前奏曲 op.23-5(ラフマニノフ)@解説

前奏曲 op.23-5(ラフマニノフ)

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『10の前奏曲』作品23は1903年に完成される。この第5番は1901年に作曲された。

1897年『交響曲第1番』の初演で失敗したラフマニノフは、しばらく神経衰弱で作曲ができなくなっていたが、再び作曲活動に火が付き始めた頃である。国民楽派のグリーグ(ノルウェー)が『抒情小曲集』を作曲したのもちょうどこの頃だ。

Alla Marciaの表示の通り行進曲のようなリズムで始まる。ちょっと日本の演歌のようでもありくすぐったい親しみやすさも感じられる。

ラフマニノフ自身の録音も残されているが、エミール・ギレリスが第二次世界大戦の戦線でこの曲を演奏し、ソヴィエト連邦軍を支援した映像が残っているらしい。まさしくロシア兵の行進がイメージにピッタリである。寒さによる緊張感。戦場へ向かう悲壮感。祖国を愛する使命感。沈黙の中に聞こえるのは白い吐息と雪を踏む靴音だけである。

中間部はモスクワロマンの真骨頂でラフマニノフらしさ満載である。シンプルな順次進行の旋律が、ラフマニノフの味付けによってこれほどお洒落に深く濃く変わるのか!

この曲は簡単なように思えるが実は結構難しい。もちろん、オクターブや手の移動が多く技術的に難しいが、技巧に走っては失敗するのである。人生の酸いも甘いも噛みしめた何物かが必要な気がする。

楽譜は↓↓を使っています。