ソナタ第3番 第3楽章(スクリャービン)@解説

ソナタ第3番 第3楽章(スクリャービン)

作曲家スクリャービンについて(←クリックしてご覧下さい)

このソナタは、スクリャービンが周囲の反対を押し切って、ユダヤ人ピアニストのヴェーラと結婚した頃の作品である。「心理状態」という副題からも彼の精神的苦悩が反映されていることがわかる。

苦闘を表しているような第1楽章。そしてそれに疲れて果てて軽やかさを求めようとする第2楽章。一瞬光明が見えたかのような第3楽章。しかしそれも長くは続かず、再び苦悩に満ちた第4楽章へ。

第3楽章は物悲しく甘美である。本来この後は第4楽章へ切れ目なく続いていく。スクリャービンが演奏した時、「ここで星たちが歌う!」と叫んだと伝えられる。なぜスクリャービンが「星たち」という言葉を使ったのか。

満天の星が一つ一つ音になってハーモニーを奏でる様子を想像してみよう。それらの音はソフトなものではなく硬質な輝きだ。決して手が届くことのない高貴なきらめきだ。

各声部をよく聴くこと。どの声部がどのような動きをしていて、どのように流れているかを知れば、無理やり主旋律を歌わせなくとも十分美しい。

ショパンには彼のスタイルがあるように、スクリャービンにもそれがある。数小節聞くと、スクリャービンの音楽だとわかるのである。そしてスクリャービンに魅了されると、しばらくはロマン派の音楽に戻れなくなってしまう。