生徒さん達にもちゃんと説明しようと思います。
子どもから大人までピアノ指導する傍ら、本サイト「ピアノサプリ」を開設し運営。【弾きたい!が見つかる】をコンセプトに、演奏効果の高いピアノ曲を1000曲以上、初心者~上級者までレベルごとに紹介。文章を書く趣味が高じて、ピアノファンタジー小説「ピアニーズ」をKindleにて出版。お仕事のお問い合わせはこちらからお願いします。